モノが売れないといわれる時代に、最高益を更新し続けるセブン‐イレブン。
2016年、チェーン全店売上約4兆3000億円。平均日販は約66万円。ローソンやファミリーマートより10万円以上も多く、コンビニ市場シェアは40%を超えています。独走態勢でモノが売れない時代でも最高益を更新。もはや、社会インフラ化への道を歩んでいます。
では、なぜ、セブンイレブンだけが強いのか?
本書は、その商品開発の舞台裏を、関係者の証言を追いながら描くドキュメントです。商いの王道が学べる一冊です。
変わらぬおいしさのために、変わり続ける
本書の著者は、コンビニ記者の吉岡秀子さん。過去にも「セブン-イレブンおでん部会―ヒット商品開発の裏側」や「セブン-イレブンは日本をどう変えたのか」などの著作を執筆しています。
長くセブンイレブンを分析してきた吉岡さんはセブンイレブンの商品開発の強さを以下のように解説します。
「変わらぬおいしさのために、変わり続ける。これがセブンのものづくりの考え方」
正直、自分のお気に入りの商品が商品棚から姿を消して残念な思いをすることがあります。しかし、市場を観察ながら、どんどん変化に挑戦していくのセブンイレブンの強さの一つ。
モノがあふれかえる現代、お客さんの嗜好は世の中の変化とともにどんどん変化します。この変化に置いて行かれないように、同じ場所に安住することなく絶えず変わり続けているのです。しかも、お客様の「ど真ん中」を狙って変化を続けているのです。
業界の常識を覆し、年間10億杯に達したのは「挽きたてコーヒー」。このコーヒーの登場で、私の場合、缶コーヒーを買うことはなくなりました。
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セブンイレブンの変化は商品開発だけにとどまりません。
2017年度、つまりは今年度からレイアウトを変更させた店舗を増やし、2021年度までに全店舗で新レイアウトに変えていく予定なんだとか。
このレイアウトの一新により、
・普段共働きで深夜帰りをする勤め人の方
・普段スーパーで買物をしている高齢者
を取り込むのが狙い。
冷凍食品スペースの拡充も、主婦、高齢者、深夜帰りのサラリーマンなどが帰宅後すぐにレンジでチンして食べられる便利さを認識してもらい購入してもらうことが目的です。
さらに、イートインスペース。私の平日仕事で外出中、落ち着いて食事をする時間がないとき、コンビニのイートインスペースを利用することがありますが、非常に便利です。
さて、このようなレイアウト変化、商品展開の変化により、女性来店比率は約半数。さらに50歳以上の来店比率が26%から43%に増えているそうです。