子供はお金のことなんか考えなくていい、そう考える大人が我が国「日本」には少なくありません。
その理由は、意識する・しないにかかわらず “お金=汚いもの” “お金=悪いもの” という感覚を持っているからです。しかし一方で、お金持ちにはなりたいと考えています。しかし、ネガティブな考えを持っていて、果たしてお金持ちになれるでしょうか?
このような日本の「お金に対する意識」に警鐘を鳴らすのは、本書の著者 村上世彰さん。「もの言う株主」と言われ恐れられた村上ファンドの村上さんといえば、お分かりの方も多いでしょう。
村上さんは、2006年にニッポン放送株式のインサイダー取引の容疑で逮捕された過去があるため、「お金に関するダークなイメージがある人」とお思いの方も多いかもしれません。しかし、その後、子供に「お金の授業」を行うなど、お金の付き合い方について教育を行っています。
今回は、著書「いま君に伝えたいお金の話」から、「お金」に関する大事な学びを書評としてまとめて紹介します。
目次
お金について学んでこなかった「今の大人たち」
私はもともと理系ですが、ある時、お金の勉強が必要だと考え、FPの資格を取りました。それは、あまりに自分が税金・年金・資産形成などについて無知だったから。今年2022年から学校の「お金の授業」が始まりましたが、私の時代にはそんなものはなかったからです。
著者の村上さんも、日本の学校ではお金のことをほとんど教えていないことを疑問視。「お金の勉強するのに早すぎると言う事は無い。むしろできるだけ早いうちにお金について考える習慣をつければ、その分、お金に関してしなくてもない苦労が減るはずだ」との考えを持ち、自ら、子供にお金について学ぶ機会を与えてきました。
だから、本書は、以下の内容が中学生でも読みこなせるような平素な言葉で書かれています。しかし、先に読むべきは「大人」。本書に書かれている内容が十分理解できているなら、多くの日本人がこれほどまでお金に悩み苦しむ生活をする必要などなかったと思えるような内容です。
本書の章構成は以下の通りです。
1章 お金って何だろう?
2章 お金と世の中の関係
3章 君がお金を手にする方法
4章 働き方が大きく変わる
5章 稼いだお金を貯めて増やす
6章 お金と向き合うための覚悟
7章 とっておきのお金の使い方
以下では、上記構成の中から、私が興味深く思った内容をまとめます。
お金の魔力~値段に騙されるな
人間は値段が高いものには何か高い価値があると錯覚してしまいがちです。
ただ、値段が高いと言うだけで、それを何か凄いものと思い込んでしまうのはなぜでしょうか?その理由は、お金には「魔力」があるからです。
高価なものがどうしても欲しくなってしまうことがあると思いますが、そんな時は、「その商品には自分にとってその値段に見合うだけの意味や価値があるかどうか」、今一度自分に問うてください。ただ、見栄のため、人が持っているから自分も欲しいといった理由で、欲しいことも多々あります。これは、まさに、お金の魔力によって、本当に大事なものがわからなくなってしまった状態です。
お金とうまく付き合うには、日々の暮らしの中で、その金額が自分にとって意味と価値があるかどうかの判断が必要することが大切です。「それがあなたの何日/何時間分の働きとの交換の上で買うのか」、考えてみてください。
すると、散財癖は減ります。
お金のセンスを磨くには
お金のセンスを磨きたい。そう思っている方は多いはずです。そんな方に村上さんはアドバイスします。
日常シーンで、お金の思考法を身につける
どうしてこっちの商品の方があっちの商品よりも高いのか?
自分はどうしてこの商品が欲しいのか?
値段と自分が得る幸せのバランスが取れているか?
日常生活の中で、上記のことを考える癖をつけると、値段に騙されることがなくなるばかりか、物欲以上にその背景にある、経済の成り立ちが見えてきて、お金のセンスが磨かれます。また、無駄遣いもなくなります。
ちなみに、村上さんは、モノを買うこと以上に、このような経済の仕組みを考えることが楽しかったそうです。
センスを磨く、ゴチゲーム
ぐるナイの「ゴチ」というお食事代当てゲームをご存知でしょうか?
食事の内容、食材、店の雰囲気をもとに、食した料理の食事代を当てるテレビ番組です。村上家では家族で食事に行った際にゴチゲームをするそうです。
家族で楽しみながら、値段に慣れ親しみ、食事やサービスの質と価格の関係を考える。そして、自分にとって値段に見合う価値があるのかどうかをきちんと考える。
家族と議論したりみんなで考えたりすることもでき、ゲームを家族で楽しみながらお金に強くなるためのトレーニングができます。
村上家流ゴチゲームは、ぐるナイのゴチよりちょっとだけ高度なルールになっています。本書でご確認ください。
夢を追いかけるときこそ「お金」が大事
時代は変わりました。もはや会社員は気楽な稼業ではありません。世界を見渡すと日本の他にそんな甘い認識のある国はほとんどありません。
組織属さず、「個人VS世界」というような仕事の仕方は今後ますます可能になってくると、毎月決まった給料もらって暮らす状況もどんどん変わっていくでしょう。
好きなことのために仕事をすると言う選択はしやすくなっています。しかし、夢を追いかける時こそお金が大事です。
好きなことが出来るならお金が稼げなくても良いと簡単に口にしてしまう人がいます。その考え自体を否定するつもりはありません。しかし、本当に覚悟ができているのか?
中途半端な気持ちではダメなのです。
投資に大事な「期待値」
村上さんが株式投資をする上で、最重要視するのが「期待値」です。
期待値とは、儲かる確率のこと。100円である株を買ったときに、将来それが300円になる可能性はどれぐらいか、逆に50円になってしまう可能性はどれくらいか、ということを自分なりに考えて、期待値を割り出します。
感覚で投資してはいけません。どうすると勝つ確率を最大化できるか考え、戦略を立てる。
期待値で物事を判断、戦略に取り入れ勝負で勝つには訓練が必要です。この期待値の感覚を鍛えるゲームのやり方が本書内に紹介されています。
・ポーカー
・じゃんけんゲーム
・31ゲーム
・七並べ など
遊びとしてのゲームも「勝負事」です。上記のようなゲームでも、確率を考える、人の顔色・雰囲気を読むなどすることで、勝負事に強くなるスキルを強化することができます。
賢い人は、単なる遊びもこんな風に戦略的に考えて対戦してるのね、と思わされました。やっぱり、凡人と成功者との日常における差をまざまざと見せつけられた感じです。
ちなみに、以下の本も非常に参考になります。どちらの方も、非常に「確率・期待値」を重視して「勝ち」をつかみ取っています。
最後に
今回は、村上 世彰さんの「いま君に伝えたいお金の話」の要点を紹介しました。
お金についてコツコツ学び続ける人とその反対の人では、生涯において気づける資産形成額は全くこ