ビジネスに関わる人ならば、自社の商品や取り組みを多くの人に知ってほしいと思っているのではないでしょうか。しかし、読売新聞記者11年、電通PRシニアコンサルタント等の経歴を持つ著者の坂本さんは、多くの経営者と話をする中で、「えっ、私でもマスコミにプレスリリースを送ってもいいの?」という発言を多く耳にし、マスコミに情報を届けるという考えをもつ経営者が非常に少ないことに気がつきます。

本書はマスコミの目にとまることもなくなかなか効果的にアピールしきれていない情報を、「マスコミに気づいてもらい、かつ、取り上げてもら効果的な方法」を教えてくれる本。

本書を読むと、1.ポイントさえ押さえれば、マスコミにアプローチする方法は難しくないこと、2.取材をする取材者本人も「人」であり、「人」にどうすれば気にかけてもらえるのかという、コミュニケーションの根本を気付かせてくれます。

セールスプロモーションに大きなお金を使わずとも、すぐに始められるアプローチ法を、是非。本書から学んでください。

マスコミ記者が報道する基準

マスコミ記者が報道する大きな基準は、社会の役に立つか?人の心を打つかどうか?
記者たちは、報道を通じて、「世の中をよくしたい」という思いを強く持っています。常にネタに飢えています。

一方で、無機質な単なる「宣伝」には極めて冷やかです。多くのプレスリリースはゴミ箱生きです。では、なぜ、そうなってしまうのか。

それは、「心」が感じられないからです。無機質な情報の羅列には、人の思いや温もりが感じられません。記者たちに対して「売り込みチラシ」を送りつける行為は、無意味である以上にリスクです。

誠実に心を込めたアピールが大事

記者に「心」を感じさせられるアピール方法として、坂本さんは、「お手紙のような書き方で、想いをこめてマスコミにアプローチする方法」を提案します。

プレスリリースに限らず、「人の顔」「想い」が伺えるような文章を書くことは、今からの時代の必須のスキルになりつつあります。

・大前提として「私」を主語にした、一人称で語り、
・「客観的事実」と「想い」の両方を、
・あなたの「人生ストーリー」をその場面が目に浮かぶように伝える

記者は目先の仕事に追われているため、自ら市民の中に飛び込み、コミュニケーションをとる機会が減っています。それでも、記者は心のつながるネタをいつも求めています。

大事なのは、「それによって”世の中”にどういう変化が起きるのか」?

彼らが興味・関心を持つのは「それによって”世の中”にどういう変化が起きるのか?」ということ。ある意味、商品やサービスそのものは、どうでもいい存在です。

自社の特異性をアピールするだけでは不十分で、その特性と世の中の動き・トレンドが重なり合うところを示すことが重要です。

必殺!茶封筒作戦

マスコミ記者は、「見た目のきれいな封筒=企業の売り込み」だと反射的に考えてしまいます。明ける前からモチベーションが下がります。

だから効果があるのが「茶封筒作戦」。きれいすぎない、書き手がわかるような「宛名の字」は記者に興味を抱かせます。