【書評/要約】ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得(スティーヴ・バーンズ 著)(★5) 超良書!

長期にわたり成功しているトレーダーはトレーダーは1割。残り9割は成功者とは言えないトレーダーか、損失を抱える負け組。

成功者も最初からかけたわけではない。損失を乗り越え、どのようにしたら長期的に勝てるかという問題に真摯に向き合い続けたからこそ、「成功」がある。

本書「ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得」は、トレンド追随型の取引をするのに不可欠なハンドブックともいえる良書。

新米トレーダーと金持ちトレーダーの違い18を、①投資家心理 ②リスク ③投資手法 に分けてわかりやすく解説。18のポイントを自分に当てはめて判定するだけでも、十分価値ある1冊。投資本ではよく語られる内容ではあるものの、まとめ方が非常にうまく、投資家の心に刺さります。

絶対に読むべき1冊です。私は、反省させられっぱなしの1冊でした。

目次

新米トレーダー VS 金持ちトレーダー の18の相違点

【書評/要約】ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得(スティーヴ・バーンズ 著)

投資で成功するためは、感情を排除し、報道やSNSなどのノイズに惑われことなく、事前に決めた投資ルールに従って売買を行うことが大事です。
しかし、多くの人は、それが大事だと理解はしていても、実行ができません。その実態は、「投資家の1割しか勝てない事実」が物語っています。

本書は、「新米トレーダー」と「金持ちトレーダー」の思考・行動の18の相違点をわかりやすく、納得感のある説明で教えてくれる超良書。

両トレーダーの違いを、
投資家心理(1章)
リスク(2章)
投資手法(3章)
の3つの観点に分類。その相違点を説得づける偉人の明言と、合わせて読みたい本と共に紹介しています。

18の相違点をもとに、自分の売買を顧みると、改善すべき点がよくわかります。

以下では、18の相違点をポイント&合わせて読みたい本と共に紹介します。

投資家心理

投資家心理:【書評/要約】ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得

新米トレーダーは欲張りで非現実的な期待をする。
金持ちトレーダーは投資収益について現実的である。

名言
「楽して金を儲ける方法を探す人間は、そのような方法が地球上のどこにもないことを自ら証明するために、代償を払うはめになる」──ジェシー・リバモ

参考本

新米トレーダーはストレスから誤った判断をする。
金持ちトレーダーはストレスを管理する。

名言
「取引に際し、過度のストレスを感じるとすれば、取引量が過剰か、もしくは取引システムに十分な自信がないかどちらかだ。取引量を減らすか、もしくは取引システムをもう一度見直して、ストレスを取り除こう」──スティーブ・バーンズ

参考本

新米トレーダーは我慢できず、絶えず売り買いをする。
金持ちトレーダーは我慢強く、買いシグナルを待つ。

下手なトレーダーは、なぜ、売買しすぎるのか、突発的に注文を入れてしまうのか

下手なトレーダーは、以下のような特徴を持っています。あなたはどうですか?
①取引計画が明確になっていない。
②退屈して刺激を求めてしまう。
③高慢になり、自分が他のトレーダーより頭が良いんだと思って取引してしまう 等

【対策】どうやったら防止できるか?

売買は、お金を儲けるためだけに行うべきです。娯楽のため、自分自身の考えを正しいと証明するための取引は必要ありません。

利益になる取引は、実はほとんどの時間、退屈なものです。投資の成功に必要な「いつ何をするかが明確な売買」には楽しさはありません。また、市場に対する優位性に基づく取引プランがあるのだとしたら、突発的に取引することもあり得ません。

名言
「間違ったことをするくらいなら、何もしないほうがよい。何をするにしても、それは全て自分にかかってくる」──ブッダ

参考本

新米トレーダーは欲と恐怖心に動かされ取引をする。
金持ちトレーダーは取引プランを使う。

名言
「希望や恐怖心、欲望と同じで、プライドというヤツは素敵なバナナの皮みたいなものだ。これまでで一番ハデにすっころんだのは、感情的にポジションを取ったすぐ後のことだったよ」── エド・シコータ

参考本

新米トレーダーは学ぶことをやめて失敗する。
金持ちトレーダーは市場について学ぶことをやめない。

取引日誌は、自分自身がどうなのかトレーダーに教える先生のようなものです。継続することが、成功につながります。

名言
「私は長い人生で、幅広い分野の様々なことを知る優秀な人物に出会ってきたが、彼らの中で普段から読書にいそしまない人は一人もいなかった。ただの一人もだ」──チャーリー・マンガー

2章:リスク

投資家心理:【書評/要約】ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得

新米トレーダーはギャンブラーのように振舞う。
金持ちトレーダーはビジネスマンのように活動する。

成功への鍵は小さく負けて大きく勝つこと、「損小利大」です。しかし、多くの人は、「損大利小」です。
取引しようとパソコンに向かったら、カジノではなく、オークションに参加するような気分で取り組むことが必要です。ギャンブラーのように取引する限り、投資で成功することはありません。

名言
「リスクは、自分が何をしているのかわかっていないということがその原因だ」──ウォーレン・バフェット

参考本

新米トレーダーは全財産を賭ける。
金持ちトレーダーは注意深く取引量をコントロールする。

名言
「金融業界での長いキャリアの中で、私は自分の見知った人々がリスクを尊重しなかったがために失敗し、破滅した例を何度も繰り返し目撃している。もしリスクをきっちり監視することができなければ、リスクはあなたの身柄をさらっていくだろう」──ラリー・ハイト

新米トレーダーにとっては、莫大な利益を上げることが最優先事項だ。
金持ちトレーダーにとっては、リスクマネージメントが最優先事項だ。

リスクマネージメントを行うには、まずは、どんなリスクがあるか知る必要があります。市場にはリスクが山ほどあります。

❶取引リスク
❷相場全体のリスク
❸ボラティリティリスク
❹持ち越しリスク
❺流動性リスク
❻マージンリスク
 ※保有株式を担保として、証券会社から資金を借りて追加で株を購入するときに生ずる
❼決算リスク
❽地政学的リスク
❾時間価値減耗リスク
 ※オプション取引をした場合、時間的価値は刻一刻と削られていく
❿単純ミスのリスク
⓫技術的リスク
 ※通信・サーバ等のダウンによるリスク

名言
「ルール1:決して損をするな。ルール2:決してルール1を忘れるな」──ウォーレン・バフェット

参考本

新米トレーダーは自分が正しいのだとむきになって思い込む。
金持ちトレーダーは間違ったとき、すぐに認める。

名言
「優れた投資というのは、自分のアイデアに断固従おうとする信念と、間違いを犯したときに率直に認める柔軟性の間の、特異なバランスの上に成り立っている」──マイケル・スタインハルト

参考本

新米トレーダーは出口戦略がないために利益を手放してしまう。
金持ちトレーダーは利益が出ているうちに確保できる。

名言
「テーブルの上にお金が残っているうちに取れ。トレイリング・ストップ注文はイコール利益の確保だ」──スティーブ・バーンズ

どんなに投資の経験を積んだとしても、決して相場が『わかる』ことはありません。100%、市場を予想することは絶対にできません。投資家にできるのは、市場が出すサインに反応することだけです。

市場が出すサインに、少しでも勝率を上げて取引をするために、以下のルールを守りましょう

取引ルール10条

❶毎日、取引を始める前に、自分の取引ルール、取引プランを読みなさい。
❷決して株価の反発を期待してはいけない。最初に決めた価格で損切りしなさい。
❸常に規律を守ること。最初に決めた取引プランに従うこと。
❹決して度が過ぎた取引をしないこと。
❺成功する取引は取引プランとシステムに従ったものだと知ること。
❻何かをしながら取引してはいけない。取引している時は、取引に集中する
❼自分の考えはどうでもいい──ただ値動きがあるだけだ
❽決して予想しようとしてはいけない。トレンドに従い、トレンドの反転に従え。
❾後知恵の罠にはまってはいけない──取引している今、現時点が重要だ。
❿常に相場の動きを尊重し、傲慢になってはいけない

3章:投資手法

投資家心理:【書評/要約】ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得

新米トレーダーの大多数はすぐに諦める。
金持ちトレーダーは成功するまで粘り強くやり続ける。

名言
「努力すればするほど、諦めるのもまた難しくなる」──ヴィンス・ロンバルディ

株価が現実そのものです。個人的な意見には、ほとんど価値はありません。多くは後付け講釈です。常に相場の動きを尊重し、傲慢になることなく、粘り強くやり続けることが大事です。

新米トレーダーは損をするたびに投資手法をころころ変える。
金持ちトレーダーはたとえ一時的に負けていても勝てる戦略をとり続ける。

投資で成功するためには、学び続けることが大事です。しかし、それは、投資手法をどんどん変えればいいということではありません。聖杯探しの旅に出てはいけません。どんな先生が、何を教えてくれるか理解すると学びやすくなります。

取引に関して大事なことを教えてくれるもの

①先生:彼は株式投資で成功している
②書籍:成功した投資家の抱く原理原則を学べる
③チャート:繰り返し現れるパターンについて研究できる
④アイデアや取引内容について情報を共有できる信頼できる友人
⑤取引日誌:自分自身について、また取引システムについて教えて教えてくれる

名言
「誰もがゲームプランってのを持ってるんだ。ガツンと一発食らうまではな!」──マイク・タイソン

参考本

新米トレーダーはその場の考えで注文を入れる。
金持ちトレーダーは確率に基づいて注文を入れる。

株式投資は簡単には儲からない。
投資はただ上昇する株式を買うというだけではない。
利益は勉学、規律、勇気、忍耐とやりぬく意思を通じてのみ得られる
のです。

名言
「株式市場とラスベガスでは、真の確率に基づくプレイと、対戦相手がその確率を軽視することで生まれるその差異で金を儲ける」──ハーヴェイ・デンタッグ

参考本

新米トレーダーは正確に予言しようとする。
金持ちトレーダーは市場が語りかけてくることに従う。

名言
「株式市場は常に正しく、自らをもって自分自身を一番うまく語る」──ベントン・デイビス

新米トレーダーはトレンドに反した取引をする。
金持ちトレーダーはトレンドに従う。

損失を一番被りやすいのは、強気相場で売りに入り、弱気相場で買いに入ることです。相場の天井や底を捉えて、そこで相場が反転するのを予想できるなどと考えるのはうぬぼれも甚だしい。トレーダーが一生懸命になるべきなのは、相場の方向性を見極め、それが反転したときにストップロスをどうするか決めるということだけです。あくまでも市場に謙虚な姿勢が大事です。

投資に100%はありません。優れたとトレンドトレーダーは40~50%の確率で勝ちます。勝つときは大きく、負けるとき小さく負ける「損小利大」です。これができないと成功はできません。

一番難しいのは、やはり何度も続けて負けたときに、自分の取引システムに信頼を置き続けられるかです。それは、資金が大きくなればなるほど難しくなります。

名言
「株式市場には一方の側があるだけだ。強気側とか弱気側とかではなく、当たっている側かどうかというだけだ。この株式投資ゲームの一般的な原則がしっかり心に刻み込まれるには、他のどんな技術的な問題よりもよほど時間がかかった」──ジェシー・リバモア

参考本

新米トレーダーは感情に従い、劣勢に立つ。
金持ちトレーダーは優勢に立てるシステムに従う。

名言
「単に株式もしくは市場を取引しているのではなく、他のトレーダーと相対して取引しているということに気づくのが早ければ早いほど、あなたはより裕福になれるだろう」──クイント・タトロ

参考本

新米トレーダーはいつロスカットするべきか、いつ利食いするべきかわからない。
金持ちトレーダーは出口戦略を持っている。

・ウォール街のトレーダーの周りに濡れ手に粟なんて話は一つもない

・株式取引をしていてもピザ配達をしていても、ビジネスはビジネス。どんなことでも人生で成功するには、リスク・コントロールと、正しい考え方、優れた手法、需要と供給、原理原則、勇気、ストップロス、それから利益が出ているものはそのまま伸ばすということが必要

面白いことに、投資を成功させるために僕に教え続けてくれた原理原則は、僕の人生のほかの分野でも手助けになる。人生における様々なことをもっとはっきりと考えられるようになる。

名言
「損失は、それを出してしまったあとは自分を苦しめたりしない。私は一晩寝たら忘れてしまう。しかし、過ちを犯し、損切りをしないというのは、財布と心身にとって実にダメージになる」── ジェシー・リバモア

新米トレーダーは利益は小さく、損失は大きくしてしまう。
金持ちトレーダーは利益は大きく伸ばし、損失は小さく切り上げる。

資産価値を増やすことばかりにとらわれていると失敗します。常に資産価値の上昇より、資産保護を優先することが大事です。

名言
「当たったかどうかは問題ではない。当たったときにどれくらい儲け、外れたときにどれくらい損をするのか、それが重要なのだ」──ジョージ・ソロス

参考本

最後に

今回は、「ニュートレーダー×リッチトレーダー株式投資の極上心得」から、新米トレーダーと金持ちトレーダーの18の相違点について、ポイントを紹介しました。
18の相違点は聞いたことがあるものばかりだったかもしれませんが、自らの投資スタイルを改めて反省するきっかけを与えてくれるはずです。反省し、見直す。これができるなら、投資成績は改善するはずです。

是非、投資での成功確率を高めるためにも、本書を読んでみてください。深い学びが得られるはずです。