自らの力で生き方・働き方を切り開く必要が高まる現代に必要な力「セルフリード」。
セルフリードとは、自分で自分を育てる力のことです。
与えられた目標をこなすだけの自分を卒業し、自ら目標を見つけ、定め、歩みを進める。
そのために必要となるのが、自分自身がどんな人間で、何が好きで、何を得意としているのか、「本当の自分」を知ることです。
絶対・正解がなく、変化も激しい社会。さらに、国が個人を守り切れない社会では、状況に応じてしなやかに行動・生き方を決定できる自分を育てておく必要があります。
今回は、中竹竜二さんの著書『自分を育てる方法』に、セルフリードな力を高める方法を学びます。
目次
セルフリード力を鍛える
多くの人は、自分のことを分っていない。自分を十分理解できていないと、自分を導くことはできません。結果、誰かから目標を与えられてしか動けない「受け身人間」となります。まずは、この状態を正すことが必要です。
セルフリードを高め、自分を育てていくために必要となる力は3つあります。
❶自分を知る力(自己認識)
❷自分を導く力(主体性)
❸自分を支える力(自己承認)
以下では、これら3つをより深く見ていきます。
【自己認識】「自分を知る力」を育てる
セルフリードの第一歩は「自分を知る」ことです。 自分が何が好きで、何が得意で、何に喜びを感じるのか。 この自己認識が明確でないうちは、自分自身をどの方向に導くか、決められません。
自分をリードするには、自分を正しく知ることが欠かせないステップです。
「好き」を知る
現代人の多くの人が抱える病。それは、「好きなことが見つからない、わからない病」です。この病は、真面目に社会生活を送ってきた人ほど症状が進行しています。いつも人の基準で動いてきたため、自分の「好きなこと」がわからなくなっています。
改善策は、「好きだから〇〇を選ぶ」「〇〇をしたいからする」と言ったように「好き」を基準に選択し、行動することです。何が好きだか、わからない場合は、まずは、「貴重でうれしかった体験」を思い出し、なぜ、嬉しかったのか、理由を言葉にしてみましょう。そこにヒントがあるはずです。
「弱み」を知る
多くのビジネスマンは、弱みは見せるべきでないと思っています。しかし、自分の弱さを知り、さらけ出せる資質は、人や組織をまとめていく立場になったときに必要です。
それは、完璧すぎる上司より、自分の弱みを知ったうえで、組織の皆に協力を求められる上司の方が、好かれ、そして、彼を支えたい、支えたいと思ってもらえるからです。弱みを見せることが、「組織の強さ」につながり、組織で醸成される助け合いが成功を後押しします。
見方を変えれば、「弱みは強さ」です。「怒りがあるから、パワーが生まれる」「恐れがあるから、注意深くなれる」というように、見方次第でネガティブ感情はポジティブな行動のタネになります。
【主体性】「自分を導く力」を育てる
次は2つめの力、「主体性」=自ら動き、行動しようとする姿勢について見ていきます。
時代が求めるのは「自主性」ではなく「主体性」
主体性について語るときに、混同しがちなのが「自主性」です。 「自主性」と「主体性」は違います。
どちらも、【自分自身の頭で考えて「これをやるべきだ」と選んだ行動に取り組む】ことは共通していますが、「自主的」はやるべきことがはっきりしている場合によく使われるのに対し、「主体的」はやるべきことが明確でない場合に使われることが多い点が異なります。
日本人は「自主性」は得意なのに対し、「主体的」は得意ではありません。高度経済成長期のように、やるべきことが明確である時代にこの国民資質はうまくワークしました。しかし、時代は変わり、価値観の多様化、テクノロジーが加速度を増して変化する「正解のない世界」では、進むことができず、競争首位から大きく転落してしまいました。
「主体性」な生き方をするには
自分の前を走る〝未来の自分〟の姿を描き、その背中を追いかけていく。自分についていけば大丈夫と信じて進む。
これが、中竹の提言する「主体的な生き方」です。自分の未来と言っても、まずは、1日という未来でOK。1日の中に10回、20回と自分の未来を描くことです。その積み重ねが、未来のあなたを確実に変えてくれます。
そして、徐々に時間を長くして、「〇年までになりたい自分」も未来思考で描きましょう。
【自己承認】自分を支える力を育てる
セルフリードに必要な力の最後は「自己承認」です。 自分で自分をきちんと受け入れる・認めることで、自身で自分を支えられるようになります。自己承認のスキルを身につけることで、どんなときでもタフに明るくしなやかに、セルフリードできるようになります。
ここで大事になるのが、「行動承認」「成果承認」「成長承認」の3つです。
【行動承認】行動を振り返る
行動承認とは、「行動の振り返り」です。
その日1日の行動を思い出しながら、「よかったこと」と「悪かったこと」、その上で「次に改善したいこと」を書き出しましょう。ポイントは、「内容・感情・姿勢」の3点から振り返ることです。
内容(行動)を書き出し、その行動をとったときに、どんな気持ちになったのか、行動に伴って湧き出た「感情」、さらに、「この行動をしていたときの私自身の姿勢(態度や心構え)はどうだったか」、振り返ります。
感情をコントロールすることは簡単ではありませんが、感情にひもづく「姿勢」なら、自分の意識次第で変えることができます。姿勢が変われば、感情もポジティブに変化し、いい循環を生みだせます。
【成果承認】結果を振り返る
成果承認は、行動の結果として達成できたことの振り返りです。ここでの「成果承認」の「成果」は、日々の小さな成果・達成です。 ToDoリストレベルで構いません。
ポイントは、ToDoリスト作成時に、リスト化するタスクの難易度を低く設定にします。すると、「今日の成果項目(達成できた数)」は増えます。ゲーム攻略的に挑めば、モチベーションを維持できます。
【成長承認】自己成長を振り返る
成長承認は、過去のある時点から現在までの変化の振り返りです。
「人間の成長」には、「タテの成長」 と「ヨコの成長」があります。
ヨコの成長:知識やスキルを増やしていく成長(知っている、できる)
タテの成長:人間性の深みや幅広さ、質的な成長(ものごとの捉え方の豊かさ)
私たちは「ヨコの成長」ばかりを考えがちですが、より大事なのは「タテの成長」。「あの人は人としての器が大きい」と尊敬される人は、タテの成長に秀でた人です。彼らは、自己中心的な狭い視野ではなく、出来事の影響を広く俯瞰しながら、いろんな立場の人たちや世の中全体にとってどんなメリット・デメリットがあるか考えます。
物事をより多様に豊かに充実させていくほど、人間性も豊かになり、成熟していきます。結果、人に恵まれ、縁を呼び込むチャンスも増えていきます。
セルフリードのセンスを磨くヒント
最後は、セルフリードをより効果的に磨くヒントを見ていきましょう。
夢を描けなくても、しなやかにたくましく生きる方法
世の中の大半は、大きな夢を描くこともなく、行き当たりばったりで人生を選択し、流れ流されて今ここにいます。そんな自分を卑下する必要はありません。
遠い星を追いかけるように夢を一点を目指すのではなく、万華鏡のように、一つの模様を起点として水平方向に広がっていくようなキャリア展開をしようと考えてみてはどうでしょうか。
この「万華鏡型キャリア形成」も、ただ単にその時の状況に流されるのではなく、主体的に選択し、方向を決めるのであれば、適用力のある「しなやかな生き方」になり得ます。すでに備えている知識やスキルを、相手に上手に適用させることで、いつでも新しい環境に飛び込める自分になれます。そんな自信を育てていくことが、人生の安心につながります。
このように考えると、「夢を描かねばならない」というプレッシャーから解放され、キャリアの立て方がとても楽になります。
変わろうとする自分を止めようとする人に注意
人生を変えようと思っていることを人に相談すると、中には、それを止めようとする人がいます。このような、変わろうとする人を止める・批判する気持ちのほとんどは、「嫉妬」です。
こんな時は、「他人に理解されないほど、新しい領域に踏み出そうとしているのだ!」と気持ちを切り替えて、自分の挑戦に誇りを感じましょう。
批判に対し、反論をにパワーを割くことは得策ではありません。一番向き合うべきなのは、ほかでもない「あなた自身」。自分をよく知り、自己成長につなげることが最強の克服法となります。
成功ではなく成長を求める
新しいことを始めようとすると、人は「やるからには成功しなければ」と思います。しかし、そんなことは考えなくていい。
成功ではなく成長を求める。その成長も、小さな進捗の積み重ねでいい。
このように発想すれば、自分自身へのプレッシャーはぐんと軽くなります。小さな進捗こそが成長のエンジンです。 5年、 10年に振り返れば、 20年と経ったときにふりかえれば、すべてがきれいにつながり合って、大きく成長した自分に気づけます。
最後に
今回は、中竹竜二さんの著書『自分を育てる方法』に、セルフリードな力を高める方法を学びました。
「人生、どんなことがあるかわからないけど、自分なら何とかなる」と思えれば、生きることはとても楽になります。本書には、そう思えるヒントが詰まった本です。ここでまとめたことは学びの一部に過ぎません。是非、本書を手に取り、より多くの学びを手に入れ、人生を切り開いていただけたらと思います。