今、「受け身的に生きるのではなく、自分が主役となって主体的に生き、そして、環境や周りに働きかける生き方」が求められています。
自分が影響を与えることができる──つまり、自分がコントロールできることを増やすことを「自己効力感を高める」と言いますが、人は、裁量権があり、自己効力感が高まるほど、様々な物事に取り組む姿勢が積極的になり、何か壁に当たった時にもそれを乗り越える力が生まれます。
そのために必要になるのが自己をコントロールする力であり、自己をコントロールできる思考法です。
今回取り上げる「勝間式超コントロール思考」では、勝間さんらしいロジカルな考え方で、「仕事」、「お金」、「健康」、「人間関係」、「家事」、「娯楽」の観点から、自己コントロールに必要な思考を紹介しています。
すぐに実践できる思考も非常に多いです。無駄に悩むことなく、楽しく生きる術が学べます。
目次
なぜ「超コントロール思考」が必要なのか
仕事の中には「非常につまらなくてやる気が出ない仕事」が存在しますが、なぜ、つまらないか考えたことがありますか?
それは、自分がコントロールできる範囲や、自分が影響を与えられる範囲が極めて狭いからです。つまり、「やらされ仕事」だからであり、これはどんなに高給な仕事でもやらされ仕事はつまりません。
コントロール思考で考える場合、仕事のパフォーマンスアップを望むときに重要なことは「嫌な仕事、苦手な仕事を我慢する癖をなくす」ことです。
嫌な仕事・不得意な仕事では稼げない
わたしたちは自分ができないことは、努力すればできると勘違いをしています。
しかし、仕事おいては、嫌な仕事・不得意な仕事は「人並み以上にできる」ようになりません。単に「人並みにできる」だけでは、残念ながらビジネスにおいて重宝されないうえ、大したお金にはなりません。しかも、自分の能力の凸凹は基本的に生涯変わりません。得意な分野はすぐに伸びる半面、不得意なことは、頑張っても人並みになるのがせいぜいです。
このように考えると、自分の仕事のパフォーマンスは、自分がどのような仕事を引き受けて、どのような仕事をやらないかということをコントロールすることで、ほぼ決まってしまうということが容易に想像できます。しかし、ほとんどの人は仕事選択のコントロール権を放棄してしまっています。
「お金を稼ぐことが大事」なのは、まさにコントロール領域が広がるから
「お金を稼ぐことが大事」なのは、まさに、自分でコントロールできる領域が広がるからにほかなりません。
逆に言えば、わたしたちがお金について不安になる理由は、自分がその状況をコントロールできている自信がないからです。
これを改善するためには、仕事のパフォーマンスを上げなければなりませんし、日常生活でのお金遣いの悪癖も直す、つまり、自己コントロールすることが大事になります。例えば、プライドを満たすための「地位材の購入」などは、最大の無駄です。
仕事のパフォーマンスを最速で上げる方法
仕事のパフォーマンスを最速で上げる一番簡単な方法は、「仕事を断る」ことです。断れない場合には「仕事の内容を変える」「仕事の締め切りを変える」「自分一人で行わずに他の人との共同作業にする」など、少しでも自分がコントロールできる範囲に仕事を近づけていくのです。
つまり、仕事のパフォーマンスを上げるための最速にして最大の方法は、努力ではなく、コントロールすること。つまり、仕事の領域を整え、仕事の環境を整え、そして自らが仕事内容をデザインすることが大事になります。
無意識に受け入れている不快さに気づく
上記のような考え方を、本書では超コントロール思考と呼びますが、この思考は、仕事だけでなく、プライベートでも重要です。
人が不幸せになる原因と言えば「お金」と「人間関係」ですが、特に日本人は「我慢=美徳」という意識があり、特に「人間関係」ではその傾向が強くなります。
何事も断っては悪いと考え、無理して付き合い続けるケースは多々あり、これがうつ病などを引き起こしています。むしろ、我慢をしなくても自分が快適に過ごせて、かつ相手に迷惑を掛けないような選択肢をもっと増やすことが大事です。
また、「無意識に受け入れている不快さに気づく」ことが大事です。そして、不快に思っている場合は、相手に不快に思っていることを築いてもらい、要望を伝えることが大事です。それも難しいようであれば、物理的に距離を置くことが人間関係をコントロールする上では非常に大事です。
人間関係をデザインする
職場・家庭・プライベート、どのような場合であっても、「自分の人間関係を自分でデザインする」という発想は欠かせません。
この人間関係のデザイン力がないと陥るのが「本当に大事にしなければいけない人にあまり手間暇をかけない一方、不快な人に対してばかり自分のリソースを使い過ぎる」という状態になります。
「人間関係はコントロールできない」と思い込みがちですが、色々な決心をして注意を払えば、コントロールできる範囲は必ず広くなります。そして、不快な人間関係に使うリソースを削減する一方で、より大事にしたい人たちと同じ時間を一緒に過ごし、感謝の言葉をかけ、経験や体験を共有するなどで、もっともっと自分にとって大切なことにリソースを使うのです。
そうすれば自然と人生は楽しくなります。
コントロール力を鍛える
超コントロール思考を鍛えるには、大事なことがあります。「選択肢を広げること」「知識を得ること」です。
①選択肢を広げる
なぜ社会的な地位が高い人が仕事がハードにも関わらずストレスがないように見えて快活なのは、自分のコントロールできる範囲や選択肢が広いからです。
ここで、高い身分も、コントロール権もないとあきらめてはいけません。そもそも、コントロール力は、さまざまな知識や能力の蓄積が必要だと思いがちですが、その前に、いったい自分がどのような選択肢を持っているのかということについて常に広い視野で考えましょう。人生は判断の連続。朝起きてから寝るまで私たちは実に多くの選択肢を持っています。
②知識を得る
コントロールの要になるのは、実は、さまざまな情報から得る知識です。
さまざまなことについて、仕組みやモデル、あるいは構造を知識として理解できていると、そのことによって自分がコントロールできる範囲とコントロールできない範囲の区分けができるようになるからです。
多くの人が望んでいながら達成できない目標の代表である
・ダイエット
・英会話の習得
・禁酒や節酒
なども
・どのような仕組みで体重が決定されるか
・言語とはそもそもどういうもので、どのような学習過程が必要であるか
・アルコールというのはわたしたちの脳にどのような影響を及ぼすか
などの知識があれば、自分は何をコントロールすれば結果が出るかということについて、プロセスが見えるようになります。
これは、仕事の仕組みについても同様です。
例えば、取引先や上司が「いったい何を目標として、どのような動機付けで動いているのか」ということを把握すると、相手に対して何をコントロールできて、何をコントロールできないのか、理解することがたやすくできるようになります。
またこの時、わたしたちは自分の考え方や行動を変えることはできても「相手の考え方や行動は間接的にしか影響を与えられない」ということを自覚すると、
・自分は状況をどれぐらい変えられるのか
・そのために何ができるのか
を考えることができるようになります。
超コントロール思考の土台は「情報収集への貪欲さ」で成り立つ
このように見てくると、実は、超コントロール思考の土台は「情報収集への貪欲さ」です。
世の中の仕組みについて知識を仕入れると、自分の選択肢は広がり、選択肢が多いほどコントロールの範囲は広がります。
いわゆる情報強者といわれている人たちは、さまざまなネットワークや情報網を通じて、びっくりするぐらいいろいろな情報を手に入れているため、その情報を使ってコントロールできることを日々、爆発的に増やしているのです。
時間を投下する価値は十分にあります!
周囲とのコミュニケーションが情報を集める
この知識収集で是非役立ててほしいのが、周囲とのコミュニケーションです。個人で把握できることは限られています。
例えば、問題が発生して壁に当たったとき、まずやるべきなのが「相談する」ことです。その問題に精通していると思われる人を見つけて、どうすればその人へアクセスできるかを考えます。もしくは、問題に詳しい人をできるだけ広く募ることを試みてみましょう。
コントロールできないと諦めるのは逃げでしかない
私たちが何かをコントロールしようとしてできなかったとき「自分に能力や素質がないせいだ」と考えるのは、実は一番簡単です。理由は、こう考えることで諦めがついて二度と同じチャレンジをしなくて済むからです。しかしこれは逃げでしかありません。
近年、やり抜く力として「GRIT」が大きな注目を集めています。日本語で言うと「根性」、つまり、何かをやり遂げるまで諦めない力のことですが、まさしく何かをコントロールしようとしたときに必要なのは、粘りであり、GRITです。
チャレンジもせずに、コントロールしたいと「願う」もしくは「思う」だけでは、当然ながら何も変われません。
何か面倒くさい問題があると、わたしたちはそれをコントロールするよりは、その対象から回避をしたり、問題そのものに対して目をつぶったりする傾向があります。しかし、その瞬間は楽ができますが、中長期的に考えたら大変不満足でストレスの多い結果を招きます。やりたくない仕事、付き合いたくない人、無駄に消費される時間とお金・・・挙げれば切りがないほど、ストレス要因まみれの毎日がずっと続いてきます。
ネガティブ感情は、コントロール思考を動かすスイッチ
・分かりにくい
・面倒くさい
・やりたくない
・気が重い
日常生活の中で何かしらの問題にぶつかったとき、わたしたちはこうしたネガティブな感情を持つことが多くありますが、それで終わらせないことが大切です。
そのネガティブ感情は、コントロール思考を動かすスイッチです。「なぜそのようなことが生じたのか」、それについて「自分が働き掛け、コントロールができないか」という思考しましょう。
そして迅速に解決のための情報を集め、選択肢を広げていく行動に移す。この繰り返しによって、コントロール思考は鍛え上げられていきます。
最後に
今回は、勝間和代さんの「勝間式超コントロール思考」を紹介しました。
上記で紹介した内容は、本書の総論にすぎません。
本書では上記の考えをベースに「仕事」、「お金」、「健康」、「人間関係」、「家事」、「娯楽」のそれぞれの場面で、必要な自己コントロール力や大事な思考について取りまとめられています。
すぐに実践できるようも多いですし、考えがロジカルにバサッと不要な考えを切り捨てるので、自分のダメな思考を切り捨てるきっかけにもなります。
是非、具体的な実践本は本書を手にして学んでみてください。