
厚生労働省は2022年1月21日、2022年度の公的年金支給額を前年度から0.4%引き下げると発表しました。
これにより、2022年4月分からの年金支給額が値下がりします。
理由は、年金額改定の指標となる現役世代の賃金が下落したためで、これは2年連続のマイナスです。
本記事では、年金が具体的にいくら減るのか、いつから減るのかを明らかにしたうえで、そもそもどのような状況になったら年金給付額が減るかその仕組みを解説しますします。さらに、将来の年金減額に備える「私的年金のすすめ」についても言及します。
目次
年金受給額はいくら減るのか、いつから減るのか

年金受給額は、金額ベースでいくら減るのでしょうか?また、いつから減るのでしょうか?
年金の減額幅
年金受給額は現役世代の年金保険料の納付状況により異なります。そこで、年金受給者のモデルケースで確認しておきましょう。
◆厚生年金受給の夫婦2人のモデル世帯の場合
前年度比月額903円減の計219,593円
◆自営業者などが加入する国民年金世帯(40年間保険料を満額納付)
前年度比月額259円減の64,816円
年金減額は4月分(受取り月は6月)から
今回の年金減額は2022年新年度(2022年4月分)からの適用です。ただし、年金4月分の受取月は6月となるので、実質的には6月から減額となります。
年金減額はアフターコロナ時代の国民への負担増の始まり
減額幅は減額0.4%なので微々たるものです。しかし、「これからも年金が下がるのではないか」という高齢者の不安は小さくはありません。むしろ現在の年金受給者以上に、今の若者の方が、自分たちは年金がもらえるのだろうかと心配をしているかと思われます。
2020年から続くコロナ禍での生活を支援するため、国は様々な支援を行っています。確かに、国民一人当たり10万円給付などの支援はありがたいものですが、このような財源が湯水が湧いて出てくることはありません。これらのツケは「禍」が過ぎ去った後に、年金支給額縮小、医療・介護の負担増、増税、様々な商品・サービスの値上げなどとしてじわじわやってくるという心構えが必要です
事実、国民は今なお、東日本大震災の復興のために設けられた「復興特別所得税」を、上乗せで払い続けています(期間最長で25年間。2013年1月1日から2037年12月31日までの期間に得られた所得に対して課税)。
年金制度の減額の仕組み

年金減額について、おろおろと心配しても意味がありません。そもそもどのような状況になったら年金給付額が減るか理解し、どのように対策するかを考えることが求められます。以下ではまず、年金額増減の仕組み=年金制度のポイントを解説します。
年金受給額増減の仕組みをざっくり解説
日本の公的年金制度は、納めた年金保険料を自分を自分の老後のために積み立てる制度にはなっていません。現役世代が受給世代を扶養する「世代間扶養」の仕組みのもとで運営がされています。
そして、その公的年金支給額は、「❶賃金・物価変動率」と年金の支え手である現役世代の人口減少や平均余命の伸びを基にした「❷スライド調整率」で変動することになっています。
❶賃金・物価変動率に関して、現役世代が納付する保険料は賃金に連動することになっています。そのため、賃金が下落すれば年金受給額も減ることになりますが、物価がそれ以上に上昇していれば、改定率はゼロとなります。つまり、原資となる保険料は下がっても、年金額は維持されます。(❷については後述)
現在の賃金・物価の状況から見えてくる「年金受給額の未来」
ここで、2020年以降、現役世代はコロナ不況によるリストラや休業で賃金が大きく下がりました。2022年の現在においても、ウィルスは一向に収束する気配がありません。さらに、そこから経済が回復して、その回復の影響が雇用率の増加、賃金増加として反映されてくるにはさらに時間がかかります。
一方、原油は高騰しており、生産に原油を必要とする食料をはじめとする製品は価格が上昇しています。つまり、物価は上昇の可能性が大いにあります。しかし、物価上昇を反映し年金受給額が上がったとしても、その時は、生活用品の価格はそれ以上に上がっていると考えられるので、仮に年金給付額がアップしたとしても、生活が楽になることはありません。
こうした背景を鑑みると、しばらくは、年金がこれから数年は引き下がる、或いは、物価上昇で実質の受取額の価値は目減りする未来が見えてきます。
現役世代の賃金が減少/増加したら年金暮らしはどうなるのか

いまいち、現役世代の賃金上昇が与える年金への影響がピンとこない方のために、具体的なシミュレーションでどうなるのか見てみましょう。
現役世代の賃金が減少したとき

上記は、2021年時点でとある週刊誌が行ったシミュレーションです。仮に、実質賃金が20年から22年までの3年間、「年間2%ずつ低下」した場合、年金額がどのように減額するか試算しています。
結果は衝撃的です。、2025年には年金受給額は、以下の通り、驚くほど引き下がる結果となっています。
共働き夫婦世帯 :月約1万4000円減(年間約17万円減)
サラリーマンと専業主婦世帯:月約1万円減(年間約14万円減)
自営業夫婦世帯 :月約6900円減(年間約8万円減)
実際には、年金の減少率は2021年が0.1%、2022年が0.4%にとどまっているので、上記のような悲惨な結果になることはないですが、賃金が2%連続で下がるとあっという間に年金受給額が下がってしまうという現実を上記データは嫌というほど教えてくれます。
賃金が上がっても上がらない「年金額」
では、幸運にも現役世代の賃金が上がったら、年金暮らしは楽になるのでしょうか? 残念ながらそうはなりません。
本記事の「年金制度の減額の仕組み」にて、公的年金支給額は、「❶賃金・物価変動率」と「❷スライド調整率」で変動すると解説しましたが、賃金や物価が上昇した場合は、マクロ経済スライドという仕組みが発動されます。
このマクロ経済スライドは、物価や賃金に合わせて年金を引き上げる分から、被保険者数の減少、平均寿命の延びを勘案した『調整率』を差し引いて年金額を計算し、支給額を低く抑えます。つまり、❷スライド調整率が年金額上昇の足かせとなって機能するわけです。
つまり、賃金・物価が上がっても、年金生活者には恩恵はほとんどない…「賃金が上がろうが下がろうが、年金(の実質価値)は下がり続ける」のです。
老後のための自衛「自分で作る私的年金」

年金、ほとんどもらえないなら年金保険料なんて払わない。そんな若者が増えるのも理解できてしまう部分がありますが、だからといって、年金保険料を納めないのはおろかな考え。公的年金の保険料は支払いつつ、私的年金で受取額を増やすのが大事です。
一押し!最強の投資法「iDeCo」
私的年金を作るうえで、最強な方法は節税&投資優遇税制のダブルで資産形成ができるiDeCo(イデコ)。通常の一般口座での投資をする前に、まずは、この制度を利用して投資すべきです。
まだ初めてない方は、まずは、以下の記事をご参考に。
iDeCoとつみたてNISAかお迷いの場合
税制、課税面ではNISAより確実にiDeCoが有利ですが、老後より前に資産を取り崩す可能性がある方は、非課税投資制度「NISA」を使う方法もあります。
iDeCo、NISAどちらをどのように利用したらいいかお悩みなら、以下の記事で私の積立投資戦略(投資の仕方の考え方)をまとめているので、ご参考に。
つみたてNISA おすすめ金融機関
最後に
今回は、2022年年金減額の記事をきっかけに、、年金が減額になる現年金制度の仕組み・影響、将来、受け取る年金額が減るからこそ今から利用したい行っておきたい自衛策について解説しました。
私的年金などの自衛は、はやく始めるほど楽です。まだの方は、2022年こそ、投資を始めてください。
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