数字は、世界のビジネスにおける「共通言語」。
言語・立場・経験などを超え、シンプルに相手に伝わるのが「数字」。的確に伝わるから、相手と自分と共通の認識を持ち、成果にまい進できる。これこそが「数字の力」です。
現代社会では、数字は人と比べるものさしとして使われがち。 学校ではテストの点数で比べられ、それが社会でも続きます。そのため、「数字は怖い存在」であり、それ故「数字に苦手意識」が多い方が溢れていますが、「数字はあなたの頼れる人生のパートナー」。逆に、数字をパートナーにできなければ、「伝わらない・評価されない・達成できない」に苦しむ人生が続くことになります。
今回は、定居美徳さんの『数字で示せ』に、「数字」を使いこなし仕事で成果を出す方法を学びます。
目次
できる人は数字で話す
数字に強い人は「デキるビジネスパーソン」として尊敬されます。尊敬されるのは、「数字が苦手」な人が多いからに他なりません。
数字で話せない理由
「数字で話せない理由」を端的に示せば、「数字への間違った思い込み」を持っているからです。
私たちは、「数字は正しくなければならない」と思っています。しかし、学校と社会で使う数字は違います。実は、多くの場合、正確性は必要ありません。また、難しい数学も必要ありません。
大事なのは、「成果を出す」ための実用的なコツを知ること。数字で話すための「型」=「いつ・いくら・何% を意識して話す術」を身につけることです。
なぜ、あの人が話すとみんなが動いてくれるのか?
ビジネスは一人の力は達成できることが限られます。周囲を巻き込み、全員を活躍してもらうことが欠かせません。ここで大事になるのが、現在の状況を解き明かし、ややこしい問題の本質を誰にでも分かるように「シンプルに伝える力」です。
誰が、いつまでに、何をすればいいか―(いつ)
予算はいくらで、どのような成果が出るか―(いくら)
そして、その実現可能性はどのぐらいあるか―(何%)
相手が知りたいことは、「いつ・いくら・何%」で疑問の9割は解決します。
数字で語らない弊害
「ちょっと」「時間があったら」「なるはやで」…
私たちの身の回りには、「曖昧な表現」が溢れています。相手を気づかって使われることも多いですが、このような言葉を使った依頼は、ビジネスにおいて最も大事な「時間」無駄にします。ビジネスでは締め切りを曖昧にしていいことはありません。
「数字で語らない」弊害
「事実 × 数字」が仕事の会話の基本です。現状把握や結果など、数字のない「あいまい」な仕事で結果が出るはずがありません。以下を強くに認識する必要があります。
数字のない「あいまい」な会話では、話が正確に伝わらない&成果・達成度が測れないため
・仕事が終わらない
・評価されない
・協力が得られない ⇒悪循環のループ ⇒ビジネスで成果がでない
結果、数字で話す人と、話さない人では、「仕事のスピード x 得られる協力 x 与えられる評価」で大差がつきます。これは当然、年収・収入に直結します。
相手に動いてもらうために大事なこと
相手に動いてもらうためには、①問題(現在)、②ゴール(未来)、③必要な行動(内容・量) の3つをはっきりさせなければなりません。
3つがわかることで、相手は問題の重要性を理解します。数字によって、ゴールがわかり、必要な行動(エネルギー・時間)の目途が立ち、動き出せるのです。
夏休みの宿題も「8月31日」と言う期限があるから終わります。人に依頼する場合は、「ちょっと手伝って」ではなく、「17時までの間に、●●しなければならないので、30分手伝ってほしい」と具体的に依頼すべきです。
なぜ「いくら」を話すのが苦手なのか
「いつ」「いくら」「何%」の3つの中で、特に苦手とされるのが「いくら」です。特に、クロージングができないビジネスパーソンは、「高いと思われたらどうしよう」「相手の期待と違っていたらどうしよう」と心配して、なかなか「いくら」を伝えることができません。
しかし、ビジネスでは「いくら」が分からないと何もはじまりません。また、次のような言葉も要注意。
・ケースバイケースで費用が変わります。
・あなたの予算に合わせます。
相手がお客さんなら、即決できないので、判断が先送り⇒クロージングにつながりません。たとえ、一歩ビジネスが進んだとしても、「予算感」がずれていては、いずれビジネスは頓挫します。
「いくら」を考えない・伝えないのは、正直ラクですです。しかし、確実に、ビジネスチャンスを逃します。また、価格を相手に丸投げするのはとても危険です。「いくら」をはっきりさせない弊害は極めて大きいと認識しましょう。
数字で話すシンプルなコツ
では、数字で話すにはどのような点に気をつけたらいいでしょうか。
「シンプルな3つの数字」で話せ
上述した通り、ビジネスでは、「正確な数字より、3秒でイメージできるシンプルな数字」が大事です。「いつ(時間)、いくら(お金と量)、何%(可能性)」の3つを示せばOKです。
「数字で話す」目的は、相手を動かすことです。わかりやすくなければ、人は動きません。数字を増やしても、判断材料が増えて、結果、人は動かなく(動けなく)なります。
①相手とあなたに共通言語(共通の認識)が生まれる
②成功の可能性を上げる、または失敗するリスクを下げるための協力が得られる
③予想と違う結果が出たときに、理由を考えられる。
④次に話す精度が上がる
「いくら」を伝える
上述した通り、「いくら」を伝えない弊害は大きいです。
「いくら」を伝えるのが苦手なら、まずは、仕事の価値を金額にするために、外注したときの価格や、皆が知る大手メーカーの価格、競合の価格などを参考にしましょう。このとき、相手を気にするあまり「安い価格」を提示しすぎないように。後で自分が苦しむことになります。
本当にクロージングしたければ、最初に高い額を示し、後で、安い価格を示すのが鉄則です。また、価格提示に誠実さは必須です。嘘があれば、いずれ関係は崩れます。
間違うのが怖ければ、パーセントを使え
明確な数字を言い切ることが怖ければ、パーセントで語りましょう。結果的にこのパーセントが正しくなかったとしても、それをとがめられることはほとんどありません。
パーセントで語るコツは、「ざっくりとした感覚でいいので「事前にパーセントの基準を持っておく」ことです。意識して話すうちに、パーセントで語る精度も上がっていきます。
120% | 絶対いける。自信を示したい |
95% | ほぼ確実(一部不確定がアリ) |
75% | いける確率が高い |
50% | 判断できない(使わないほうがよい) |
30% | ちょっと厳しいが、可能性アリ |
5% | ほぼ可能性がない |
大きな未来のゴールを達成するコツ
大きなゴールも、その道筋を数字で共有(イメージ)できてこそ、関係者に共通の理解が生まれ、目標も達成できます。ここでも、難しい数字は必要ありません。
未来のゴールを分解する
最初の一歩を踏み出すためにも「数字」は大事です。旅の目的地がないと第一歩が歩み出せないのと同様、そもそも行きたい場所やゴールが見えていなければ歩みだすことはできません。
「現在地」と「ゴール」を数字で示せれば、ゴールとのギャップがわかります。そして、ギャップからアクションが見えてきます。
❶ゴール−現在地=ギャップ
❷ギャップ=アクション1+アクション2+…..
ここで大事なのは、アクションを細かく分解すること。特に、最初の一歩を大きくし過ぎると、結局、何もしないで終わります。 24時間以内に実行&達成できる「小さなステップ」がベターです。まず、最初の一歩が踏み出せれば、8割成功したも同じと言えるぐらいの効果があります。
悪い報告も「早く・正直に・数字で」
ギャップを埋める、一つ一つのアクションの達成を「時短」してくれるのも「数字」です。
数字で説明すると、説明は1/10に。定量的な説明で、ムダなく、最短、最速で現状が伝わります。
悪い報告は上司に伝えたくないモノですが、悪い報告こそ、「早く・正直に・数字で」 が大事です。グダグダ言い訳をしても信頼を失うだけ。一方、数字で的確に示せば、上司は味方になってくれます。
ギャップを埋める小さなアクション達成も「数字」で加速する
本書で紹介されている、ビジネスで「数字」を使いこなすコツをいくつかまとめて紹介しておきます。
・メールは件名が9割
件名は「アクション×いつ(具体的な日付)」で 18 字以内に
・会議・議題は3つのシナリオから選ばせる
反対意見を出すより、あらかじめ選択肢を用意し選ばせると、決定が早い
・目標は 10 倍に引き上げて、短期目標は具体的なものにする
目標は普通過ぎると多くの人は頑張らない
相手の決心を誘うには、数字で話すと同時に五感を刺激する
数字を使ったストーリーで社員を惹きつける。ストーリーは数字の最強のパートナー
過程となる短期目標は、「いつ・いくら」など具体的で評価しやすいものに
・初対面では、自社紹介せず「他社実績」を数字で話す
相手はあなたに興味はない。興味があるのは「自社」「自社の数値やメリット」
・選ばれたければ 「ナンバー1」「オンリー1」で話す
競争せずに勝つコツ
最後に
今回は、定居美徳さんの『数字で示せ』からの学びを一部紹介しました。本書には、上記説明以外にも、実践的なテクニックが紹介されています。
また、あなたが「数字で話せているかを把握する」簡易テストも紹介されています。「時間」「お金」「リスク」に対する強さがザクっとわかります。
時間管理 :スケジュール管理、瞬発力または持久力、生産性
お金の管理 :予算管理、値段交渉力、具体性
リスクの管理:危機対応力、柔軟性
私も、本書のコツを実践して、「数字を人生のパートナー」とできるように、努めたいと思います。