2024年から始まる新NISA。
年間の利用枠が拡大。投資可能期間・非課税機関も無制限になり、投資家にとって非常に使いやすい制度に生まれ変わります。新NISAと現NISAの違いを簡単にまとめると次のようになります。
❶新NISAは 「つみたて投資枠」 「成長投資枠」の併用運用
❷生涯投資枠が1,800万円(売却で生涯投資枠が復活)
❸1年間の投資可能額が、120万円 +240万円=360万円へ拡大
❹「投資可能期間」「非課税期間」が無期限に(ロールオーバー不要)
❽レバレッジの商品は購入不可
さて、ここで、2023年のNISA、及び、保有銘柄について、方針を持って挑まなくてはいけなくなるのが、現在「一般NISA」を利用されている方です。その理由について、私が考えるところをまとめます。
目次
2024年から開始「新NISA」
本記事は、2024年から始まる「新NISA」がどのようなものであるかを知っていることが前提に話を進めます。
新NISAについては、以下の記事で、現在判明している内容をまとめているので、参考にしてください。
【現:一般NISA】5年満期で損失を抱えている場合の問題
さて、新NISAが始まると、現:一般NISAを利用者が、これまで以上に真剣に考えなければならなくなるのが、【保有銘柄の出口戦略】です。
現:一般 NISAでは、投資期間が5年でこれまではロールオーバーで延命をすることができましたが、新NISAが始まると、ロールオーバーができなくなるからです。さらに、NISA制度では、損失が出ている場合も「損益通算」もできません。
※つみたてNISA民も出口戦略は必要ですが、猶予期間が十分に長い
以下では、一般NISA 5年満期と損失が出ている場合の問題について見ていきましょう。
5年で満期
NISAは、購入した株式・投資信託などが値上がりした後に売却した際、その利益に対する税金が非課税になる制度です。売却益だけでなく、配当金利益も非課税になります。
つみたてNISAと一般NISAが大きく異なるのは、年間投資額と満期までの期間です。期間については、つみたてNISAが20年満期であるのに対し、一般NISAは5年満期で、以下の①~③から対応を決めなければなりません。
①売却する
②課税口座(一般口座や特定口座)に移す
③保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)※2023年まで
①を選択するのは、多くの場合、利益が出ているからでしょう。以下では②③についてより詳しく見ていきます。
非課税期間終了までに何もしなければ②「課税口座に移行」
今年末までに何も手続きしなければ、②が適用され、資産は自動的に課税口座へ移行となり、翌年以降の配当や売却益は20.315%課税となります。
このとき、NISAから一般課税口座に移管される場合の株価取得額は、移管時の価格となります。利益が出てる場合は問題がありませんが、損失が出て切る場合は、実際の購入額より低い価格で一般課税口座に移管されることになり、NISAを利用しなかった時よりも税金が多くかかることになります。
③ロールオーバーをする
非課税期間終了時の3つ目の対処方法「ロールオーバー」とは、NISAを5年後満期を迎えたNISAを新しい年のNISA枠の中に移行する方法です。手続きをすればさらに5年間、非課税で購入した投資信託や株式を引き続き保有することができます。
ロールオーバーを選んだからといって、必ずしも税金的に有利になるとは言えなかったものの、損失が出ているときは、期間延命で、株価の上昇を見守ることができました。
しかし、ロールオーバーができるのは、来年の2023年まで。2024年に新制度が始まれば、これができなくなります。つまり、①売却、②課税口座に移す のどちらを選ぶにしても、「損益」が確定。損失が出ている場合は、損が確定することになります。
さらなる問題:NISAは「損益通算」ができない
さらなる問題が、NISA制度では、「損益通算」ができない点です。
損益通算とは、利益と損失を相殺できる制度です。課税口座の場合、口座Aでは損しても、口座Bで利益が出ていれば、それらを合計した額に税金がかかるため、合計の税金を安くできます。しかも、通算後も損が残れば、翌年以降3年間繰り越せます。しかし、NISAの場合、これができません!
つみたてNISA おすすめ金融機関
問われる一般NISAの出口戦略
ここまでをまとめます。一般NISAを利用している場合は、以下の点に十分気を付ける場合があります。
・2024年から新NISAがスタート
・一般NISAでロールオーバーができるのは2023年まで
※5年満期時は売却か課税口座へ移管が必要
・5年満期の段階で損失が出ていても、損益通算ができない
一般NISAは、保有銘柄の「終い方」が特に大事
一般NISAの場合は、ロールオーバーができないので、残りの「非課税投資期間」に慎重に売却時期を検討することが必要になります。株式市場の如何によっては、「損益がマイナス」で終わる可能性も否定できません。
今後、一般NISAで満期を迎える分は、基本的に、株価が好調な時を判断して、売却することが求められます。慎重な判断が必要です。
株価の動きは神のみぞ知る。誰にもいついくらになるかを正確に当てることなどできません。しかも、2022年に続き、2023年も相場は難しいと思われます。場合によっては、早めに売却した方がいい相場付き展開となるかもしれません。
タイムリミットを十分考慮して、一般NISA保有株の対処を考えられることをおすすめします。
ちなみに私はNISA株は2017年にすべて売却し利益で終わることができました。その後、現在に至るまで、「つみたてNISA」をしています。
2023年分はつみたてNISAの方がメリットがあるかも
現NISAと新NISAは、完全に投資枠が別枠です。そのため、2023年分は「つみたてNISA」を行えば、新NISAの生涯投資枠1,800万円とは別に、40万円の20年間の長期運用非課税枠を獲得できます。
このような点を考えると、細かく株価を見て、売買を行っている方は一般NISAの方が利益が上げられるかもしれませんが、あまり株価を見ていない人は、2023年は「つみたてNISA」に切り替えて、そのまま長期保有を続ける方が、メリットが大きいのではないでしょうか。
2023年の株価は不透明:どう構えるか?
2022年、世界は混迷を極めています。株式投資も、世界の株価に影響を及ぼす米国株式は、相場サイクル的に「秋・冬の時代」です。日本でも、2022年12月、日銀が方針の修正を行い、先行きが不透明です。
景気サイクル的には下降局面ですが、2023年は米国のアノマリー的には株価を期待したいイベントも控えています(以下の記事で紹介)。
こんな具合で、2023年も株式投資の判断が難しい年になるだろうと個人的には考えており、個人的には、コツコツ長期積立投資を継続しつつ、株価の下落に備えるヘッジ手段を用意しておくことが大事だと考えています。
ヘッジ手段を用意しておく
現物株や投資信託を保有してる人は、下落相場でのリスクヘッジ手段をお持ちでしょうか?
持った個別株やインデックスファンドなどを長く持ちたい場合は、下落相場でも値下がり分を補てんする手段を持っておくことをおすすめします。実際にヘッジの手を打つかどうかは別問題として、ヘッジが必要なタイミングはいきなりやってくるので、先に口座の準備をしておく個ことが大事になります。
以下では、その方法の一つとしてCFDを紹介しています。準備だけでもしておいてはいかがでしょうか。
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