富裕層は海外で資産を増やすと言われますが、どうやって資産を気づいているのか、庶民なら気になるものです。

本書の表紙には、「元金5000万円で毎年500万円のリターン」の文字。はてさて、年率10%のリターンをどんな驚異の資産運用法が紹介されて入れうのだろうと思い手に取ったのが本書です。

ちなみに、私が資産運用において、かねてから指針の一人とさせて頂いている山崎元さんは、資産運用について考えておられる富裕層ないし準富裕層の方にご一読をお勧めするとの書評されていたのも、本書「プライベートバンカー 驚異の資産運用砲」を手に取った動機です。

著者は金融小説にも登場したプロのプライベートバンカー

著者の杉山智一さん屈指のプライベートバンカー。清武英利氏の著書『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』に、主人公として実名で登場する指折りのプロのプライベートバンカーです。
著者の経歴については本書でもその遍歴が詳細されていますが、本書のメインは3章以降です。

富裕層が海外口座で資産形成する理由は「レバレッジ」にあり

著者曰く、そもそも富裕層が海外に口座を持つ理由は、ずばり、日本では、レバレッジ運用がしにくいから。

海外のプライベートバンクでは、ファンドや債券、保険等の金融商品に対して、日本の金融機関とは比べ物にならないほど高い担保価値を認められているため、ファンド購入者は自分が買ったファンド担保にさらにプライベートバンクから融資を受け、手元資金以上の額のファンドを購入する、といった投資が可能になり、これを活用すれば、日本では決して実現できない利回りでの運用が実現します。

年率10%のリターンを実現するスギヤマスペシャル投資法

さて、メインテーマ。杉山さんが推奨する、驚異の投資法=驚異の資産運用砲「スギヤマスペシャル」と名付けられた投資法。

投資のベースはオフショア生命保険、つまり海外生命保険の加入。これをベースにその担保価値を最大限に活かしてプライベートバンクから融資を受け(レバレッジを掛ける)ことで、ハイイールド債ファンドを購入し、その運用利息で借入利息を賄うというのが大まかなスキームです。

⓪オフショア法人を設立する
①海外の生命保険に加入する
②自己資本を元にプライベートバンクから融資を引き出し、レバレッジを効かせて保険料を支払う
③海外のファンドを運用し、こちらもレバレッジをかける
④融資の支払利息を運用利益で支払う形で相殺する
⑤時間が経過してから、死亡保険金又は巨額の解約返戻金の形でお金を受け取る
※保険の解約返戻金は4年で損益分岐点に到達

この方法を使うと、45才、元金5000万円で、死亡保険金約3億2000万円の生命保険を確保しつつ、計算上元金に対して年率約10%、つまり毎年500万円のリターンを実現できるといいます。

上記説明では理解が難しいと思いますが、本スキームについては、本書内に図解入りで解説されております。この部分が本書の最も重要な部分だと思いますので、是非、本書にてご確認くださいませ。ちなみに、この手法の縮小版手法についても紹介されています。

リターンが高いのには理由がある

年率10%のリターンは魅力的です。たしかに、日本で実現できるスキームではありません。

しかし、
・為替リスクをとる(外貨建て資産のため)
・レバレッジを掛ける(資金の借り入れが必要なため)
など、相応のリスクがあるということは十分理解する必要があります。

金融知識のない人が、安易に手に出せる手法ではありません。運用する時間軸にもよるかと思いますが、知識を持って、かつ、為替動向・景気動向も計算に入れたうえで利用すべきスキームかと思います。

プライベートバンカー 驚異の資産運用砲

ついでにこちらの本もどうそ!