コロナショック後の世界で、変わってしまった私たちの消費行動

外出自粛・外出規制により、消費者の消費行動・購買行動が劇的に変化しました。

Amazonに行けば、おおよその商品は揃うし、レンタルビデオ店に行かなくても、Prime VideoやNetflixに行けば映画やドラマがよりどりみどりだし(むしろ、いくらでも見たいものがあるので、無駄に時間を消費してしまうのが問題)、ランチやディナーだって、Uber Eatsに頼めば配達してもらえる。

私にとって買い物に出かけるのは「面倒くさい」ものとなり、コンビニ・スーパーに行く回数も減り、現金を使わないのでATMで現金を下ろすことも激減しました。

こうした変化が進展していくことで、人々は間違いなく「買い物をしなくなる」と主張するのが本書の著者の望月智之さん。

もちろん、お金を支払って何かを買うことがなくなるわけではありません。なくなるのは、これまでの買い物におけるさまざまな「プロセス」。

このような消費行動の変化は、モノを売る企業やショップにとって死活問題です。

新しい時代が到来したときに、その先で何が起こるのかを知り、備えておけば、それを知らないよりも生活を便利に、充実させることができるし、モノの販売が必要な企業も販売スタイルを変えていくことができる!

今回は、本書【2025年、人は「買い物」をしなくなる】から、将来の消費に備えるためのポイントをまとめて紹介します。

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買い物におけるさまざまな「プロセス」とは

買い物におけるさまざまな「プロセス」とは

著者がなくなると述べる、買い物におけるさまざまな「プロセス」とは、以下のようなものです。

・店に行く
・現金を用意する
・商品の現物を見る
・商品を自分で選ぶ

商品を自分で選ぶことすらなくなるなんてあるのかと思われたかもしれませんが、私たちはもはや純粋に商品を選んではいません。むしろ商品を詳細に吟味する方がめんどくさい。オンラインショップのレコメンド機能だったり、インフルエンサーのオススメコメントで商品を選んでしまっていること、多くありませんか?

私たちは消費をしなければ生きてはいけません。そのため、買い物をしなくなるわけではありません。しかし、「わざわざ買いに行く」とか「時間をかけて選ぶ」という行為はどんどん減っていきます。

これまで当たり前だったプロセスが次々に省略され、そのうち「買い物をしている」という感覚さえなくなっていく、と望月さんは未来の買い物を予想します。

購入前にググりもしないデジタルネイティブ世代

購入前にググりもしないデジタルネイティブ世代

私たちは既に、マス広告より、「AI」が導き出したレコメンドと、「口コミ」という情報に信頼を寄せるようになっています。

そして、今増えているのは、購入する際にも商品を探して比較すらしない「ググらない消費者」。

「ググらない消費者」は、現在の20代=デジタルネイティブ世代を中心に増えており、今後は「ググらない世代」が購買力を持つようになっていきます。

彼らにとって、買い物で探す行為は面倒。わざわざ店舗に出かけるという行為は少なくなっています。従来のマス広告を見ても、さほど、購買欲は上がりません。

このような消費行動は、スマホの中にある「デジタルシェルフ(商品棚)」が益々便利になっていくにつれ、増えてくことでしょう。

省かれる「買い物消費プロセス」

現在、サブスクやメルカリなど、新しいマーケットプレイスが人気ですが、これらの人気の原因はどこにあるのでしょうか?

サブスクも「買い物プロセスの省略」

サブスクも「買い物プロセスの省略

昨今、流行のサブスクリプションサービス(サブスク)。
このサブスクリプションのビジネスモデルも、ある意味で「買い物プロセスの省略」です。特に、デジタルコンテンツの定額設定は、1つ1つコンテンツを選びお金を払うという「買い物のストレス」から音楽・動画・本のファンを解放しました。

私も、本の読み放題サブスク
Kindle Unlimitedの相当ハードなユーザです。
本を読み倒しています。定額料金の元、取りまくりです。
chami
chami

このようなサブスクは、デジタルコンテンツにとどまりません。服やバックなどでも広がりを見せ、サブスクとレンタルの境界線はあいまいになってきています。

もはや、こうなると、サブスクを利用するかどうかの選択は、「所有するか、所有せずに借りるか」と同義になりつつあります。

買っているのに所有しない概念を作った「メルカリ」

さて、「メルカリ」も新しい消費行動を生み出したマーケットプレースの一つです。

それは、「買っているのに所有しない」世界。買うけれども、満足したら売ってしまうという消費形態です。

かつて私たちは、子どもの頃に「モノを大事に長く使うことが大事」と教えられましたが、今は、モノの流動化が進み、「モノを長く持つことが非経済」と考える価値観も登場し、受け入れられています。

変革を迫られる販売者

変革を迫られる販売者

これまで説明してきた通り、人々の消費行動は大きく変化しています。もはや大量販売・大量消費の時代ではありません。

モノを販売する企業はモノを売るためにどう変化したらいいのでしょうか?

今後求められる「スモールマス戦略」

こんな時代に必要な販売戦略は「スモールマス戦略」。1000億円規模の市場をつくる場合も、一つの商品・ビジネスでそれを目指すのではなく、100億円の市場を10個ことを目指す戦略です。

大企業であっても「小ロットを売り切る」という発想でないと、もはや生き残れない時代になるでしょう。

消費者が求める「時間ソリューション」

消費者が便利さの代わりに求めているものは「時間」です。少しでもストレスのかかる時間を減らして、快適な時間、楽しい時間をもっと増やしたい。だからこそ、検索エンジンの膨大な情報から知りたい情報を見つけるのではなく、自分にマッチした情報が絞られて出てくるアプリやSNSからさまざまな情報から、ちゃちゃっと楽しみながら商品を購入したい。

買い方だけでなく、商品そのものも「時短(時間ソリューション)」要素が求められます。例えば、少し高くても「カット野菜」「レンチン商品(レンジでチンでOKな商品)」「時短家電」の需要が伸びているのもそのためです。

このような時間ソリューション商品をどれだけ生み出せるか?が今後の商品開発のカギです。

なぜ作ったかが重要になる未来:ストーリーで売る

さて、上記のような消費の世界がやってくると、新しい商品を生み出していくのが非常に難しくなっていくように思われますよね。単に質や機能を追求しても商品は買われづらくなります。

そんな時代に大事なのは、「What」より「Why/なぜそれをつくったか」ということ、そして、「How/どのようにつくったか」ということです。

Why/Howは人々の間に「共感」を生みます。そしてそれが広まるために大事なのは、
その商品が生まれるまでのストーリー
まれてから売れていくまでのストーリー
そして、それを使って喜ぶ人たちのストーリー
です。

共感できるストーリーがあれば、自然にモノは売れていきます。

デジタルシェルフの一等地争い

コンビニで商品を売りたかったら、以下にいい場所に商品を置いてもらえるかが大事ですよね。

しかし、電子化が進む世界では、商品開発企業にとっては、「リアル店舗の棚の一等地」以上に、「オンライン上の棚の一等地争奪戦に勝つことができるか」が重要になっていきます

少し怖い!? AmazonのAI販売戦略

少し怖い!? AmazonのAI販売戦略

Amazon Echoに搭載されているAI「アレクサ」は、様々なオーダーを声で答えてくれる便利なスマートスピーカー。私も毎日使っています。

データドリブンで商品が届く未来

アレクサは、ユーザーが「アレクサ」と話しかけると起動すると思われていますが、実際にはユーザーが起動していると認識していない間も24時間、音声を拾い続け、分析をしています。

つまり、これが更に進化していくと、データドリブンでAIを活用して自分に必要なものが自然に届くようになるのです。

例えば、
・身体の調子が悪くなる前に健康サプリメントが届く
・必要になったときに洗剤やトイレットペーパーなどの消耗品が届く
・その人の好みや健康に合わせた献立をもとにミールキットが届く
といったことが、実現する世界です。

こうなると、「買い物は無意識の領域」まで進んでいきます。まさに、「買い物にかける時間0」の時代の到来です

今現在は、こんな買い物を怖く感じてしまいますが、おそらく、人はこの便利さに慣れていくのでしょう。そうすると、もはや、Amazonに勝てる企業がなくなってしまうのでは…と思ってしまうのは私だけではないのではないでしょうか。

しかし、このようなAI×データドリブンによる購入は、「5G」で益々加速します。

そういえば、私が、楽天市場<Amazonで購入するのも、
兎に角、商品選びに時間がかからないからでした…
chami
chami

買い物時間が「0秒」になって消えるもの

買い物時間が「0秒」の世界では、今ある店舗の多くは消えていくことでしょう。10分程度の外出で済むコンビニエンスストアだって、1分程度で済むインターネットショッピングだって、必要なくなるのですから…

これは消費に限ったことだけではありません。朝目、覚めれば、カーテンが開き、おなかがすく前に自動的に食事が提供され、暗くなれば電気がつき、お風呂に入りたくなる前にお風呂が沸いている。起きてから寝るまで、そして寝ている間も、その人に最適なサービスが提供され続けることになるでしょう。

負のスコアリング

これまで見てきた世界は非常に便利な世界です。しかし、これから最先端のサービスを受けるには、その人の買い物履歴や移動履歴、健康状態など、すべてのプライベートな情報をサービス提供者に送り続けなければなりません。

優良顧客なら、通常よりよいサービスが提供されるでしょう。一方で、支払・キャンセル・クレームなど「負のスコア」が溜まってしまう人は、新しいサービスが受けられなくなる可能性もあるのです。

スコアリングされるのは「買う側」だけではありません。「売る側」もスコアリングされていきます。

最後に

今回は、望月智之さんの、『2025年、人は「買い物」をしなくなる』を紹介しました。2025年と言えば、すぐやってくる未来です。しかし、時代は加速度的に変化してきます。

世の中はどう変わり、そのために私たちはどのように対処しておく必要があるのか?

知っているか知らないかで、「人生の幸福度」にさえ、影響がありそうです。

先の未来を知るためにも読んでおいて損のない本です。是非、お手に取って読むことをお勧めします。

幸福度高い選択をするための良書

モノがあふれ、様々な選択肢がある現代、迷ってしまってなかなか決められない悩みを持つ人は多いですよね。

悩みに悩んで何も決まらない。こんな不毛な時間はありません。問題は解決せず、幸福度は低いままです。

私は、随分前に、上記本を読んで、「後悔しない選択」そして「賢く効率的に選択する」ために重要なのは、「マキシマイザー(最大化人間)」ではなく、サティスファイサー(満足人間)になること」であることを学びました。

結果、人生が好転!物事の決断にかかる時間が短縮され、非常に幸福度が増しました!
 
やっぱり、人は「選ぶのが面倒!」技術革新により、商品を自分で選ばなくなる方向に進むというのは大いに納得できます。
 
なお、上手な選択に関する本としては、以下の本もおすすめです。

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