記憶の仕方で人生が変わる
私たちは日々、幼い時から脳に蓄積された「記憶」をもとに行動・判断をしています。しかし、頭のいい人とそうでない人の間には、圧倒的な良質な知識差=記憶量の差が存在します。良質な記憶量が多ければ、おのずと高くなる。結果、両者の人生に大きな差ができるのは当然と言えます。
しかし、今まで、記憶術の本を読んでは何度となく挫折してきました。
でも、この方法なら私にもできるかも…と思わせてくれたのが今回紹介の『出口汪の「最強!」の記憶術: 脳科学による世界一無理のない勉強法』です。
Audible 聴き放題 対象本
本書「出口汪の「最強!」の記憶術」で扱われる記憶術は、脳と忘却のメカニズムに基づいた極めてシンプルな方法です。
記憶術の本によく書かれている●●法といった記憶術は一切出てきません。提唱されるのは、「論理と脳科学を結び付けた記憶法」です。
頭が悪くて仕事がうまく行かない、人の名前が覚えられない、英語がいつまでたってもマスターできない、資格を取得しなければならない、そんな方はまず読むべし。
記憶術は一生ものの武器になります。本書の記憶術のポイントをまとめてきます。
目次
記憶と脳の仕組み:脳は忘れる
記憶と脳の仕組み
記憶を司る脳の器官は3つあります。
海馬 :記憶のための一時的な保管場所=メモリ
側頭葉:長期保管場所=ハードディスク
前頭葉:記憶の司令塔。長期保存するかを決定する
情報は「忘れっぽい海馬」と、「忘れにくい側頭葉」との二重構造で記憶を保存します。記憶術をマスターするには、 人の脳が忘れるようにできているという前提を理解するのが大切です。
人は忘れる:エビングハウスの忘却曲線
人は一度覚えたことを1時間で半分以上忘れてしまいます。また、初めて学習と、一度やったものをやり直しでは後者が圧倒的に楽です。故、一時以内に学習内容を反復すると記憶が効率的に定着します。
「覚えた」と「覚えている」は違う
ここで勘違いしてはいけないのは、一度やって覚えているように見えても、記憶が定着したかは別。「覚えた」と「覚えている」は違います。忘れないうちに4、5回は繰り返し、記憶を維持させると、記憶が効率よく定着します。
丸暗記はなぜダメなのか
散らかった机の上をかたずける際、適当に箱にモノを流し入れると、あまりものが詰め込めませんし、モノが取りだせなくなってしまいますよね。
記憶もこれと同じ。バラバラで雑多な情報を詰め込んだ場合、記憶するのも困難だし、必要なときにそれを取り出すことも困難です。
単なる丸暗記はダメで、内容を論理的に理解・整理して、自分の考えもセットにして記憶するのが大事です。
記憶する場合は、「イコールの関係」「対立関係」「因果関係」の3つであらゆる情報を整理して、脳に入れましょう。このような論理的な方法で覚えれば、情報が整理されるので、記憶の格納、記憶の引っ張り出しが容易になります。
暗記色が強い教科の一つに「歴史」があります。この「歴史」も「因果関係」を利用し整理すれば覚えやすくなります。
また、単に年号を覚えるのではなく、1600年関ヶ原の合戦、1868年明治維新といった「軸」になる年号を先に記憶し、覚えたい年号を時間軸にプロットします。
このようにすることで、歴史の時間軸を整理することができるだけでなく、その事件が全体の中でどの時代に起きたのかという時間感覚が身につきます。
以下の本の中でも、同様のことが書かれていました。
記憶定着化のための記憶管理
記憶の4段階
記憶には4つの段階があります。
①familiar :親近感=ほとんど覚えていない状態
②recognition :見分ける=知ってる!という状態
③recall :再生する=自分で正確に思い出せる状態
④automatic :自動的→習熟=自然に浮かんでくる高いレベルの記憶状態
多くの知識はいかに効率よく③のレベルにもっていくかが大事になります。
例えば、英単語、日本史の人名などは③のレベルに達すればOKです。
では、②の知っているという状態から③思い出せるという状態にレベルを上げるにはどうしたらいいでしょうか。答えは「時間分散 反復学習」。何度も反復して覚えることです。
記憶のモニタリングとコントロール
一度、記憶に定着したと思った記憶も、使わないと徐々に忘れていってしまいます。これを防ぐためには、自分の記憶を自分自身で管理する必要があります。このことを「メタ記憶」と言いますが、これに大事なのが「モニタリング」と「コントロール」です。
モニタリング
効率よく効果的に学習し記憶するためには、自分がどの程度覚えているかチェックする
コントロール
モニタリングで忘れてしまった記憶を反復し、「覚えている」状態に戻す
このモニタリングとコントロールを繰り返すことで記憶は強化され、知識として定着していきます。
記憶を定着化するためのスケジュール
記憶定着化のために肝心なのは、反復学習をいつするかのタイミングです。無理なく記憶定着するには、以下の記憶定着法がオススメです。
一度目の学習:丸暗記ではなく、理解することを考える
二度目の学習:一時間以内に行う
これが 確実に、しかも効率よく覚えるためのスケジューリングの第一鉄則です。要は面倒くさがらずに、ちょっと見直すことをしたかどうかです。
試験に強くなる記憶術
ここまで、ただ覚えるだけでは非効率なので、「論理」と「記憶定着化サイクル」をフル活用するといいことを説明してきました。ここからは、それをより深く見てきましょう。
三位一体学習法
三位一体学習法とは、理解(論理)→反復(記憶の定着)→実践(演習)の3ステップで学ぶ学習法です。
この時、以下を意識して実践します。例えば、「今は理解をするために、テキストを予習している」「今は、記憶するために、講義のノートをとっている」といった具合で認識することで、記憶効果はあがります。
①理解 →記憶 →実践
②テキスト→ノート→問題集
③予習 →講義 →復習
暗記系の学習法
暗記して覚える必要がある学習は以下のようにやると効果的に覚えられます。
- 記憶事項を確実にものにするために、文章の中で覚える、因果関係を理解するなど、論理力を駆使する。
- 記憶事項は雪ダルマ式に増えていくが、一度目の学習では完全に記憶しようとするのではなく、recognitionレベルをまず目標とする。
- 反復学習によって、recallレベルまで持っていく。
- モニタリングで記憶が落ちていた場合は、間を置かずに反復学習してrecallレベルに戻し、それを維持する。
- 記憶したものを使って文章を読んだり、考えて、知識を血肉化する。
単語集などの具体的な記憶術
自分の記憶レベルにあった単語集を選ぶことが大切です。半分以上わかる単語帳を用い、未知の単語を記憶するのではなく、いったん覚え、そして忘却した単語をきちんと思い出すことから始めます。
俯瞰的な視点を持って覚える
細かい知識はとりあえず後回しにして、軸になるものを記憶するか、全体を俯瞰します。細かい事項は後から。マンガなどを用いて最初に俯瞰するのは効果的です。
軸になるものをしっかりと理解すると、勉強していくうちに、自然と別の関連知識が頭に入り、雪だるま式に記憶が増えます。
人にしゃべる
覚えようとせず、理解したことを筋道を立てて人に整理し話すことで、大事なことが脳の中で整理され記憶されます。
最後に
今回は、『出口汪の「最強!」の記憶術』の要点を紹介しました。
非常にわかりやすく、如何に覚えるかが説明されていて、即実践できることがお分かりいただけたと思います。
最強の記憶術を習熟することがゴールではありません。しかし、これが、自分の夢や目標を実現させるための「人生の最強の武器」の一つとなり得ることは間違いありません。
まずは、覚えたいことを1時間後にさらっと見直すことから始めてみたいと思います。
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