給料が上がったのに手取りが増えないの?給与改定時に確認すべき「給料明細」3項目

昇給で給料が上がったのに、手取り金額は「さほど増えてない..」とがっかりしたことはありませんか?

その時、理由をちゃんと理解しましたか?

給与改定は会社員である限り発生すること。なぜ、思ったほど手取り額が増えないのか、理解をしておかないと、昇給の度にモヤモヤするばかりか、一生、お金の仕組みがわからないままです。

しかし、その答えは、給料日に渡される「給与明細」にある!

今回は、給与が変化した時に、チェックすべき給与明細3項目について解説します。

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確認すべきは「控除」項目

給料が変化したときに、確認すべきは「控除」の項目。支給額から否応なく差し引かれて手取りが減る理由となる項目です。
以下の新入社員の給与明細をもとに確認をして行きましょう。

ある新入社員の給料明細
新入社員の給料明細
参照:SmartHR記事内画像を編集

確認1:社会保険料が上がっていないか

上図の給与明細の赤枠部分(1)は、社会保険です。社会保険料は、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の4つで構成され、会社員の場合、否応なく、毎月の給料から天引きされます。

この4つの項目の内、健康保険、介護保険、厚生年金保険は、毎年4月・5月・6月の3カ月間の支給額合計の平均額によって、通常、年1回9月に改定されます(定時改定)。これが9月に手取り額が変動しやすい理由です。

しかし、昇給や降給により「固定的な給与※」が大幅に変化するとき、「臨時改定」と呼ばれる金額見直しが行われます。

社会保険料等を決めているのは標準報酬月額と呼ばれるのので、これは「等級」と呼ばれるランク分けで管理されています。この等級が、給与が変動した月から3ヵ月間と、従来で2等級の変化があった場合に、臨時的に価格が見直され、価格が上がることになります。

※固定的な給与:基本給や通勤費、役職手当など毎月金額の変動のないもの

雇用保険は通勤費のUPにも関係

雇用保険は、さらなる注意が必要です。

雇用保険料は基本的には毎月給料支給の都度、支給額合計によって計算されますが、ここには通勤費が含まれます。そのため、通勤経路などが変わり、通勤費が増えた場合は、雇用保険が増えることになります。

確認2:所得税が上がっていないか

次に注意すべきは、給与明細(2)の「所得税」です。所得税は、毎月概算額が徴収され、その課税対象額は以下の式で求められます。

課税対象額 = (a)支給総額通勤費 ― (b)通勤手当(非課税)― (1)社会保険料

この金額より、控除対象扶養親族の数によって定められる「給与所得者の源泉徴収税額表(国税庁HP)」にあてはめた額が給料から引かれます。

控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人を指します。

そのため、扶養対象であった子どもの就職など、扶養人数が減ると所得税が上がりますし、扶養している子供が16歳になった場合は、所得税法上の扶養親族となるため、高校進学した子どもがいると所得税は下がります。

家族の扶養人数

毎月給与天引きの「所得税」はあくまでも概算

毎月の給与から差し引かれる所得税はあくまでも概算です。毎年1回12月に「年末調整」により、正しい所得税が計算され、12月(または、翌年1月)の給料で精算されます。

確認3:住民税に昨年分のふるさと納税額控除が反映されているか

住民税は、前年の所得をもとに、前年の所得から市町村が住民税の額を計算し、翌年5月~6月に金額が通知されます。会社員の場合、この金額を、6月~翌年5月の1年間に12分割で支払います。所得税と異なり、住民税は後払いであることに注意が必要です。

さて、ここで要注意なのが、前年の「ふるさと納税」です。

住民税納税通知書:ふるさと納税はここをチェック
出典:大阪市に追記 ※クリックで拡大

上記は、5~6月に会社から受け取る「住民税特別徴収税額の決定通知書」です。
大事なものなので捨ててはいけません。前年ふるさと納税を行った場合、確認すべきは赤枠の「税額控除額」の欄です。この控除額を12等分した結果が毎月の給与から控除されます。ピンク色枠が、給与から差し引かれる毎月の月割り税額です。結果、6月に住民税の天引き額が変わることになるので注意しましょう。

毎月の給与明細確認を習慣化しよう

給料は、ご自身の大切な「収入」です。しかし、多くの人は、受取額の内訳に無頓着です。

大事なことは、「給与明細をちゃんと確認する」こと。

手取り額のみを見ていても、その理由はわかりません。残業・休日出勤による「支給項目」の変化以上に、「控除項目」の変化に敏感になることが大切です。この変化に敏感になると、法制度の改定(税制改定・社会保険制度の改定)にも気づくことができます

以下の順番でチェックする習慣をつけましょう。

習慣化しよう!給与明細をチェックする順序

①手取り額に変更がないか
②控除総額に変化がないか
③②に変化があった場合は、どの項目が変化したのか

上記に関心をもって確認、わからないことは調べる習慣をつけると、マネーリテラシーも自然とアップしていきます。

「給与明細の見方」を理解し、税・社会保険料に強くなるべし

日本人はなぜ、人生において非常に重要な「給与明細(税金、社会保険料、年金保険料)」、なぜ義務教育で学ぶ機会がないのか?

国語や歴史を学ぶことも大事ですが、私は生きていくために大事な「お金」について義務教育では学ぶ機会に不満を持っています。これでは、政府にとってみれば、会社員は天引きで簡単に税が徴収できる楽な相手でしかありません。

学ぶ機会がないなら、自ら学ぶしかありません。そしないと、一生損することになります。

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最後に

給与の手取り額に影響する「控除」について、理解できたでしょうか。

会社員は給与天引きのため、税金や社会保障に無頓着です。今後、退職を控えている場合や、独立(個人事業主など)を考えている場合は、これら税金・社会保障について理解がないと、会社を退職した後で、大きな税・社会保障費に苦しめられることになります。

ご自身のマネーリテラシー向上のためにも、まずは身近な、給与明細から関心を持っていただけたらと思います。