書店に行けば「プロフェッショナルが書いた本」が溢れているにも関わらず、実際は「プロフェッショナルになる人材」が少ない。それはなぜでしょうか?

それは、「知識」と「智慧」の違いを理解していないからと語るのは本書の著者。

知識とは、言葉で表せるもの、書物で学ぶことができるものであるのに対し、
智慧とは、言葉では表せず、経験を通じてしかつかめないもの。

勉強ができる人間は、本を読み「知識」を学んだだけで、「智慧」と思い込む落とし穴にはまっています。プロに必要なのは本を読んだだけでは掴めない「智慧」なのです。

本書は、根本的な「仕事の技法」とは、企画、営業、開発、いかなる仕事であっても求められる「対話の技法」とした上で、その根幹となる技法を教えてくれる本です。対話(コミュニケーション)本を読んでも、小手先の技を教えているだけに過ぎない本も多い中、本書では真に仕事(対話)の根幹となる技法を教えてくれます。また、それを身につける具体的な方法がしっかり説明されています。
非常に自分の対話力について反省させられる、学ぶところの多い本でした。オススメです!

[スポンサーリンク]
Kindle Unlimited 3か月無料
今月の読み放題:ビジネス書  自己啓発書  小説

「深層対話」が大事!対話の種類を理解しよう

「対話の技法」とは、相手から「メッセージを受け取り」、相手に「メッセージを伝える」すべての技法です。対話には、以下の2種類があります。

表層対話=言葉のメッセージによる対話=言語的メッセージ   
深層対話=言葉以外のメッセージによる対話=非言語的メッセージ

「表層対話力」は基本能力。一流のプロフェッショナルになるには「深層対話力」が求められます。

深層対話力とは?

では、「深層対話力」とは具体的にはどのような力でしょうか?

・相手の無言の声に耳を傾ける力
・相手の沈黙や一瞬の間から心の動きを感じ取る力
・相手の言葉の奥にある感情や心境を感じ取る力
・相手の表情やしぐさから心の変化を感じ取る力
・相手の言葉のニュアンスから細かな思いを感じ取る力
・相手の置かれた立場から、その考えを創造する力

上記のような、「言葉以外から伝わっていくメッセージ」を読み取る力です。これができると、おのずと、相手への次なる対話も変わり、戦略的な対話・行動ができます。

仕事=「働く」とは「傍(はた)」を「楽(らく)」にすることです。これには、相手の「体」を楽にすることだけでなく、「心」を楽にすることも含まれます。「心配り」や「気配り」の本質は、「言葉以外のメッセージ」を感じ取る力です。

このことを理解して対話すれば、営業マンなら商談も行くでしょうし、社内でも信頼を勝ち取ることができるでしょう。

深層対話を身につけるにはどうしたらいいのか?

深層対話を身につけるには、日々、「経験したことを、冷静に、理性的に、省みること」が大事と著者は述べます。

上司と商談に出かけたとき、帰り道を単なる雑談の場にしていませんか?

これでは、深層対話を身につけ、仕事でも成功を勝ち取るチャンスを失っています。商談帰りに、上司と一緒に、或いは一人で「商談の追体験」をし、顧客の心の動きを創造し、考えや思考がどのように動いたかを感じ取ることが大事。言葉のメッセージだけでない、表情・仕草・動作のちょっとした動きの振り返りもすると、深層対話力が徐々についてきます。1人で反省するよりも、商談の出席者と話をすれば、なお、気付く点も多くなるはずです。

これら「商談の追体験」を積み重ねれば、相手のことがわかるようになり、その上で相手にとって適切な提案ができるため、商談力UPは間違いありません。この能力は、商談力のみならず、人とのコミュニケーションに大きな変化をもたらすことでしょう。

1人反省時に心掛けたいこと、自分の中の「操作主義」

深夜、一人で対話の反省することも大事です。「深夜の一人反省」は、「もう一人の自分」の立場から、反省ができるという利点があります。

この時に意識したいのは、自分が「操作主義」に陥っていないかということ。

「操作主義」とは、相手を「動かそう」とすることではありません。
相手に対する「敬意」を持たず、相手の「一人の人間」として認めず、あたかも「物」を動かすように、自分の思うままに操ろうとすることです。

「操作主義」は必ず見抜かれます。見抜かれれば、相手の心は離れていきます。

できるビジネスパーソンになるための「リーディング法」

深層対話を磨くには、「追体験」という体験の積み重ねが大事です。対話力の本を読んで、ふむふむと思っても、思っただけでは自分の身にはつきません。これが、本記事の冒頭で述べた、「プロフェッショナルが書いた本」が溢れているにも関わらず、実際は「プロフェッショナルになる人材」が少ない理由です。

読んで「知識」としただけではダメなのです。体験を通じて「智慧」としなければいけません。

このために著者が提案するのが「走馬灯リーディング」と「即実践リーディング」

本を読みながら過去の自分を「走馬灯」のように回顧し、読み終わったら、「即実践」するのです。こうすれば、「知識」が単なる「知識」にとどまらず、「智慧」に昇華できます。