【書評】セックスと超高齢社会 ~「老後の性」と向き合う(坂爪 真吾 著)(★4)
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青春期、青年期特有の問題と思いがちな「性」の問題。
特に、若い人から見れば、高齢期ともなれば、性は重要な問題ではないと考えがちです。

しかし、そうではないと語るのが本書「セックスと超高齢社会」。人によっては、体力、経済力、精神力が衰えるにしたがって、以前は自己解決できていた問題ができなくなり、苦悩が深刻さを増すと言います。

著者 坂爪さんは、高齢者の性問題の背景には、AVは性風俗業界の実情、一夫一婦制の抱える構造問題、介護の世界における性支援の不備など、世代や領域を声が様々な問題が絡む実情を明らかにしています。また、複数の高齢者を例に、どのように性の問題を解消して言えるかが明らかにされています。本書も老後の性について」真面目に考えた一冊です。

今回は、本書から、老人の性にまつわる問題について紹介します。

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高齢期に潜む4つの「ムエン」

高齢期には一般的に3つの「ムエン」があると言われます。

高齢期の大きな問題:3つの「ムエン」

❶関係性の貧困を意味する「無縁」
❷社会的孤立を意味する「無援」
❸経済的貧困を意味する「無円」

著者は、上記にプラスして4つめの「ムエン」性的貧困を意味する「無艶」があると指摘。

現役時代にどれだけ性的に満ち溢れた暮らしを送っていた人でも、超高齢社会においては遅かれ早かれ「無艶」に直面します。身体の衰え、そして、性のパートナー(の有無)が重くのしかかるからです。

これは生涯未婚の人だけの問題ではありません。配偶者がいたとしても、75歳になれば男性の2割、女性の6割は離別・死別を経験し、パートナーを失ってしまうからです。

高齢になっても性的欲求はなくならない

高齢になっても完全になくなることは決してない「性的欲求」。

介護の現場では、性的な言動を繰り返す認知症の利用者は少なくないといいます。「一緒に寝てほしい」「お尻を触らせてほしい」、入浴介護お際には「裸になって一緒に入ってほしい」「陰部も洗ってほしい」と頼み、中には現金を渡してくる人さえいるという。故、介護業界では高齢者によるセクハラが大きな問題になっています。

認知症と性

認知症の場合、判断能力や自己決定能力が低下することで、コミュニケーションの手段としての性は行き場を失って漂流し、暴発する人も多いのが現状です。
認知症が進んだ人の中には、自分がセクハラをしたこともそれによって周りに迷惑をかけていることも覚えておらず、さらにはセクハラの原因となる欲求やストレスを消化したこと自体を忘れてしまう人もいます。故、介護業界においては高齢者のセクハラが切実なのです。

性的問題行動の背景には孤独感

高齢者の性的問題行動の背景には孤独感があると考えられています。身体が弱り、明日の朝無事に目が覚めるかどうかわからない。そうした孤独と不安の中で人肌を求めることはごく自然ことであるとの考えもあります。

高齢化するAV市場

援交、風俗、AV、官能小説など、歳をとっても性を満たす方法はたくさんあります。
例えばアダルトビデオ。AVというと、「若者が観ているもの」というイメージがありますが、もはや、現在のAV市場を買い支えているのは、ほぼ完全に中高年層です。無料動画などによりネット上ではお金を払わない若い世代に対し、お金を出してAV鑑賞をしているのは30代後半~50代の男性なのです。

若者より高齢者の性の方が切実

老後には、青春期に感じた孤独感や虚無感、そして性愛に対する渇望が半世紀のブランクを超えてもう一度やってきます。しかも、それは青春期の数倍~数十倍の長さで、文字通り死ぬまで続くのです。そう考えると、高齢者の性は切実な問題と言えます。

最後に

今回は、坂爪 真吾さんの「セックスと超高齢社会」を紹介します。

高齢者というと、介護・認知の問題がクローズアップされがちですが、「性」というのも大きな問題であることを改めて考えさせられました。
現在、性の世界でも二極化が進んでいます。草食系と肉食系の間には大きな隔たりがありますが、これから高齢に突入していく世代は、現在の若者と異なり、バブルを経験した仕事にも性にも肉食系だった人たちです。介護業界でのセクハラが深刻化するのでは・・・と複雑な気持ちになります。

しかし、この本の著者ですが、なかなか気になるタイトルの本を複数執筆されています。女性の私でも気になります。