三谷幸喜脚本のNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の右腕として、頼朝と坂東武者たちの架け橋となる北条義時が主人公のドラマですが、周囲に振り回されながらも、回を重ねるごとに、リーダー的な思考・資質を身にいつけていく姿が描かれていますね。
ただ、鎌倉時代の時代劇はこれまで放映回数も多くなく、歴史的背景などを知らないがゆえに、いまいち、楽しめないと思っている方も多いのではないでしょうか。
そもそも、私の場合、「鎌倉殿の13人」ってそもそも何?という具合で、タイトルの意味さえ理解できていませんでした。
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そこで読んでみたのが「北条義時 弱点を力に変えるリーダーシップ術」。
大河ドラマを鎌倉時代の歴史、主人公 北条義時 についてより理解を深めて楽しみたい方にお勧めです。また北条義時の組織運営は、圧倒的なカリスマ指導者でない人が、いかに強い組織運営を行っていくを学ぶためのいいお手本です。現代のビジネスパーソンにも通じるリーダーシップ術も大いに学べます。
目次
鎌倉殿の13人って何?
2022年のNHK大河ドラマの鎌倉殿の13人をご覧になられた方はご存じかと思いますが、「鎌倉殿」とは源頼朝のこと。そして、「鎌倉殿の13人」は頼朝の死後に発足されました。
「13人の合議制」の発足
「鎌倉殿の13人」は、「13人の合議制」のことです。頼朝の没後、嫡男の頼家が鎌倉殿となったそのわずか3カ月後、有力御家人13人による合議制が導入されました。
「鎌倉殿の13人」に選ばれた選ばれた御家人は以下の13 人です。
北条時政、北条義時、大江広元、三善康信、中原親能、三浦義澄、八田知家、和田義盛、比企能員、安達盛長、足立遠元、梶原景時、二階堂行政
では、なぜ、「2代目鎌倉殿」がいるのに、「13人の合議制」発足したのでしょうか?
なぜ合議制が必要?頼家に才覚がなかったから!
正治元年(1199年)正月13日、頼朝が急逝。落馬し、その後体調を崩したことが原因とされていますが、「吾妻鏡」には、頼朝の晩年から死の前後に関する記録はほとんどなく、簡略化されていることから暗殺されたとする説もあるそうです。
源頼朝の突然の死を受けて、朝廷は嫡子の頼家に対し 頼朝の跡を継いで諸国守護を奉公すべき宣旨を下しました。これが「鎌倉殿頼家の誕生」です。
しかし、2代目鎌倉殿には才覚がなかった!これが、「13人の合議制」が発足した大きな理由です。将軍としての才覚も、武芸にも頼朝に比べて見劣りするモノでした。
鎌倉時代は訴訟が頻発
二代目には才覚がなかったと述べましたが、鎌倉時代の主従関係といえば、「御恩と奉公」です。
鎌倉殿は御家人に所領安堵と新恩給与(新たに土地を与えること)、官位推挙(朝廷に官位授与を推薦すること)することで、御家人からの信頼を得ていました。これが『御恩』。
この御恩に対して御家人は、警護、軍役に就くなどして応え『奉公』するわけです。
しかし、御家人同士の間では土地争いが絶えない。そのため、御家人との信頼を築く上で大事な裁定の役割を鎌倉殿が果たしました。しかし、2代目の鎌倉殿 頼家にはその才覚がありませんでした…そこで、有力御家人13人による合議制が導入されることになったわけです。
将軍家・執権家の争いも絶えず…
鎌倉時代は、いざこざが絶えない時代です。御家人だけでなく、将軍家自身の勢力争いもすざましい。頼朝は、たとえ、血のつながった兄弟であれ、将来起こるかもしれない権力争いを封じるために殺しまくりました。
また、北条政子が、後日、「尼将軍」になったように、女性の権力も強い。尼将軍に限らず夫や一族の権力を高めるべく様々策略に動き、自信の人脈を駆使しつつ、夫に助言する複数の妻(牧の方、比企能員の妻 道 など)の姿もドラマでは描かれていました。
北条義時も、畠山重忠の乱をきっかけに、父であり初代執権となる時政を蹴落として「執権政治」を行いますここでも、父時政の後妻牧の方の策略が色濃く絡んでおり、本書にはその理由なども解説されています。
ドラマでもその姿は描かれているので、おさらいしたい方は、NHKオンデマンドで見てみましょう。
北条義時のリーダーシップ
大河ドラマでは、何においてもリスクマネジメント・クライシスマネジメントを徹底する源頼朝に対し、若いうちは気持ちが優しく人の心を配慮して立ち回る人物として描かれている北条義時。しかし、いくつもの試練を乗り越えていくうちに、初代執権の座を父からも奪い強い人物として、その頭角を現していきます。
本書では、弱点を力に変える義時のリーダーシップ術を、以下の観点から分析・解説しています。
第二章:父・時政の追放に学ぶ「リスクマネジメント」
第三章:武士政権の確立に学ぶ「鋭い分析力と根回し術」
第四章:承久の乱から学ぶ「現場をつかむ采配」
リスクマネジメント術
まず一つ目がリスクマネジメントです。
初代執権の父を執権の座からおろしたのも、義時(+牧の方)が権力を求めすぎてしまったからです。これでは一族全体が危なくなります。結果、義時は父と袂を分つというリスクマネジメントを行います。
ポイントとして本書では3つが挙げられています。
・時流をつかみ、「強き」を見極める実力
・先手を打つために、ライバルの情報をつかむ
・「身内切り」は信頼性を高める最も強い手段
鋭い分析力と根回し術
大河ドラマを見ていると、義時は若い時からフォロー上手で信頼関係を築くのがうまい様子がよくわかります。
頼朝から絶大なる信頼をされたのも、この力があったことが大きいでしょう。また、御家人たちの声を聴き、その取り次ぎやフォローも欠かすことはありませんでしした。
この力は、リーダーになった後も大いに発揮されます。北条氏を継いだ義時は、自分が断然一番になるのではなく、協調性を大事にし、ナンバー2 大江広元と協力体制で、将軍実朝の補佐役として幕政を主導し、その政治力によって北条氏の地位を盤石なものにしていきます。
スキルのポイントとして、本書では2つが挙げられています。
・前任者の失敗を把握し、アップデート
・反発されずに目的を貫く「根回し術」
現場をつかむ采配
反発されずに目的を貫く根回しも正しく現場をつかむスキルがあってのものです。
現場をつかむ力が特に発揮されたのが、朝廷VS幕府で戦うことになった「承久の乱」です。
承久の乱(じょうきゅうのらん)は、1221年(承久3年)に、後鳥羽上皇が鎌倉幕府執権の北条義時に対して討伐の兵を挙げて敗れた兵乱ですが、圧倒的なリーダーで朝廷配下を指揮し幕府軍と戦った後鳥羽上皇は、絶対的な存在であるがゆえに誰もノーと言えずに、間違った判断を行い敗れることになります。一方、義時は、承久の乱後も、ソフトもハードも「強いチーム」を目指して、組織運営を行っていきます。
ポイントとして本書では2つが挙げられています。
・リーダーに必要なの「不足」を見極める力
・信頼できるプロフェッショナルを補佐に置く
・現場の「人を動かす人」と「仕事を動かす人」を見極める
最後に
今回は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を楽しく見るための予備知識、および、北条義時のリーダーシップ術を紹介しました。
本書には、北条義時がリーダーとしてどのように優れていたか、詳細にまとめられています。上記の紹介は総論にすぎませんので、是非、本書を手に取って参考にしてみてください。
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鎌倉殿の13人のゆかりの地を旅しよう
歴史背景をある程度理解して旅はとても楽しい。この場所で、こんなことがあったのかぁ…と思うといろいろと感慨深い思いになります。
今年行ったのは「湯河原」。大河ドラマの関連地に行くと、観光スポットにはのぼりが出ていたりして、活気づいています。以下は、それぞれ、ゆかりの地を訪れたときに撮った写真です。
伊豆:伊豆山神社
源頼朝・北条政子ゆかりの地
パワースポット
湯河原:五所神社
土肥実平ゆかりの地
湯河原駅前には土肥夫婦の像あり
鎌倉・伊豆界隈は関東圏に住む方ならかなり気軽に出向ける温泉・観光スポットです。