決して銀行と縁を切れといいたいわけではない。
しかし、銀行員の世話になってはいけないと強く申し上げたい。
一般的には、住宅ローンを借りる時のために銀行とは仲良くしておいた方がいいといわれる銀行。しかし、本書の著者、楽天証券経済研究所客員研究員であり、銀行員向けのセミナーや雑誌での講演・執筆経験をお持ちの山崎さんは、「銀行の利用は普通預金だけでいい」と言い切ります。
本書の構成は以下の通り。主にお金の運用の分野で、銀行及び銀行員がどれほど顧客のためにならない存在であるかについて説明。普通の銀行員がたぶん知らない知識も含めて、個人がお金を運用するに当たって必要な知識とノウハウについて解説されています。
1章:銀行との正しい付き合い方
2章:銀行員には不都合なお金の真実
3章:銀行員が教えてくれないお金の「正しい!」知識
4章:個人はお金をどう運用したらいいか
なお、著者は「あとがき」にて、「本書を一番読んでほしい読者は銀行員だ」と語っています。そのぐらい内容の濃い本です。読み応えがあります。
なぜ、普通預金以外で銀行を利用しないほうがいいのか
- 銀行員には、貴方の資産状況が丸わかり。今、お金がないという言い訳が通用しません。余剰資金があれば、金融商品を売り込もうとします。
- 銀行員が高給取りであることを忘れてはいけません。
年収が1000万円を超える人が珍しくありませんが、年間250日働き、1日8時間労働で計算すると、年収1000万円の人の1時間当たりの時給は5000円。銀行としてはその3倍は稼がなければならないから、「銀行員の時間のお値段」は相当に高いことなります。 - そもそも銀行が売る投信はクズばかり。手数料が高めのモノを選んで並べている印象を受けると山崎さんは言います。銀行を利用するのは、高級百貨店で家電製品を定価で買うくらい「賢くない消費者」となります。NISAの運用も同じく損です。
お金の運用、7つのツボ
山崎さんはお金の運用のツボを以下のようにまとめています。
- 年齢と運用方法は基本的に無関係。高齢者向け、若者向けといった年齢に最適な運用商品、運用方法といったものはない。
- 資金使途と運用方法もおおむね無関係。
- リスクをとる大きさは、運用商品の種類ではなく、リスクを取る運用商品に投資する「金額」で調整するのがいい。
- 運用商品を購入するかもしれない相手にお金の運用を相談してはいけない。
- 配当や分配金を使うのも、自分がもっている普通預金を取り崩すのも、同じ金額を使うなら、経済的な意味は同じ。預金がある人は「分配金」のニーズはない。
- 株式や投信はお金が必要だと思えば、自分が買った値段より安く売っても全く問題ない。 >同じ市場に投資するに当たって手数料がより高い商品は「それだけ」でダメ。手数料は高いが運用はうまいという運用商品を事前に選ぶことはできない。
もっと簡単に、お金との付き合いを知りたいという方は、以下の本がオススメです。