後悔するとわかっているのに、なぜ私たちは「ぐずぐず癖」「先延ばし癖」を直せないのか。
私たちは、いつも、やった方がいいと分かっているのに、すぐに行動できずに、そのまま放置になっていることが多くあります。この「先延ばし癖」の原因とその解決方法について、深い気づきを与えてくれるのが、ピアーズ・スティール氏の『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』。
ヒトが先延ばしを行ってしまう理由は、その人が問題である以前に、狩猟採集時代からの人類の進化の副産物とも言える「遺伝子的問題」「脳のメカニズム」。
「目の前の衝動に負けて、なすべきことをなさず、なさざるべきことをなしてしまう」のが人間のサガです。
しかし、先延ばし癖が人間のサガだと分かっても、先延ばしを放置する代償はあまりに大きい!なぜなら、キャリア・財産・健康など、先延ばしは人生のあらゆる部分をぶち壊しにしかねないからです。
今回は、著書『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』から、私たちが先延ばしで危険にさらしていることについて、紹介します。
目次
先延ばしで失うこと・後悔すること
私たちは、日々、いくつもの先延ばしを行っています。
やるべきことは一般的に「重要度」「緊急度」の2軸で示されますが、多くの人は、「緊急度:高、重要度:低」で一日を追われ、人生に大きな影響を与える「緊急度:低、重要度:高」のエリアに該当することができていません。これらが何年も放置されたままであることはザラです。
では、これらがを先延ばしにする代償について、考えてみたことがあるでしょうか?
【調査結果】人生の主要な12の領域と、その先延ばし度
以下の表は、「著書」に掲載されている人生の主要な12の領域と、その先延ばし度を調査した結果です。
右の列は、その領域を「最も先延ばしが深刻な3つの領域」の一つに選んだ回答者の割合を示します。
人生の主要な先延ばし3分類と先延ばしの代償
ピアーズさんは、上記12の領域は、「成功」「自己改善」「親密な人間関係」の3つにカテゴリー分類ができるといいます。
この3つのカテゴリーと、先延ばしの代償をポイントを、私なりにまとめ直してみたのが、以下の表です。
カテゴリー | 領域 | 先延ばしの代償 |
---|---|---|
成功 | 2,3,6 | ■教育、キャリア、所得に関連するカテゴリー ・先延ばしが最も目立つ領域 ・先延ばしの代償が最も大きい領域 ・必然的に、資産が増えない。成功を手に入れられない。 ・先延ばし傾向 :教育>キャリア>所得 成功度合いに及ぼす影響度:教育<キャリア<所得 |
自己改善 | 1,7,10, 11,4,5 | ■心身の向上に関するカテゴリー ・先延ばすと、心身の両面で健康が損なわれやすい ・健康に関して先延ばしをする人は、 精神生活、レジャー、自己の領域でも先延ばし癖がある ・コミュニティとロマンスという社会生活の領域 とも深く結びつく |
親密な人間関係 | 8,9,12 | ■友達、家族、子育てなど、人間関係に関するカテゴリー ・幸福度を左右する最大の要素は充実した人間関係 ⇒先延ばすと「人生の幸福度」が低下 ・資産や健康に恵まれても、 それを一緒に楽しむ人がいなければ価値が薄らぐ ・3つの中では、最も先延ばしの代償は軽度 |
先延ばし結果の考察
上記結果からわかることを、まとめてみます。
先延ばしの弊害が大きいものほど、先延ばしされる
最も重要なのは、先延ばしの弊害が大きい領域ほど、先延ばされる傾向大きいということです。
もっとも、先延ばしの多い「成功カテゴリー」だけを見ても、教育よりキャリア、キャリアより所得のほうが総じて先延ばしす傾向が高いのです。
代表的な影響度の高い先延ばしが「資産形成」です。
「複利の力」の先延ばしで失うもの
アインシュタインは、「複利の力は人類最大の発明」と言いました。
バフェットは、「株式投資の真髄は雪だるま(スノーボール)」と言いました。
どちらも資産運用では「複利の効果」を最大限に活かせ!という教えです。小さなスノーボールも、それが、長期的に成長する株であれば、10年〜20年わたって転がし続けることで大きな雪だるまになります。
しかし、多くの人は、この小さなスノーボールを転がすことを、何年、何十年も先延ばします。私も例外ではありませんでした。
シミュレーションで見る「複利の力」
複利で資産運用シミュレーションしてみるとその結果は歴然です。
仮に、想定利回り年利5%で、毎月5万円の積立投資を30年続けると最終積立金額41,612,932円(元本:18,000,000円)になります。
これは、若くして長期投資を始めれば始めるほど、人生終盤の問題「老後の資金問題」に悩まなくていいことを示しています。
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金融庁:資産運用シミュレーション
先延ばし人間、最大の問題は「実行」
さて、ここで、資産シミュレーションをしただけでは意味がありません。
資産形成に関する最大の問題は、「先延ばし人間は、将来に備えてお金を貯めようと思っても、その計画をほとんど実行に移さない」ことにあるからです。
先延ばしで複利効果が小さくなり、資産形成が難しくなる
複利の効果を得るために大事なのは「時間」です。それは時間をかけることで資産増加に加速度がつくからです。
しかし、先延ばし人間は、資産形成以前に、お金を貯めることが苦手です。月の返済が気になっても、「衝動」に突き動かされて、無計画にお金を使ってしまいがちです。クレジットカードの支払い滞納などの率も高くなります。米国では、一時的に金利を引き上げられていまい、最終的に、最も高い金利(年利約29%)を適用されている人が多いと著者は指摘します。
与信の数値化が進むと…
日本でも、ローンなどを組む場合、信用力によって適用金利が変わりますが、今後は、中国のように益々「与信の数値化」が進むと考えられます。
既に中国では、「ジーマ信用(芝麻信用)」によって信用(与信、信頼)が指数化され、個人の経済活動に影響を及ぼしています。
与信の数値が低いと、問答無用で、高い金利が適用されるだけでなく、物件を借りたくても部屋が借りられない、モノをレンタルしたくても高い使用料が適用されるなど、与信力がないと、益々、生活が厳しくなる流れは、世界でも広がっていくのではないでしょうか。
こうなってくると、「先延ばし癖」の弊害は相当に厳しいものになります。
①プロフィール :学歴や勤務先などのステータス
②支払い能力 :過去の支払い能力
③過去の信用履歴:クレジットカードなどの支払い履歴
④人脈 :交友関係
⑤行動 :とくに消費行動
先延ばし人間への処方箋
先延ばしといっても、様々種類がありますが、最も人生への影響が大きい「所得(資産)」に限定して、処方箋を考えるなら、まずは、とにかく、難しいことを考えずに、少額でいいので資産運用を始めることです。
ポイントつきで毎月自動で積立投資が行える「クレカ積立」、投資の最初の一歩に向いています。
まず、始めよ!
先延ばし人間は、投資の勉強をしてから…と言っていると、簡単に1年、5年、10年が経過。ダラダラと時間が過ぎていくだけになります。
とにかく、始めることが大事。第一歩を踏み出すことです。つみたてNISA、iDeCoとか、そういう勉強は、まずは後回しでいい。少額でいいので、積立投資を始めてしまえば、関心も高まり、後から知識がついてきます。
何に投資するか
何に投資するか、5年、10年と投資することを前提とするなら、投信ブロガーが毎年よい投信を選ぶランキング「Fund of the Year」で4年連続1位👑に輝いている「eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)」でOKです。
の新NISA枠で、積立を始めましょう。360万円×5年=1,800万円/生涯 の投資枠を埋める運用が先決です。
新NISAで投資をするなら、SBI証券・楽天証券のいずれかがベターです。私は、楽天証券で新NISA積立を行っています。理由は、以下の記事で紹介しています。
どの証券会社で始めるか
新NISAの枠以上の積立投資を行うなら、積立でポイントが付く、証券会社で追加で積立を行いましょう。
初心者は「楽天証券」は「SBI証券」のいずれかから選べば間違いありません。ちなみに、私はNISAは「楽天証券」、iDeCoは「SBI証券」で行っています。その他、両証券会社でポイント還元付きのクレカ積立も行っています。
お得にクレカ積立をする方法は、以下の記事を参考にしてください。
その他の証券会社のクレカ積立還元率を比較して検討したい方は、以下の記事にてご確認を。
毎月の積立額が大きく、複数の証券会社で積立投資したい方も、ご参考に。
最後に
今回は、「先延ばしの代償」を「成功(資産形成)」の観点から、私なりにまとめてみました。
著書『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』には、先延ばしのメカニズム、対策法などが、事例をたくさん示しながら解説されています。
正直、耳が痛いことだらけ… そして、気づきも多いです。実践すれば、確実に、人生がよりよいものになると確信します。読む価値の高い良書です。私にとっては、人生を変える一冊となりました。
皆さんも、是非、読んでみてください、一冊しっかり読んでみることをおすすめします。
書評はこちらです。先延ばしのメカニズムを理解しよう。