【書評/要約】ニュートレーダー×リッチトレーダー 完全プラス期待システム(スティーヴ・バーンズ 著)(★5)

株式投資は簡単には儲からない。
利益は勉学、規律、勇気、忍耐とやりぬく意思を通じてのみ得られるのだ。

本書は、著者スティーヴ・バーンズによるニュートレーダー×リッチトレーダーの2弾目に当たるトレード指南書トレンドフォロー=相場のトレンドに素直に乗るトレード手法をベースに、1弾の『株式投資の極上心得』では、新米トレーダーが金持ちトレーダーに①投資家心理 ②リスク ③投資手法 の3つの観点から教えを乞うストーリーを通じて、投資で勝ち残るために大切なことを教えてくれました。本書では、前作を踏襲しながら、よりメンタルを重視し、投資で大切なことが説かれています。

トレンドフォローを重視しながら、一貫して採用した売買システム(売買ルール)に従うことの重要性が、言葉を替え繰り返し説かれています。

投資を行ったことがある人なら、誰もが経験したことがあるメンタル面での失敗を追体験しながら、現在の自己のトレードスタイルを反省・改善するきっかけを与えてくれる良書です。

10月末以降の日経平均の上昇相場でも、日本人はトレンドに乗らずに売っている。買っているのは「海外勢」。トレンドに素直に乗った方が大きく利が取れる確率は断然高い!
chami
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chami
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私も10月末以降、CFDで株式指数の上昇トレンドにとるトレードを現在も継続中。
トレンドにうまく乗れれば、大きな精神的ストレスを抱えることもなくトレードが継続でき、さらに利を狙う「買い増し」の精神的余裕も生まれます
(そろそろ頭が重そうなのですが)
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勝つ投資家になるために必要なこと

本書は、「精神管理」「投資手法」「リスクマネジメント」の3つの観点から、「良い取引」「悪い取引」を端的な言葉で教えてくれます。
各章、良い/悪い取引を対比させながら、重要点が語られていますが、各章のタイトルを見るだけでも価値があります。

以下❶~⓱は、本書の各章のタイトルですが、自分が当てはまる方に〇をつけてみてください。それだけで、あなたの取引の弱点が浮き彫りになるはずです。

「悪い取引」部分を読むと、反省させられることばかりです。
chami
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Part Ⅰ:ゲームを維持するための精神管理

❶良い取引は完璧なる自信のもとに特定の取引手法に従って行われる。
 悪い取引はその場の思いつきで行われる。

❷良い取引はルールに従って適切な取引量で開始される。
 悪い取引は市場で失った資金を取り戻そうとして開始される。

❸良い取引はパラメーターの数値が出揃ったところで始まる。
 悪い取引は機会を逸する恐怖心から始まる。

❹良い取引は取引プランの流れの中で、すべからく利益を生む。
 悪い取引はすぐに大金を手にしようという欲望のもと行われる。

❺良い取引は取引プランに沿って行われる。
 悪い取引はエゴをかき立てるために行われる。

❻良い取引は後悔することなく、心の葛藤もなく行われる。
 悪い取引はトレーダーが二心ある時に行われる。

Part Ⅱ:優れた投資手法を作るためのヒント

❼良い取引は取引プランに基づいて行われる。
 悪い取引は感情と思い込みに基づいて行われる。

❽良い取引はあなたの個人的な強みに基づいて行われる。
 悪い取引はあなたの見解に基づいて行われる。

❾良い取引は自分の決めた時間枠の中で行われる。
 悪い取引は損失のために時間枠を変えてしまう。

❿良い取引は今現在の株価の現実に反応して行われる。
 悪い取引は個人的な判断に基づいて行われる。

⓫良い取引はトレンドを見極めたあとでそれに沿って行われる。
 悪い取引はトレンドと格闘する。

⓬良い取引は自分が精通した取引手段で行われる。
 悪い取引は自分がその市場に不慣れなところで行われる。

Part Ⅲ:ゲームに留まるためのリスクマネジメント

⓭良い取引は全投資資金のうち1%しかリスクを負わない。
 悪い取引はリスク量の設定がない。

⓮良い取引は3ドルを稼ぐために1ドルをリスクにさらす。
 悪い取引は利益を上げようとして計画していた以上に損失を出す。

⓯良い取引は口座資産の減少局面でも取引プランに従って行われる。
 悪い取引は連続で損したあとに一度で元に戻そうと大きく行われる。

⓰良い取引はマイナスは限られているがプラスに上限はない。
 悪い取引は際限のないリスクに限られた利益があるだけだ。

⓱良い取引はその取引設定における最適な取引量で行われる。
 悪い取引は感覚、経済的窮状、あるいは根拠のない自信から行われる。

上記17条に関連する名言

上記❶~⓱を後押しする名言も掲載されていますが、これも必見。
トレーダーなら心にチクッと自分のトレードを反省せざるを得なくなる言葉が並びます。
※黒丸の番号は、上記の番号に対応しています。

❶ブレア・ハル

勝つために決定的に必要なのは数学的なスキルではない。システムにどこまで執着して行動できるかの規律である。

❷❸⓭マーク・ダグラス

これから犯すであろう投資における過ちのうち 95%──そのせいであなたのすぐ目の前で資金が蒸発することになるのだが──それはあなたの過ちに対する態度、金を失うことに対する受け止め方、機会を逸し、金をテーブルの上に放置するようなあなたのその姿勢に端を発している。

本質的には、あなたが恐れているのは市場ではない。やらなければならないことが自分はできないのではないか、何かをする必要がある時に躊躇なくできないのではないかと自分の無能を恐れているのだ。

与えられた一連の変数ごとにランダムな勝ちと負けが発生し、それが優位性を決める。別の言い方をすれば、あなたは過去のパフォーマンスに基づいて、例えば次の20の取引のうち12の取引で勝ち、8の取引で負けるであろうことを可能性として知っている。知らないのは勝ちと負けがどういう順番で来るのかと、勝ちの取引で市場がどれほどの勝ち金を用意してくれるかだ。この事実によって投資は可能性、あるいは数字のゲームと化す。
投資がシンプルに可能性のゲームだとあなたが本当に信じるなら、「正しい」とか「正しくない」とか「勝つ」とか「負ける」とかのコンセプトはもはや同じ意味を持たなくなる。結果として、あなたの予測というのは可能性と同調することになる.

❹アラン・ファーレイ

経験を積んだトレーダーはリスクをコントロールする。経験の浅いトレーダーは利益を追いかける。

❺マーティン・シュワルツ

私の投資キャリアのうちで最も重要な変化は、自分のエゴを投資から決別させることを学んだ時に生じた。投資は心理的なゲームだ。ほとんどの人々は自分が市場と対決していると考えているが、市場はそんなことは気にしていない。あなたは実はあなた自身と戦っているのだ。あなたは自分が正しいと証明されるために、こんなふうになってほしいと願うことを止めなくてはいけない。市場が今、あなたに何を語りかけているかだけに耳を澄ますのだ。何を語っているかと5分前に考えたことは忘れなさい。投資の唯一の目的は自分が正しいと証明することではない。レジに入金されるチャリンという音を聞くのが目的なのだ。

❻ヤコブの手紙 第1章8節

二心ある人はその行いがすべて不安定である〟

❼ジェシー・リバモア

市場を予想しようとしたら、それはギャンブルと同じことになる。忍耐強く市場がシグナルを出した時だけ反応するのなら、それは投資になる〟

❽ポール・ロッタ―

トレーダーは見解を持ってはならない。あなたの見解が強ければ強いほど、含み損のポジションから抜け出るのは難しくなる。

❾リチャード・デニス

鍵となるのは一貫性と規律だ。我々が人に教えているルールのうちの8割くらいはほとんど誰でもリストアップすることができる。彼らにできないのは、物事が暗転した場合でもそれらのルールにしっかりと従い続けられるような自信を持つことだ。

❿ウィリアム・エックアルト

純粋な価格決定システムは北極点になぞらえることができる。そこからどう出発しようと南に向かわざるをえない。

⓫リチャード・ヴァイスマン

「トレンドとは何か?」という質問には次の質問で答えたい。「君の設定する時間枠は何だ?」

⓬マーク・ミネルヴェニ

私の戦略はうまくいっている。なぜなら私の戦略だからだ。私は自分のしていることの強みをよくわかっているし、より重要なことだが弱みも理解している。それがうまくいくのは私がそうしているからだし、困難にぶち当たっても私がそれにしがみついているからだ。アプローチを変え続けていたらうまくいくものはない。その道をマスターするには、スペシャリストでなくてはならない。あらゆる取引に手を出すようなヤツではだめだ。

⓮ポール・チューダー・ジョーンズ

一日の終わりに考えることで一番重要なのは、自分がどれくらいリスクコントロールをうまくやったかだ。

⓯エド・シコータ

負けが続く期間に取引をしようとするのは感情面で破滅的だ。「追いつこう」と投資するのは致命傷になりうる。

⓰ヴァン・サープ

本当に重要なのは、損失は小さく切り捨て、利益はそのままに伸ばすことで儲けるのだということをあなたが理解しているかどうかだ。そうすれば常にプラス期待の投資システムを作ることができる。

⓱D.R.バートンJr.

私は口座資産を吹き飛ばした数多の連中と話をした。小さな損失を何度も繰り返してそれで口座残高がゼロになったなんて話をした者は一人としていなかったと思う。資産を吹き飛ばしたというストーリーには間違いなく不適切に大きなサイズの取引が絡むか、あるいは価格の劇的な変化か、時にはこの二つが複合して絡んでいる。

最後に

今回は、「ニュートレーダー×リッチトレーダー 完全プラス期待システム」から、トレードで成功するために大事なことをまとめて紹介しました。

第一弾の本と重複する内容も多いですが、だからこそ、何度でも認識すべき大事なことだとも言えます。本書からの学びは上記紹介だけにとどまるものではありません。

日本人は逆張りが好きで、また、下手な投資家ほど、その場の雰囲気でポジションを取りますが、そんなことでは、市場の養分になってしまうことを、繰り返し再認識させてくれます。

投資でうまくいかないなら、「売買ルールを守る=自己を規律する」ことがいかに大事か、本書から学びましょう。