約20年前に発売された『チーズはどこへ消えた』。
日本で400万部、全世界で累計2800万部突破、Amazon史上最大の大ベストセラーです。
そしてセットで読みたいのが、その続編『迷路の外には何がある?』です。
『チーズはどこへ消えた?』における「チーズ」とは、愛情、よい仕事、よい家族といった「幸せ」の象徴です。
消えてしまった「幸せ」は待っていてもやってこないと悟ってチーズ探しに旅立つことを決めた小人ポー。対して、待っていれば「幸せ」は戻ってくると、過去に執着し、リスクをとることを恐れてその場(迷路)の中にとどまった小人のヘム。
本書では、その場にとどまることを選んだヘムを通じて、ただ待っているだけでは再び現れることのない「チーズ=幸せ」を手に入れるために自分はどうすべきだったのか?どう考えを改めるべきなのか?を気づかせてくれます。
易しいストーリーで、ビジネスマンから子供、年配の方まで、広い層に変化の速い現代を生きるために大切なことを教えてくれる一冊です。
目次
前作「チーズはどこへ消えた?」のあらすじ
迷路のなかに住む、2匹のネズミと2人の小人。彼らは迷路をさまよった末、チーズを発見し、幸せを手に入れます。
ここで、「チーズ」とは「幸せ」の象徴。良い仕事、愛情あふれる関係、お金、所有物、健康、または精神的な平和など、あなたが人生で欲しいものを表すメタファーです。
そんな幸せな毎日を過ごしていたある日、突然、チーズが消えてしまいます。
ネズミたちは本能のままにすぐさま新しいチーズを探しに飛び出していきました。
しかし、ネズミよりも頭脳がある2人の小人は、「チーズは戻ってくるかもしれない」「下手に動くと危ない」と考え、その場にとどまります。しかし、いくら待ってもチーズは戻ってきません。そんな中、二人のうち一人の小人は、新しいチーズを探しに旅立つ決心をするのです。
恐ろしいスピードで世の中が変化する時代。しかし、多くの人は、今のままでではまずいかも・・・と思いながらも変化することができません。第一作目の「チーズはどこへ消えた?」は発刊から約20年が立ちますが、今でも、状況の変化にいかに対応すべきかを教えてくれています。
ヘムの気づき:ただ待っていても「幸せ」はやってこない
続編の「迷路の外には何がある?」の主人公は、自分を変えて行動することができなかった小人ヘムのお話です。
ヘムの現状分析
いくら待っても戻ってこない「チーズ=幸せ」を待ちながら、ヘムは改めて、今の自分を以下のように分析します。
・新しいチーズを見つけなければ生きていけない
・迷路を動き回るにはリスクが伴う
・すべては自分次第で、自分でなんとかしなければならない
なぜ、自分は相方と一緒にチーズを探しに旅立つことができなかったのか?と、自分だダメだったことを反省し始めます。
自分への過信、そして、固執
ヘムは変化を受け入れすぐに行動できなかった自分を以下のように反省します。
・そのまま動かないでいただければ事態が好転すると信じていた。
・自分がもっと分別があると考えていた。
・その結果、自分の(固執した)ものの見方から抜け出せなくなっていた。
ヘムが変化を受け入れられなかった理由、それは、「自分は正しいと、自分の古い考えに固執していた」からです。
そして、人には「自分を向上させる信念」もあるのに対し、「足を引っ張る信念」もあることに気づくのです。
ヘムの気づき:世界変化に対応するための「6つの絶対法則」
変化できなかった自分に思いを巡らす中で、ヘムは世界の変化に対応する=迷路から抜け出すための「6つの絶対法則」に気が付きます。そ
❶あなたの信念に生きること
信念とはあなたが真実だと信じる考えのことである
❷あなたの考えたこと全てを信じてはいけない
実はあなたのものの見方に過ぎない時もある
❸役に立たないことを捨て去ろう
古い荷物を持って新しい探索をすることはできない
❹迷路の外に目を向けよう
ありそうにないことも考慮してみよう。不可能なことも検討してみよう
❺新しい信念を得よう
あなたが考えを変えてもあなたはあなたである
❻あなたが信じることに限界はない
あなたは今自分が考えるよりずっと多くのことを行い経験し、楽しむことができる
これが人生と仕事の変化に適応する道を示す、究極の迷路「脱出」思考です。
変わりたいのに変われない自分に嫌気がさしている人には、ドキッとする内容が並んでいるのではないでしょうか。
最後に
今回は、スペンサー・ジョンソさんの「チーズはどこへ消えた?」と「迷路の外には何がある?」を紹介しました。
変化の速い今の時代。否応なしに、私たちは「変化の波」に遭遇します。
しかし、多くの人は「変化の時」がやってきても、そう簡単には変われません。
だからこそ、今の時代の指南書として、本書でヘムの気持ちの変化を通じて変化への対処法を学んでほしいのです。
見城 徹さんは著作「読書という荒野」の中で、以下のようにおっしゃっています。
この先人の壮絶な苦悩を簡単に追体験できるのが読書。
人の壮絶な人生、葛藤、苦悩に出会い、自分の甘さを認識する。そして自分の自己否定、自己嫌悪になり、それでも考え、次のステージ=成長する。
だから、読書の量が人生を決めると言っても、決して言い過ぎではない
人の苦悩を読書を通じて追体験することは、自分の成長につながります。是非、主人公ヘムの心の動き、思考の変化を一緒になって追体験し、自己成長につなげてほしいです。