人生、誰にも挫折不幸がありますが、特に不幸が集中して襲ってくることがありますよね。

こんなとき、人は不安・心配で頭になくなってしまい、現実に起こること以上に不幸なシナリオばかり描きがちです。そして、自分の知恵や能力ではどうにもならないとへこたれて沼に落ちていきます。しかし、同じ不幸でも、早く復帰する人もいます。

不幸から早く立ち直る人は「どうにかできる見込みがあるかも…」と発想の転換をし、人生を好転します。この時、大事になるのが【知見】だと勝間さんは指摘します。

本書「勝間式生き方の知見」は、人生観や仕事観をデザインし直すきっかけとなる「55の知見」をまとめた1冊。不幸を幸せに転換する考え方のヒントが詰まっています。

今回は、本書から、今の私に大事だ、或いは、生涯にわたって意識しておきたい知見をピックアップして紹介します。

新しい可能性に投資する

変化が激しい今の時代を生き抜くには「自己革新」が必須です。まずは、自己革新につながる知見から見てきましょう

時代の波に乗るカギは 若年層・リテラシーの高い富裕層

時代は新陳代謝を重ねています。その新陳代謝のスピードは、情報伝達のスピードが速くなったことで加速しています。故、私たちも考え方や行動の新陳代謝が必須です。しかし、一方で、中高年層や高齢層は、一部の人を除いて新しいものに対する反応が鈍感になってしまいます。

では、どうしたら時代の変化の適者として生き残るのか?

変化の波を観察するために、❶若年層 ❷情報リテラシーが高い富裕層を情報源とすることが大事かと勝間さんは指摘します。彼らがどこに向かっているのかを追う必要があります。このとき見るべきポイントは、自分と彼らは何が一致していて、何が一致していないのかを見定めること。その差分こそ、「時代の変化の流れ」です。

また、世の中の流れは1事象で起きているわけではないので、「複雑系」も大事だと指摘。複雑系とは、相互に作用する様々な要因や部分が合わさって、全体としてなんらかの変化を見せることです。つまり、1つ1つの事象を見るだけではその本質は見えてきません。ニュースを見るときにも、一つの事象を見るだけではなく、背後にどういうことがあって、それらが絡み合って今この事象になっているのだろう、と想像してみることが大事です。そして、これから衰退していく斜陽な分野にコミットする時間は減らして、代わりに新しい芽が出て伸びそうな分野にコミットする時間を増やそうとアドバイスされています。

計算されたリスクを取る

リスクの本質は、不確実な可能性への投資です。故、「適度にリスクを取らないというリスク」が全体のリスクを高めてしまうことになります。だからこそ「正しいリスクテイク」とセットで「適度なリスク」をとる必要があります。

では、どのようにリスクテイクをしたらいいか?

もっともシンプルなのは、「そのリスクを取ったら最悪何が起きるか」を考え、その最悪のシナリオが自分の許容範囲であればリスクを取ってしまう、という考え方です。

❶身の回りにあるリスクを予測して、計量する
❷そのリスクに見合ったリターンを得られるかどうかを判断し、当該リスクを取るか、取らないかを決定する
❸リスクを取る場合、リスクをどうモニターして、どう制御するのかを検討する

ただ、リスクテイクは、様々な経験や失敗をする中でさじ加減を学んでいくものです。大事なことは、自分が許容できる範囲を把握しながら、少しずつリスクテイクできる範囲を広げていくことです。

こうした考え方でリスクテイクを重ねていくと、ほとんどのことが想定範囲内の出来事になってリスク耐性がつくため、初めて遭遇することが起きてもパニックに陥りにくくなります。
リスクと上手に付き合えば、将来は開ける確率が高まります。ある意味、人生の充実度はリスクをどれくらい上手に管理できたか、ということによって決まります。

リスクに強い恐怖を感じて動けない人は、リスクがもたらす損失とリターンの、最大値と最小値を計算できていないからです。リスクの総量を自分が管理できる範囲内だと計算できるようになれば、リスクが取れるようになります。

自分を失わない

マスメディアは事実に基づいていても、私たちの恐怖心や猜疑心をあおるものや、悲しみや怒りを増幅させるニュースを取り上げる傾向があります。これらに日々触れてると、自分の心も不幸になります。触れ過ぎないことが大事です。

受動的に情報を受け取り続けると自分を見失い、自分で考えて判断ができなくなります。何か情報を手に入れたときは、常に「それって本当?」と一度頭の中で呟いて、〝健全な懐疑心〟を持つことが大事です。

埋没原価にとらわれず、アップデートを繰り返す

私たちは、今までに払ったお金や苦労など、埋没原価(サンクコスト)にとらわれがちです。うまくいく見込みがなくとも、それにすがろうとします。しかし、それでは成功は遠のきます。

私たちが年を取るにつれて時代に取り残されやすくなるのは、過去のしがらみを払拭できないことが原因です。 しかし、過去のしがらみを払拭してキャパシティを作りながら、良質なものだけを残し、新たな変化を取り入れていければ、蓄積量の差において、若い人より明らかに有利になれます。

コミュニケーションに関する知見

アサーティブコミュニケーションでWin-Winに

アサーティブコミュニケーションとは、自分を誤魔化さずに、自分も相手も尊重しながら気持ちよくやり取りすることです。
これを上達させるために大事な4つのポイントが、【誠実】【対等】【率直】【自己責任】。
この4つを日常的にできているかどうかを自己チェックすることで、コミュニケーションが上達します。

また、人それぞれ、「事実」は違い、 認知のズレがあることを押さえておくことも大事です。相手の話を聞きながら、自分が話したいことを思い浮かべるのではなく、まずは相手の話をしっかり聞いて隅々まで理解をする「傾聴」が大事です。

他者への貢献が 運とチャンスを引き寄せる

小さな貢献を繰り返していると、周りにいる人が、自分がやろうとすることにもサポートを惜しまない人たちばかりになります。
ギブ&テイクではなく、ギブのギブが大事です。

コントロール思考の知見

人生最大の利益を生む 「時間割引率」を考えて行動

時間割引率とは、将来のよりよいことのために今の欲望をいかに我慢するか、という指標のこと。経済学や行動経済学で用いられる概念です。

この時間割引率を理解するには、子供の我慢度チェックともいえる「マシュマロテスト」の結果が分かりやすい。この実験の結果は私たちに極めて大事なことを教えてくれます(以下の記事の一部で紹介)。

目の前の選択を将来の投資として考えて、その投資が将来花開いて大きなリターンにつながるように行動すると、だいたい人生はうまくいきます。これは簡単に言えば、自己コントロール能力が人生を決めるということですが、残念ながら、人の意志力はとても弱い… 欲望や本能との闘いだからこそ、「意志に頼らない」にするために「環境を変える」ことが大事です。どういう環境であれば、時間割引率が下がるか、という整備が重要なのか考えましょう

勝間さんは、これに加えて、次の4つのことを念頭に置いくことを勧めます。

❶時間割引率がもっとも高いとき=欲望や本能にもっとも負けやすいのは、今この瞬間
❷一度時間割引率を下げて報酬を得ると、その報酬がまた欲しくて自動的に下げ続ける
❸できるだけ余裕を持つ ※人は焦ると必ず時間割引率が高い決定を下す
❹将来の幸せのために今の幸せを犠牲にしてまで時間割引率を下げるのは本末転倒

問題解決は泥臭く、 ジタバタするのが正解

問題解決には泥臭いものと割り切るのが大切です。以下の3つを繰り返すしかありません。

❶こうすると的確に問題を解決できるだろう、という「定義」をし、
❷それに必要な情報収集をして、もっとも確からしい仮の解決法=「仮説」を手に入れ、
❸一つずつ実践して「検証」していく

問題解決に必要不可欠な思考力が養われます。思考力がなければ、どんなに優れたフレームワークも生かしきれません。また、問題解決の着手は急ぐ必要がありますが、むやみに結果を急がないことも大切です。

問題解決で一番よくないのは、 問題の予兆を感じたにもかかわらず、放置することで問題が大きくなっていくことです。投資の「塩漬け」はまさにこの典型です。問題は放置するとガン細胞のように広がって、私たちの気持ちや頭のワーキングメモリーを侵食して、それ以外考えられなくなる経験をしたことがある方は多いはずです。問題解決を放置すると、自分の都合のいいように解釈して、現状認識もゆがみます。いいことはありません。

タイムマネジメント能力を磨いて 自己効力感を上げる

人は基本、お金を無駄にはしません。しかし、時間は無駄にします。やりたくない仕事、でたくない飲み会などにも時間をささげます。だから、時間もお金と同じように無駄にしないように管理することが大事です。

そのポイントとなるのは、「ポジティブな生き方につながる時間の使い方」をすることです。「受動的」でなく「能動的」な時間の使い方をするのが大切です。また、テクノロジーを活用するのもその一つ。高速処理が可能なPCを使う、調理家電・ロボット掃除機などを使うのは最も簡単な改善方法です。

感情はコントロールでなく、 マネジメントする

感情はコントロールするもと思っていましたが、勝間さんは「マネジメントする」のが大事と説きます。

❶向き合う
❷距離を置く
❸理由を考えながら進む
❹前進する

まずは、今、自分はどのようなことを感じていて、それはどこからもたらされているのだろう、などと常に自問自答することが大事です。
感情マネジメントで大事なことに、「怒りの爆発」がありますが、引き金になりやすい原因の一つが「べき」論です。自分以外の人が原因で動揺させられると、相手が悪いことにしないと気持ちが済まなくなります。怒りを感じたら8秒待ってみましょう。

幸福度UPの知見

完璧主義者を捨て、最適主義やになる

完璧主義を目指すと、人生不幸になりがちです。どんなに完璧を目指しても、人間は失敗や過ちを犯します。故、完璧主義だと苦しくなっておおらかさがなくなってしまいます。

エラー0を目指すのではなく、「大まかな優先度付で全体を把握して、余裕を持つ」ことが大事。そして、シンプルに「本当に自分を幸せにするために必要なものは何か」ということに向き合いましょう。そうすれば、世の中のほとんどのことはどうでもよくなり、おおらかになれます。

「地位財」と「非地位財」は 分けて考える

お金は自分を幸せにするために使うもので、見栄を張るためではなありません。その幸せをもたらす財産は大きく、「地位財」 と「非地位財」 の2つがあります。
地位財とは、他社と比較することで満足感が得られる財産のことです。一方、非地位財は、主観的に満足得られる財産のことで、自由、愛情、健康、良質な環境などです。

このように説明すると、地位財は一見不要にも思えますが、地位財による生活の安定がなければ、非地位財を増やそうという気持ちもなくなるので、2つとも大事です。地位財で質のいいものを選んで買える余裕は必要です。

スラック(余裕) を増やそう

前述の通り、人はある程度の精神的・&肉体的な余裕がなければ幸せを感じられない生き物です。余裕を作るためにも、「やらなくてもいいこと」「やらなくても困らないこと」を排除することが大事です。「これは本当に私でないとダメなのか?」も考慮に入れ、やることを減らしましょう。

虫の知らせを聞き逃さない

運をよくする法則は4つ。

❶チャンスを最大限に広げる
❷虫の知らせを聞き逃さない
❸常に幸運を期待する
❹不運を幸運に変える

どうでもいいようなくだらない話の中にも有益な情報や知識は意外とあるので、それらを見つけたら、どんどん試すことが大事。また、心がざわつくなど、予感や直感を大切にすることも大事です。

普段から幸運を期待していると、何かいいことがないかな、という感じで意識が外に向いて視野も広がります。逆に、普段から幸運を期待していない人は、目の前に幸運の種があっても気づけなくなってしまいます。

「不幸を幸運に変える」は、「レジリエンス(ストレスやショックを跳ね返す力)」や「セレンディピティ(予想外の幸運を捕まえる力)」が大事であり、不幸の中にも次の幸福の種を見つけられるものです。それを見つけて、着実に歩いていくのが、不運を幸運に変えることにつながります。

執着を手放して、 今あるものに感謝する

人は手放すことが嫌いで、変化を好みません。理由の一つは、 私たちは、新たに何かを得て「得をする」ことよりも、何かを手放して「損をすること」が嫌だから。二つ目は、 現状維持バイアスが働くからです。

しかし、執着は次に新しいものが入ってくるスペースをなくします。不要なモノ、ヒト、コトと決別して執着を捨てると、残ったものに対するありがたみが自然と増すので、まずは手放すことが大事です。

最後に

以上、本書の中から、私にとって大事なものをピックアップしてまとめました。
上記でまとめたものは、本書の内容の極々一部に過ぎません。心に響く内容も人によって異なります。いろいろな気づきが得られる本なので、是非、ご自身で読んで見られることをお勧めします。