国民負担率 過去最高の44.6% 上昇はいつまで続くのか

新型コロナウィルスの感染拡大で曲がり角に来ている世界経済。
これまで、日経平均は長期にわたり上昇し、好景気期間も更新を続けてきていると言われてきました。私たちの生活が豊かになった感じは一向にしない。

しかし、景気拡大が続こうが、私たちの生活が苦しくなっているという感覚は気のせいではありませんでした。

令和2年2月26日、財務省が2020年度(令和2年度)の国民負担率を公表。国民負担率は過去最大の44.6%となるとの見通しを発表しました。

国民負担率とは?現状は44.6%で過去最高

国民負担率とは、租税負担及び社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率です。租税には国税と地方税、社会保障費には年金や医療保険が含まれます。

過去最大となる理由としては、消費増税が年間を通じて影響しているほか、所得税の「給与所得控除」などの金額が今年から見直され、所得が高い会社員らの負担が増えることが挙げられています。

今回発表になったデータは「国民負担率の推移(対国民所得比)」(令和2年2月26日発表)

これによると、昭和45年に24.3%だった国民負担率が、徐々に上昇を続け、令和2年では44.6%まで上昇する見込み。この上昇率は、半世紀で8割増しです。
国民負担に財政赤字を加えた潜在的国民負担率は、令和元年度から0.8%ポイント増加し、49.9%、つまり国民所得の半分まで上昇してきています。

国民負担率の推移(対国民所得)
国民負担率の推移(対国民所得)

国民負担率上昇の理由

過去最大となる理由は、
・消費増税が年間を通じて影響
・所得税の「給与所得控除」などの金額が今年から見直され、所得が高い会社員らの負担が増える
などが挙げられています。

その結果、以下のような負のスパイラルが起きていると考えられます。

国民生活を襲う「負のスパイラル」

消費税増税に伴う負担増

景気拡大に伴い年収上昇が報道されるものの、
もともと賃金上昇は限定的な一方、税金・社保の負担は増加傾向

家計の実質購買力は低下

消費を控えて買い控え
やむなく、最初は不足を貯金切り崩したとしても、そのうち蓄えも減少

家計の買い控えにより、企業は値上げができない
行き先不安なため、企業はますます内部留保は増やす(→業績よくとも賃金には回らない)

給料は上がらぬ中、「個人個人で努力してね」の姿勢鮮明
 政府:税制優遇制度iDeCo、NISAなどを制度拡充し、個人での資産形成を努力を促進
 企業:副業解禁により、追加収入の確保を暗に促す形に

【現在】
新型コロナウィルスの影響による経済活動の急速な減速
国民の外出抑制に伴う消費抑制により、会社倒産の不安に直面する企業も

【今後】
更なる支出抑制
収入減により、さらに実質購買力の低下へ

国民負担率が高い=悪ではないが…

ここで、理解してくべきは、「国民負担率が高いこと=悪」ではありません。

国民負担率の国際比較(OECD加盟35カ国)

OECD加盟35ヵ国の中でも、北欧やEU諸国などは国民負担率が60%を超える企業も多数あります。社会福祉がしっかりしており、収入がない子供や学生、お年寄りでも安心して暮らせる環境が整っていれば問題はありません。

国民負担率の国際比較(OECD加盟35カ国)

国民負担率の国際比較(主要国)
国民負担率の国際比較(主要国)

日本の現状

しかし、日本の場合は、将来にわたる社会福祉の不安は解消されるどころか、2019年、年金のみでは老後2000万円が不足といった話題が、政府から発せられる事態になっており、とても、安心できる状況ではない現状にあります。

国民負担率はいつまで上昇するのか?

では、いつまで国民負担率は上昇するのか?

これに関して、政府の見解は発表されていません。しかし、全人口に占める老人の比率を鑑みると、将来の国民負担率の傾向が見えてきます。

以下は、内閣府発表の「高齢社会白書(令和元(2019)年版)」の「高齢化の推移と将来推計」データです。

これを見ると、今後の人口推計は以下のように予想されています。

今後の高齢者の人口推移

  • 65~74歳人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に平成28(2016)年の1,768万人でピーク
  • その後は、令和10(2028)年まで減少傾向となるが再び増加に転じ、令和23(2041)年の1,715万人に至った後、減少に転じる
  • 75歳以上人口は、令和36(2054)年まで増加傾向が続く
  • 高齢化率は上昇し、現役世代の割合は一貫して低下。令和47(2065)年には、65歳以上1人に対して1.3人の現役世代が支える状況に

基本的に、現役世代の割合が増加しない限り、国民負担が軽くなるとは考えられません。
このように考えると、現状においては、今から45年後の2065年においても国民負担は上昇すると考えられます。ただし、65歳以上人口を15~64歳人口で支える割合の減少率は、2020年以降、鈍化してきます。故、このころになると国民負担率の上昇も抑えられていくのではないでしょうか。

また、現在、「60歳、65歳リタイア」という考えから「生涯現役」という考えが浸透中で、今後は、65歳以上でも、健康が続く限り働きつ続ける人の割合も増えると考えられます。この考えがより促進されれば、国民負担率の上昇はもっと早い時点でストップするかもしれません。

最後に

今回は、国民負担率上昇の現状と、今後、国民負担率がいつまで上昇するかについて、私の考えをまとめました。

いずれにしても、国民負担率の上昇を「個人の問題」として考えるなら、以下2点の自助努力を早いうちから進めることが大事であると考えています。

  • 65歳以上になっても働ける環境を作っておくこと
  • 死ぬときはピンピンコロリで、(仕事量は減ろうとも)「生涯働ける健康な体づくり」を若いうちから行ってくこと

少なくとも、健康対策は早く始めるに越したことはありません。

そう考え、昨年から、食事会・飲み会がない限り毎時に「ジム&サウナ」を続けています。幸い、習慣化したので、これを続けていくと同時に、ここ5年ぐらいで太ってしまって元に戻らない体重をもとに戻すべく、食事の仕方も改めてきたいと考えています。

参考記事:早く資産形成を始めよう