【書評/要約】ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ(高橋 一喜 著)(★3.5) ソロ温泉は将来の自分への先行投資。その極意を学ぶ

非日常空間でひとり、何もせずただ湯につかる。この「自分への自己投資」「空白の時間」が、明日からのビジネスパフォーマンスを最大化させる

本書『ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ』の著者である高橋一喜さんは、日本全国津々浦々、名の知れた温泉地にはほぼ足を運んでいる本格派。ソロ温泉の効果を最大化する極意が惜しみなく紹介されています。

1人で楽しむ「ソロ活動」は、仕事だけでなく、人生を楽しく潤いのあるものにしてくれます。

今回は、ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ』から、ソロ温泉のメリット・湯に浸かり方の極意・効能など、学びを紹介します。

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ソロ温泉とは

【書評/要約】ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ(高橋 一喜 著)

ソロ温泉とは―――
人生を頑張る力を得るために、ひとりでただひたすら湯に身をゆだねて、心と体を解き放つ旅のこと

高橋流ソロ活動のスタイルはストイックです。

ソロ温泉は自己投資、ご褒美ではない

高橋さんにとってのソロ温泉は、頑張った自分への「ご褒美」ではなく、未来を作る「投資」です。普通の人が考える、温泉旅とはベクトルが逆です。

観光やグルメが目的ではありません。質の高い仕事をするために「心身を整える」ことが目的です。

慢性的に疲れ切った脳や体では、集中力を維持できません。また、疲労やストレスがかかった状態では、思考はネガティブになります。クリエイティブな発想できなければ、難題に立ち向かう解決策も導き出すことはできません。大きな仕事になればなるほど、タフな体力とメンタルが必要ですが、そのコンディションが整わないのです。

だからこそ、人間関係を含む様々なしがらみを取り去り、心と体を解放。そのうえで、自分と向き合う時間が大事なのです。

ソロ温泉の極意

【書評/要約】ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ(高橋 一喜 著)

では、自己投資としてのソロ温泉を楽しむためには、どんなことに注意を払ったらいいでしょうか。以下は、本書で紹介される数ある極意から、私が特に重要だと思った点です。

ソロ温泉の極意

・スケジュールを詰め込まない
・温泉「旅行」と分けて考える
・ただ温泉に入る。何かをしようとしない
・「源泉の質」にこだわる

温泉に行って疲れて帰るのは本末転倒

ソロ温泉において絶対にやってはいけないこと。それは「せっかく温泉に行ったのに疲れて帰ってくること」です。この原因の多くは、「スケジュールを積み込みすぎること」と「他人と行動すること(気づかい、時間拘束)」にあります。

「ここに行って感動した」「あれも食べた」「温泉にも入った」と欲張る旅も楽しいですが、旅に疲労感を覚えるようなら、当初の「心身を整える」目的は果たせません。

非日常空間で、一人を楽しむ

充実した「質のいいひとり時間」を過ごすには、日常との隔絶「非日常の世界」に身を置くことが不可欠です。

日常を離れて、見知らぬ温泉街を歩く、誰もいない静かな湯船にひとりつかる。そう場に身を投じることで初めて、「ひとり時間」の良さをを噛みしめることができます。

物理的にひとりになるだけでなく、心理的にもひとりになる。自分に向き合う時間は大切です。

ひたすら、ただ湯を楽しむ

私たちは、せっかくの温泉宿でも、非日常を楽しむののではなく、テレビを見たり、スマホでSNSを見たり、パソコンを開いたりします。

ソロ温泉は、仕事や人間関係などの日常から心身を解放するのが目的です。温泉に入ることが最優先事。仕事をするなどは言語道断です。

もっと温泉の湯に興味を持ち、効能案内板で源泉の湧出地、泉温、湧出量、成分、泉質、温泉のプロフィールを確認したりしながら、その湯に身をゆだねよと、高橋さんは提言します。

源泉かけ流しには誤解多し!いい温泉に必須な「厳選の質」

源泉かけ流し:【書評/要約】ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ(高橋 一喜 著)

ソロ温泉の目的は「湯に浸かる」ことですから、「源泉の質」にはこだわる必要があります。
高橋さん曰く、いい温泉の基準は「温泉の鮮度」。この鮮度を見極めるわかりやすい目安が「源泉かけ流し」という概念でです。

源泉かけ流しとは

源泉かけ流しとは、湯船に注がれた源泉がそのまま湯船からあふれて出ていく湯の使い方のことです。

実は、源泉かけ流しの湯船は全体の3割程度、しかも、源泉に水を加えることなく湯船に注がれる「100%源泉かけ流しの湯船」は1割~2割程度しかありません。温泉宿が「源泉かけ流し」をうたっている場合でも、実際には湯を循環しているケースが多々ある(かけ流し循環併用式、放流一部循環ろ過方式)そうです。

源泉かけ流し、鮮度が良いとは限らない

源泉かけ流しの湯船であっても、湯船の大きさに比して源泉の投入量が少ないと、浴槽内の湯が入れ替わるまで時間がかかり、湯船全体の鮮度は落ちていくことになります。そんな湯船にたくさんの人が入浴すれば、どうしても湯が汚れて、清潔感が失われてしまうことになります。つまり、「源泉かけ流しは絶対に鮮度が高い」とは言い切れないのです。

源泉かけ流し以外は、循環ろ過方式

湯船の数や大きさに対し、源泉の湧出量が少ない場合、かけ流しだと湯量が足りなくなります。そこで、浴槽内の湯を回収し、汚れを取り除き、塩素などによる殺菌を施したうえで、適温になるように調整しながら湯船に戻すことになります。これが、循環ろ過方式です。

簡単に言えば、源泉の使いまわしですね。当然、殺菌されて清潔度は保たれていますが、厳選の鮮度は落ち、温泉の個性も失われ、ただの水道水のようになっていく…大型旅館の大浴場は湯船が複数かつ大きいので、たいていは循環ろ過方式を採用せざるを得ないといいます。

【対策】早めのチェックインで湯船にGo

鮮度はなんとも言えませんが、少なくとも、チェックイン開始時刻に合わせてチェックインして、温泉に浸かれば、きれいな湯に浸かれます。

温泉宿に滞在できる時間は意外と短く、早めのチェックインをしても、睡眠・食事の時間を除くと、本当にゆっくりできる時間は正味6時間くらいです。このように考えても、温泉に行くなら早めにチェックインしたいですね。

温泉の効果を深堀する

源泉かけ流し:【書評/要約】ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ(高橋 一喜 著)

ここからは、温泉の心身に与える効果を深く掘り下げてみてみます。

温泉入浴で得られる効果

温泉の効果には、温泉入浴そのものから得られる効果は主に5つあります。

温熱効果・温泉で体が温まることによって血管が広がる⇒新陳代謝UP
・代謝UPで、体内の不要物が排泄されやすくなる
・体温上昇で免疫力もUP
水圧効果・水圧に、体全体にマッサージ効果
・足の先端から心臓に血液が戻る力も強くなりなり、血液循環がUP
浮力効果・首まで温泉につかると、体重は約1/10に
・筋肉が緩み、脳がリラックスする
転地効果・日常、特に、自然豊かな温泉地に身を置くことで五感が刺激される
・脳内のホルモンを調節する内分泌系や呼吸、消化といった生命維持活動をつかさどる自律神経系の中枢のスイッチが入る
⇒環境を変えること自体がストレス解消につながり、病気や精神疲労にも効果を発揮
薬理効果・温泉には地上に噴出するまでの過程で溶け込んだ温泉成分が含まれる
・これらを皮膚から吸収することによって体によい効果(肌など)が期待できる

泉質の温泉にも共通する効能以外にも、個々の温泉特有の効果にどのようなものがあるかも解説されているので、温泉好きは、温泉選びに当たって読んでおくとよいと思います。

【脳】副交感神経を優位に

トイレ、お風呂、散歩中に「アイデアが降りてきた!」という話をよく聞きますが、これは、ユニークなアイデアは、理詰めで考えようとしても生まれず、脳のリラックスが必要だということです。

脳科学の研究では、副交感神経が優位で、くつろいでいるときほど脳は活発に働くことがわかっています。このような時、脳は、「デフォルト・モード・ネットワーク」が働いており、頭の中の様々な事柄が、つながり、時に、その素晴らしいアイデアとなって降りてきます。

副交感神経と交感神経のメカニズム

副交感神経と交感神経のメカニズムについては、以下の記事で解説しています。知っておいた方がよいです。

ぬる湯のすすめ

心身ともにリラックスするために高橋さんがすすめるのは「ぬる湯」。

体を湯船に沈めると、最初は少々冷たく感じるますが、すぐに体になじみ、熱くも冷たくも感じない不思議な感覚が味わえます。

体温と同程度なので、湯と体の境目があいまいになる、心地よい一体感は極上。湯口から注がれるドボドボという音だけが、浴室内に響きわたり、なんとも言えない幸せを味わえます。

高橋さんおすすめの「ぬる湯の名湯」

ぬる湯の名湯:栃尾又温泉 加温も加水もされていない100%源泉掛け流し
駒の湯温泉(新潟県)
貝掛温泉(新潟県)
下部温泉(山梨県)
岩下温泉(山梨県)
川古温泉(群馬県)
祖谷温泉(徳島県)
長湯温泉(大分県)
湯川内温泉(鹿児島県)

これ以外にも、ソロ温泉の行き先として、以下のような温泉も紹介されています。

・浴衣で散策 ソロ向け温泉街のある温泉
・夏はホタル、冬は雪景色 大自然を満喫する温泉
・登山、離島、スマホ圏外 「不便」を楽しむ温泉
・降りてすぐ アクセスしやすい温泉
・日帰りで行く! 都会でプチ・ソロ温泉
・温泉も仕事も ワーケーション温泉

最後に

今回は、高橋一喜さんの著書『ソロ温泉—「空白の時間」を愉しむ』から、ソロ温泉の楽しみ方について、ポイントを紹介しました。

私は、旅行好き、サウナ好き。サウナについては週6でサウナを楽しむヘンタイ領域。当然、温泉も大好きなのですが、旅行>温泉、サウナ>温泉 が災いして、いまだかつて、一度も「ソロ温泉旅」に出かけたことがありません。しかし、自己投資としての「温泉」という考え方は気に入りました。まずは、関東圏で行ってみようかな。

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