同じ勉強をしているのに、なぜ差がつくのか?多くの方は、一度は、この疑問を抱き、やりきれなくなったことがあるのではないでしょうか?

しかし、そこにはそこには明確な理由があるとしたら?

単に、勉強でいい成績をとり、仕事で成果を出し収入をアップさせるという目的だけでなく、人生全般を楽に豊かに生きるためにも知っておくべきことです。

今回は、著書「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」から、そのポイントを探ってみます。

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「頭のつくり」「努力」の問題ではない

「頭のつくり」「努力」の問題ではない

多くの人は、同じ勉強をしていて差がついてしまう原因を、「頭のつくり」や「努力」の問題でこの問題を片付けようとします。

たしかに、頭の作りには少し差があるかもしれません。しかし、差の多くは「アタマの使い方次第」「努力が大事」とも言われますが、無駄な努力は報われることはありません。成果のない努力をして「頑張った」と自分を自己肯定したところで、何も得るものはありません。

できる子・できない子の差は、「物の見方=思考のフレームワーク」が大きく関わっており、できる子は何も意識することなく自然とそれをやってのけます。

では、その差はどうしてつくのでしょうか?
また、どうすれば、そのレベルに到達できるのでしょうか?

「差」が生まれる最大の理由

分かりやすく子供の脳力差で考えてみます。

「差」が生まれる最大の理由は「勉強時間以外の日常からも学んでいるか否か」です。

いや、そんなの私無理…と思わないでください。無理ゲーと思わず、先を読んでいってみてください。そこまで難しく考える必要はありません。ちょっとした思考の違いです。

学びについて、人は3つのタイプに分けられます。できる子は、常に学んでいる。表面的な授業時間で差がついているのではありません。

学びスタイルの3タイプ

①授業を受けていても学んでいない人(全体の69%、5段階評価でいえば3以下)
②授業だけが学びの人(全体の24%、5段階評価でいえば4まで到達可能)
③日常すべてが学びの人(全体の7%、5段階評価でいえば5)

学ぶ場においてのみ学んでいる人には「限界」があります。②と③のタイプでは、学ぶ時間の絶対量が大きく異なります。

できる子は、人と話をするときも、テレビを見ているときも、街を歩いているときも、感じ、考え、自分の意見を持つ習慣を持っています。それによって、教養が深まり、考える力が深まり、記述力や小論文といった自己表現力もつきます。

③のタイプの人は、家から駅までの間を歩いている場合でも、非常に多くの気づきを得て、そこから考えたりするのです。

どうしたら「日常を学び」に変えられるか

どうしたら「日常を学び」に変えられるか

では、どうしたら、「日常すべてが学びの人」になれるでしょうか?

このためには、「気づく楽しさ」「知る楽しさ」「考える楽しさ」を知る必要があります。

子供の教育だったら、楽しさに気づくきっかけを与えてあげるのは効果的です。例えば、指導的立場にある人が、「別の見方はない?」「別の意見はない?」など新たな発見に気付くよう誘導してあげる。このような促しによって、人は自然と「気づき→知り→考える」ようになっていきます。これらのことを習慣にすると、頭の構造が変わってきます。

読解力をUPする

同じ文章を読んでいても、国語ができる子とそうでない子では、まったく異なるものを〝見て〟います。これが、いわゆる「読解力」です。

しかし、この読解力が何かはあまり明らかにされません。それはなぜかというと、国語を指導する先生は、一般的には国語ができる人だから、わからない子がなぜわからないかわかりません。

読解力をつけるには「読書をしろ」とよく言われますが、ただ「読書」するのはあまり意味がありません。実は、文章を読んでいるときには、2種類の読み方があります。

読むには2種類ある

❶意味を理解しながら読んでいる読み方 ⇒考えながら読んでいる
❷字ヅラだけを追っている読み方    ⇒考えなしで読んでいる

❶の読み方で「考える力」を手に入れると、人生を歩むうえで得られる情報、気づきの量が、そうでない場合よりも段違いに多くなります。

頭のOSをバージョンアップする方法

頭のOSをバージョンアップする方法
著者の石井さんは、「③日常すべてが学びの人」を、「頭脳のOSのバージョンが高い人」と表現します。ではOSをバージョンアップするにはどうしたらいいでしょうか?

頭のOSを高める原理

その原理をまとめると以下のようになります。

頭脳のOSのバージョンを高めるには:原理を知る

❶「同じ勉強をやっていて差がつく」のは、「日常から頭が動いているか、いないか」による
❷これが自動的にできるかどうかは、「頭脳のOSのスペックの差」による
❸「頭脳のOSのスペックの差」とは、「考える力の差」である
❹「考える力」は、第三者(自分含む)からのアプローチによってバージョンアップできる

10のマジックワードを使った能力引き上げ法

では、具体的にどんなアプローチでバージョンアップしたらいいでしょうか?

石井さんが提案するのは、「10のマジックワードを使った『自分の頭で考える力』引き上げ法」です。これが日常的にできるようになると、格段に能力がUPします。

10のマジックワードによる『考える力』引き上げ法

[A]疑問を持つ(持たせる)
❶原因分析力 :なぜだろう?
❷自己表現力 :どう思う?
❸問題解決力 :どうしたらいい?
 
[B]まとめる(まとめさせる)
❹抽象化思考力:要するに?
❺具体化思考力:たとえば、どういうこと?
 
[C]補助的スキル
❻積極思考力 :楽しむには?
❼目的意識力 :何のため?
❽原点回帰力 :そもそも、どういうこと?
❾仮説構築力 :もし~どうする(どうなる)?
❿問題意識力 :本当だろうか?

これらの10個の力は、自分でやれば「自己啓発」となり、人(子供や部下など)に使えば「教育」となります。以下では、[A][B]の2つのアプローチと、[C]さらに能力をUPする補助的スキルについて解説します。

「疑問を持つ(持たせる)」アプローチが必要なワケ

「疑問を持つ(持たせる)」アプローチが必要なワケ

「疑問を持たせる」アプローチが大切なのは、「人は問われることによって『考える』ようになる」からです。

授業でも会議でも、質問タイムに質問する人はだいたい決まっていますよね?いつも問うても答えられない人は、NHKのチコちゃんに「ボーッと生きてんじゃねーよ!」と叱られる状態。

普段から何も考えていない人は、同じものを見ても「質問」や「意見」ができません。ボーっとしているので、見ていても見えていないのと同じ状態で生きているのです。

このベースとなるのが、マジックワード❶「なぜだろう?」
その疑問に対して自分なりに考えてみるのが、マジックワード❷「どう思う?」
そして、困って悩むのでななく、問題を解決するために必要なのがマジックワード❸「どうしたらいい?」です。

悩むのではなく「どうしたらいい?」と前向きに考え、答えを解決していくことは、心理的にもポジティブな人間形成にも役立ちます。

みんなお金について考えているようにみえるけど…

多くの人は、考えているのではなくて悩んでいるだけです。だいたい❶の途中で終わっています。

「まとめる(まとめさせる)」アプローチが必要なワケ

まとめる力のキーワードは「具体と抽象」。

❹抽象化思考力:要するに?

❹抽象化思考力が大事な理由は、抽象度の高い子は、表面的な形は違っていても、「要はAもBも同じだよね」という「共通点を見つけて、ルール化する」ことができるので、すぐにポイントを掴んでいくことができます。東大生が、勉強において、問題をいくつか解いただけでコツをつかんでマスターしてしまうのは、このスキルが高いからです。応用力が高いのです。

特に大事なのが、「共通点を見いだしていく」コツをつかむをつかみ、その抽象度のレベルを上げていくこと。抽象度が高くなると、それだけ上から下の現象を幅広く見ることができるので、応用できる範囲が広くなります。これが、実は応用力があるのかないのかの根本的な違いです。

❺具体化思考力:たとえば、どういうこと?

一方、❺具体化思考力の方は、「抽象→具体的な思考」ができるということです。それまで意識してこなかった視点を持つことで、新しい発見があります。実は、こういったところから問題意識や好奇心が生まれ、「学びたい」という気持ちに発展することがよくあります。また、事例をどんどん引き出すことで、新しいアイデアを創出するクリエイティブな力もつきます。

この2つの脳力が優れている人が、世の中で「賢い人」と言われる人たちです。これらは、いずれも「まとめる」作業です。

より重要なのは、「要するに」で抽象化できること、つまり簡単にいえば、「共通点を見いだしていく」こと、「コツをつかむ」ことです。しかし、この抽象化のレベルが低いと、大した応用はできません。

補助スキル5つが重要なワケ

補助スキル5つが重要なワケ

上述の「疑問を持つ力」「まとめる力」がつくだけでも、頭のOSはバージョンアップします。しかし、これを補足して強化するのが❻~❿の5つの力です。
人生そのものが楽しくなります。楽しんで学べば、ますます、これまでとは違った〝景色〟が見えるようになり楽しくなります。

❻積極思考力 :楽しむには?

世の中で「やる気」というものを作ることです。ただし、やる気をどうやって高めるかと考えてしまうと、なかなかハードルが高くなります。

だから、登場するのがマジックワード「楽しむには?」。このこのマジックワードを使うと、心が前向きになって「積極思考」がつくと同時に、「方法を考える」ようになるため、頭脳のスペックが上がっていきます。

❼目的意識力 :何のため?

マジックワード「何のため?」は、「目的意識」を高めることで「考える」力を引き出す言葉です。

世の中、目的もなく行動している人が少なくありません。目的を意識できないことで一番怖いのは、「思考が停止する」ことです。

人間には目的意識というものが元来備わっているので、目的がわかると、その〝目的地〟に到達するために、途端に頭脳が動き出し、方法を考え出そうとします。やる気がない人に目的を考えさせるだけで、スイッチが入り行動するようになることはよくあることです。

❽原点回帰力 :そもそも、どういうこと?

マジックワード「そもそも、どういうこと?」によって、話の原点に戻ることができるだけでなく、同時に、全体像が把握できるようにもなります。全体像が見えると、人は理解力が格段に上がります。

さらに、このマジックワードで、「自分の軸」を構築できます。軸ができると、不要な情報に振り回されることなく、自分のやりたいことを貫けるようにもなります。

❾仮説構築力 :もし~どうする(どうなる)?

これは「If~whatの法則」です。このマジックワードは、頭脳のOSのスペックを引き上げるます。さらに、人生のステージを上げていく効果もあります。「自分があと1年しか生きられなかったら?」はその代表的質問です。

❿問題意識力 :本当だろうか?

今の時代は、当たり前のことがどんどん当たり前ではなくなっていく時代です。これまでの常識がどんどん陳腐化します。だからこそ、当たり前に思っていることを疑う思考スキル「常識を疑う」が必要です。

折に触れて「これっておかしくない?」という言葉をかけることで、思考がリセットされる効果もあります。

OSアップで上がる自己肯定感

OSアップで上がる自己肯定感
「努力して報われない」ことに嘆く人は大勢います。しかし、報われない努力はしない方がいい。報われないのは、方法が間違っているからです。間違った方向に努力しても、結果は間違った目的地に到着するだけです。「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」の理由を知ることで、努力すべき方向が見えてきます。

もし、努力が報われるようになると自分にも変化が現れます。「自己肯定感」です。自己肯定感が上がれば、人に優しくできるようになります。そして、人の短所ではなく長所に目が行くようになり、人生が楽しくなります。

最後に

今回は、著書「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」から、考える力をUPする方法、考える力をUPにより人生を幸せにする方法について紹介しました。

同じ年数の人生を歩むのであれば、より楽しい、よりワクワクがある人生にしたいものです。そのために大事なのが10このマジックワード。いきなり10すべてを日常で意識するのはハードルが高いです。最初は1個、2個でもいいので意識して、自分を変えていきましょう。