頭の良い方とお話をしていると、記憶力の良さに驚かされることがないでしょうか?
「なぜ、彼らは大量な情報を覚えていられるのか?」ヒントを求めて読んでみたのが「一流の記憶法」です。
本書で学べるのは、①記憶のプロセス、②基礎となる記憶法と様々な記憶術。この2点が体系的にまとまっています。
そして、この記憶のプロセス・原則を理解すれば、記憶に上達するには、「一晩にして記憶力がアップするような夢の方法はない」。「記憶術UPには実践」が必要と理解できます。1日筋トレしたからといって筋肉がつかないのと同じです。
とはいえ、筋トレ・ダイエットほど鍛錬は必要は必要ない。にも拘わらず、記憶法は「一生使える武器」になる。
テクニックを知り、「真面目に訓練」すれば一定の習得でき、日々、記憶の振り返りで徐々に成果は上がります。体得して人生を変えたい人は、要チェックです。
なぜ、記憶できない?
さて、質問です。昨日の夕飯のメニューを覚えていますか?
多くの人が忘れてしまっていると思いますが、そもそも、昨日の夕飯メニューを覚えてないのは、注意を向けてないから。
注意を向けるだけで、日常の大半の物忘れを防ぐことができることを知るのが記憶術の第一歩です。
記憶のプロセスの3段階
記憶は、3段階のプロセスで成り立っています。
①記銘→②保持→③想起
何かを覚え、思い出すには、この3段階を経る必要があります。言い換えれば、3つの段階のうち1つでもうまく機能しなければ、情報を思い出すことはできません。「ど忘れ」は③ができない状態。ハードディスクのどこかに書き込まれたデータをメモリーに読みだせない状態です。
記憶力を向上させるには、脳の構造や機能を改善する必要はありません。しかし、記憶力を向上させると、結果的に脳の構造・機能が改善され、より記憶度がUPしていきます。
3つの記憶の段階
記憶には3つの段階があります。
①感覚記憶
②短期記憶(PCで例えるなら、一時メモリーに記憶)
③長期記憶(PCで例えると、ハードディスクに記憶)
選択的注意を向けた情報だけが意識にのぼり、そして初めて、短期的に記憶できます。この短時間だけ保持できる記憶を「短期記憶(ワーキングメモリ)」といいます。
これを長期記憶に変えるには、「その情報を一定時間後に想起する」を繰り返すことが大事です。それは、以下の「エビングハウスの記憶実験」から明らかです。
エビングハウスの記憶実験
人はあっという間に覚えたことを忘れてしまいます。
20 分後: 42%を忘れる
1時間後: 56% を忘れる
1日後 : 74% を忘れる
1週間後: 77% を忘れる
1か月後: 79% を忘れる
この実験からわかることは、覚えたばかりのときには忘れやすいものの、時間の経過とともに忘れにくくということです。つまり、記憶の目標として1日覚えていられるようにすれば、その後も情報は忘れにくくなります。
記憶術の基本は「想起練習」
想起記憶は記憶術の基本です。これは、何らかの手がかりと関連付けして覚える記憶術です。
①注意を向け、情報を短期記憶に入れ、
②想起練習を繰り返し、情報を長期記憶に入れ、
③記憶対象を手がかりと結びつける
これができれば、手がかりが提示されたときに、それと結びついた情報を想起できるようになります。
14の記憶術
本書には、具体的な記憶術として以下の14の方法が紹介されています。
・関係法
・語呂合わせ法
・頭文字法
・一連法
・音楽活用法
・物語法
・連想結合法
・変換記憶術
・数字形システム・数韻システム
・数字イメージ変換システム
・ペグ法
・身体部位法
・イメージ式ペグ法
・場所法
これらは使い分けが必要です。具体的な方法は本書で学んでほしいですが、記憶術使い分けの目安として、覚えたい単語の対象数別に以下を用いるといいとアドバイスされています。
頭文字法:5個程度まで
物語法 :5~20 個程度まで
場所法 :20 個程度
「場所法」は記憶力を競うメモリースポーツに出場するような人なら誰しも利用している記憶術です。具体的な方法は是非、本書で学んでみてください。
最後に
今回は、「一流の記憶法」の要点を紹介しました。
知識が増えれば、アイデアの引き出しが増えるため、発想力も高まり、問題解決力も向上します。
読書で知識は増えても、そのそばから忘却していけば、何の意味もありません。私は、今年、毎日の読書と、週5日以上の運動の習慣化に成功しました。今度は、本書の記憶法の一部でもマスターし、一生の武器にするべく努力してみようと思います。
もう少しライトな記憶法を学びたければ、以下の本がオススメ。英単語の学習に苦戦している人にもおすすめです。私はこの本で「覚える」ということがどういうことか理解できました。
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