なぜ、国内の経済メディアでは、マネーの基本的な原理・原則から乖離したデモが垂れ流されるのか?
歪められた報道が日本人を益々貧乏にしているとして、間違った通説に反対論を挙げるのが本書。以下のようなメディアの発言はすべてウソであるとして、なぜ、2020年に向け日本経済が上昇すると予測するのか、その理由について解説しています。
・トランプ円安は短命。投機マネーの一時的な動き
・米国の保護主義で日本企業に大ダメージ
・円安が続いても、日本株の好調は続かな
・日銀緩和は手詰まり。アベノミクスは敗北
・ヘリコプターマネーならハイパーインフレ
円の価値は「円の量」が決めている
トランプ政権で円高が進だ、円安が進だいろいろ言われますが、そもそも通貨の価値、物価はどのように決まるのでしょうか?
結論から言えば、「物価は支柱に供給された通貨の「量」(マネタリーベースやマネーサプライ)のバランスで決まります。
つまり、円の量が少ないと日本の物価は下がり(デフレ)、円の量が多いほど日本の物価は上がります(インフレ)。物価の度合いは消費者物価指数CPIなどで表現され、その変化率がインフレ率と言われます。この「通貨量」をコントロールするのが中央銀行の金融政策です。
さて、ここでほとんどの為替アナリストが米大統領選の前後に「円高予想」をしていた理由のは、Brexitに学ばなかったからであり、量で価値が決まるマネーの本質を理解していなかったからです。短期的な投資資金「投機マネー」の動きも市場への影響も少ないのです。
米FRBは金融引き締めのために利上げ、日銀の金融緩和を継続とすれば、円安が進むのが原理です。
2020年までは日本経済が上向く
2000年代半ばから「ドル円・株価の連動」性が高く、これが当たり前のことだと思っている方は多いです。しかし、著者はこれを異常事態、遅くとも2020年頃までには日本経済が正常化していくと分析します。
「正常化」とはインフレ率が2%程度の緩やかな伸びで安定し、失業率が2%台半ばに改善され、就労希望者のほとんどが働ける状態(完全雇用)の実現すること。現在のデフレという病を克服する過渡期には2020年までもう少し時間がかかりますが、このような状況下で投資家が見ておくべきなのは以下の2つだけで十分と著者は説明します。
1.これからの方向性が「円安→株高」「円高→株安」のどちらか。
2.その方向性がいつ変わるのか。(日本の為替の方向は日銀とFRBの金融政策で決まっていく)
経済が正常化されれば、現在のアセットクラス間での分散効果が働かない状況が改善され、資産運用の伝統的なフレームワークも復活することになります。
アベノミクスと基本方向は同じトランポノミクス
異端児トランプ大統領の政策には今後の経済動向を不安視する向きも多い。保護主義政策で日米両国間の関係も危ぶむ声もあります。
しかし、実は、トランプ大統領の政策はアベノミクスと本質は同じです。
安倍首相とトランプ大統領は、共に、経済を成長軌道に乗せる具体的政策を打ち出して政権交代を実現。日米共に、緊縮政策をやめ、雇用を改善する策を打ち出していることが特徴です。
たしかにトランプ大統領は保護主義政策など唱えていますが、トランプ大統領は損得勘定で合理的に決断をするリアリストなので、白紙撤回も大いにありうると著者は予測します。2010年代前半から先進国をむしばんできた緊縮病が終わりを告げることは日本にとって大きな追い風です。
今後、お金のルールが変わる
これまでデフレの時代は「何もしない」でお金を貯め込むこが賢明でした。しかし、インフレになるとそのルールは変わります。
今後、為替相場に最も影響するのはFRBがどの程度金融を引き締めするかであり、米政策金利を何回上げるかです。異常事態が続く2017年時点では、日本株は円安の進み具合に移動します。
著者は、2017年の米利上は2回か3回かと予測したうえで、2回だと1ドル125円・日経平均21,500円へ、3回だと1ドル130円・日経平均23,000円になると予想しています。