2040年には、独身者が人口の5割になり、既婚者(64歳まで)は3割に減少する
かなりショッキングな予測ね。これは、これからの日本は「一人で生きる」ことが当たり前の社会になる、ということです。
今、現在、一緒に暮らす家族がいる方は他人事と感じたかもしれません。しかし、既婚者も離婚・死別などにより、誰もが「ソロ」になる可能性があります。「結婚しないと孤独死する」ではなく、「結婚していても孤独死の可能性はある」なのです。
本書は、【「一人で生きる」が当たり前になる社会】をテーマに、独身研究の第一人者・荒川和久さんと気脳科学者・中野信子さんが行った対談をまとめた一冊です。
前半は、独身者(ソロ)と既婚者のそれぞれの生き方や幸せ、孤独など「個人」をテーマに、後半は、ソロと集団、多様性と個性 といった「社会全体」をテーマに語られていますが、来る「おひとり様社会」について、いろいろ考えさせられます。
今回は、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』からだ大事なポイントを紹介します。
目次
日本は高齢者よりも独身者が多い「独身国家」に
日本の将来を考えるとき「少子高齢化」が大きな問題とされますが、実はそれ以上に進むのが、高齢者よりも独身者が多い「独身国家」。
一人暮らしの世帯が4~5割に
2040年、独身が47%で一人暮らしの世帯が4~5割に。1 歳以上の人口が約1億人に対し、高齢者人口は3900万人、独身4600万人で独身の方が多い時代がやってきます。この時、夫婦と子どもの標準世帯は23%にまで低下します。
男性の3人に1人は「生涯未婚」
さらに深刻なのは、男性の3人に1人、女性の5人に1人は「生涯未婚」と見込まれていることです。
男性と女性の「生涯未婚率」に大きな差がある理由は、「結婚格差」。男性は何回も結婚する(できる)人と、結婚しない(できない)人に分かれてしまうという厳しい社会となります。これはもはや「時間差一夫多妻制」 だと言えるかもしれません。
なお、メディアで「3組に1組は離婚する」というフレーズをすることがありますが、ここ15年ぐらい、離婚率は35%で推移しています。
ソロにもタイプがある
さて、結婚しててもソロ度が高い人っていますよね。上図は、未婚・既婚とソロ度の高低で「ソロ」を分類化した荒川さんの「ソロ属性4象限」。
ガチソロ、カゲソロ、エセソロ、ノンソロの4タイプの分類です。結婚はしていても、実は「一人の方が楽」と思っているエセソロが20%もいるというのが面白い。
あなたは、どのソロに当たりますか?私は、未婚で結婚意欲も低く、ソロ度の高いガチソロです。
既婚者を一段上、未婚者を一段下に評価する風潮、企業の論理!?
「結婚して、一人前になったな」というフレーズは、かつて、プライベートな間柄だけでなく、ビジネスの間柄でも使われたフレーズです。
既婚者を一段上、未婚者を一段下に評価する風潮は、なぜ、あるのでしょうか?
確かに人類として「命」をつなぐ、次の社会をつくる「子供」を育てるという点から子供を産み育てることは価値あることです。しかし、本書での面白い分析は、まだ終身雇用や年功序列制度が盤石だった頃は、会社のために粉骨砕身働かせるためには、独身でなく家族がいたほうが働くだろうと考える会社のロジックがあったという指摘です。
確かに、独身者に比べ、妻帯者の方が、真面目に働かなかったときのダメージは大きいし、簡単に転職することはできません。いわば「家族が人質」なわけです。
孤独とは悪いことなのか
ソロの問題点として「孤独」があります。「孤独」には、ネガティブなイメージ、寂しい・かわいそうというイメージが結びついていますが、孤独は悪いことなのでしょうか?
結論を言えば、孤独はお酒やたばこと同じくらい「健康を害する」可能性があります。
最も最悪な孤独状態とは
ただし、孤独には、「選択的孤独」と「排除による孤独」の2つがあります。問題なのは後者です。
選択的孤独 | 非常に贅沢なもの。理由は、一人で生きられる経済力、一人でも実行できる強さが必要だから。 すべてが個人の自由。自ら選んでいるので非常に心地よい | 排除による孤独 | 自分はここになじめないという理由、或いは、相手がいなくて一人というタイプ。 なじめないという孤独感は、大きなストレスとなる |
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しかし、「孤独」にはさらに孤独な状態が存在します。大勢に囲まれているのに、「なんか私、ものすごく孤独なんだけど」と感じる状態です。この場合は、ソロ、ノンソロは関係ありません。最近は、若い人にもこのタイプの孤独が増えていると言われますよね。SNSで多数発信していても孤独といのは、寂しい限りです。
社会インフラが整えば「ソロ」が増えるは自然の流れ
現在、社会が「ソロ社会化」していますが、社会インフラが整うと、一人を志向しはじめるのは自然の流れです。
理由は、「共同体」の中にいなくても生きてけるからです。
100年前までは子だくさんでした。それは、子供が「労働力」であったからであり、また、ご近所、会社といった集団に属してないと、生きていくことができませんでした。
しかし、今は違います。
社会インフラが整備されているなら、水も、食料も何もかも、お金さえあれば困ることはありません。さらに、昨今はIT技術が進み、また、ネットを介在して仕事をすることも可能なので、会社に属せずとも生計を立てていくことが一昔前に比べて格段に容易になりました。
これらを見ても「ソロ化」するのは自然な流れであることがうなずけます。
ソロの欠落感を埋める「エモ消費」
個人の幸福度を大きく左右する「自己肯定感」です。
ソロ男が求めるのは「有能な自分」
自立しているソロ男は、自己有能感はそこそこあるも、自己肯定感は有能感を超えない傾向があります。つまり、ソロ男は有能である自分しか肯定できません。一方、既婚男性は、自己有能感が低くても、自己肯定感が高く幸せを感じている人はたくさんいます。
自己肯定感に見るソロ男・ソロ女の差
「男性は恋愛」「女性は仕事」が自己肯定感の判断です。男性はモテれば自己肯定感が高まるのに対し、女性は仕事で認められると自己肯定感が高まります。男女とも、心の欠落感(低い自己肯定感)を埋めたいのです。
これを埋めているのが、「エモ消費」。ソロは、時間もお金も自由になりますから、これらを当時て、自らを幸せだと思える消費をしています。「感動したい」「熱くなりたい」といったニーズもその一つです。
消費・購買の変化については、以下の本が非常に参考になるので、合わせて読んでみるとおもしろいですよ。
最後に
今回は、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』からだ大事なポイントを紹介しました。
今、既婚者でも、人生何があるかわかりません。離婚・死別もあり得ますし、地震、大雨、ウィルス、金融危機など、私たちの生き方を変えざるを得なくなる事態は様々あります。
私は世の中は技術革新で楽しくなると考えている楽観主義者ですが、どんな時でも、幸せに生きるためにも「経済的地盤」を作ってくことが極めて大事だと改めて思わされました。
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