斬新なアイデアを作り出す可能性を限りなく高める手法は確実に存在する。

と語るのが、本書の著者である中野さん。そして、その具体的な手法を紹介しているのが本です。

アイデアを思いつくのは非常に難しい、と多くの人が思っていると思いますが、まずは、考え方を改めることが大事。

アイデアとは「無」から「有」を生み出す活動ではない。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」にしか過ぎない。

ということを受け入れるだけで、アイデア発想のハードルが格段に低くなると、著者は説明しています。

本書では、アイデアの可能性を高める手法を以下の3つのPartで紹介。
それぞれのPartで、偉業を成し遂げた先人たちが、どのような手法を用いて優れたアイデアを生み出してきたかを明らかにしています。

1.偉人達の用いた発想のための優れた技術紹介
2.デザイン思考による発想法
3.ゲーム理論と行動経済学の考えを、アイデア発想に流用する

以下で、私がPickUpした凡人でも、アイデアを高めるために有用な手法を紹介します。

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レオナルド・ダ・ヴィンチ:メモ魔

彼の想像力の秘密はメモ魔。とにかくどこでもメモを取ったそうです。
メモを取ることは、記憶と発想をつなぎ合わせるために非常に有益です。

エドワード・デボノ:「水平思考」の提唱者

水平思考は、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法です。
例えば採択を決定する際、採用/不採用で振り分けるのではなく、1.プラス、2.マイナス、3.何か気になるの3つ に分けてみます。
3つにわけることでこれまで考えることなく捨てられていたものが切り捨てられなくなり、また、、例えば「何か気になる!」という軸で考え直してみることで、新たなアイデアが生まれやすくなります。

ピーター・ドラッカー:「マネジメント」の発明者

イノベーションの機会見つけるためにはどのようにしたらいいでしょうか?そんな時は、以下のようなことを考えてみます。

1.予期せぬことの生起
2.ギャップの存在
3.プロセス・ニーズの存在
4.産業構造の変化
5.人口構造の変化
6.認識の変化
7.新しい知識の出現

数が小さいほど、優先度が高まります。予期せぬ出来事は発想の源泉となります。素通りせず、その背景で変化している要因を考える癖を習慣化すれば、イノベーションに結びつく斬新なアイデアの発想も夢ではありません。

エリヤ・ゴールドラット:「ザ・ゴール」の著者

「制約理論」は、あるシステムの目的(ゴール)を継続的に最大化することを狙う、全体的な管理哲学です。
ボトルネックを見つけ、その改善のためのアイデアをひねり出し、改善します。これを全システムでPDCAを回し、全体最適化を図っていきます。

湯川秀樹:「同定理論」と「等価変化理論」

既知のものから不要な要素を捨て去って抽象化。そこに新たな要素を加えて再構成することで新しいものが生まれます。

デザイン思考で、行動観察

デザイン思考とは、イノベーションを生み出すために卓越したデザイナーの思考法を活用することです。
この際、ユーザの行動を観察するのですが、ここで「エクストリームユーザ(極端なユーザ)」に注目します。具体的には、超ヘビーユーザや全く利用してくれない人たちです。彼らの行動を観察することは、既存の製品やサービスの改善に大きく役立つ

イノベーションとは「無価値なものを価値あるものにすること」と考えよう

イノベーションは全く何もないところから生み出すものと考えるとハードルが高くなり難しくなります。そこで、「無価値なものを価値あるものにすること」と考えるのです。

そんな特に役立つのが以下の4つのアクションです。
・増やす
・取り除く
・付け加える
・減らす

これは以下のようにも表現できます。

・増やす  → 付け加える →価値化→イノベーション
            ↑
・取り除く → 減らす→無価値化

上記のように考えると、発想しやすくなりますね。

行動経済学「プロスペクト理論」を発想に活用

「プロスペクト理論」は投資の世界では非常に有名な理論です。この論理に照らし合わせれば、以下のような人間の非合理な行動が理解できます。
・価値関数からわかる「損失回避性」
・損失回避から生じる「現状維持バイアス」
・人の参照点は都合よく変化する
これら人間の特性も、アイデア発想の参考になります。