サービスを利用することは生涯数回しかなく、またサービス形態がわかりにくいが故にブラック企業が横行する葬儀業界。お客様のことより自分たちの売上や儲けを優先するブラック葬儀屋の被害が後を絶ちません。
33歳で葬儀業界に入り現場の第一線で活躍する著者が、ブラック葬儀社の手口を明らかにしています。
人は必ず死にます。そして、一般的にかけがえのない両親は自分より先になくなります。最後のお別れを嫌な思い出にしないためにも、まだ先のことであったとしても、「葬儀ビジネスの闇」を知っておいて損はありません。
また、おひとり様の場合、事前対策が必須であるため、少しずつでもいいので知識をつけていくことが求められます。
今回は尾出 安久さんの「ブラック葬儀屋」の要点を紹介します。
目次
葬儀社が葬儀一式を請け負うようになったのは戦後のこと
戦後、高度成長期とともに、「お葬式のことは葬儀社へ」というスタイルが定着しました。その理由には様々ありますが、地域のコミュニティが機能しなくなったり、人間関係が希薄化したことも、遺族が葬儀社にすべてをまかせっきりにしてしまう原因となりました。
ブラック葬儀屋、だましのテクニック
「ご遺体のため」というフレーズは、遺族の琴線に触れる
「ご遺体のため」「故人のため」は、ご遺族にとっては琴線に触れるフレーズです。また、人は世間体を気にします。このような遺族の弱みをついて、ブラック葬儀は過剰なサービスをふっかけてきます。普通の人は、ご遺体の扱いなど知りません。「腐敗が進むので○○しなければならない」などと言われると、怖気づいて葬儀社の言いなりになってしまいます。
ブラック葬儀屋は見栄や世間体をくすぐる
東京では自宅事情から、ご自宅に大きな祭壇を用意することは少ないでしょう。葬儀社としては、利益をUPしなければなりません。
さて、ここで、東京は飲み食いに関して出し惜しみをしない傾向が強い地域の一つ。ケチだと思われることに恥を感じる人も多く、自分の器を超えて見栄を張るところがあります。底に目を付けるのがブラック葬儀社です。
「祭壇や棺が贅沢できないなら、せめて飲み食いだけはしっかりやりましょう。親戚の手前や近所の目もあります。あまり貧相な料理は仏さんに気の毒だなんて言われかねませんよ。」
「来た人に振る舞って、いい葬儀だったとほめてもらえたら、故人も喜ばれると思いますよ。」
といった言葉で、立派な葬儀を出さなければならないといった気持ちにさせていきます。
なお、本書にはこのような様々な高い葬式に誘導する手口が紹介されています。
新しい葬儀動向
新しいいろいろありますが、
・スーパーやネット業者の葬儀 あくまで「葬儀社紹介業」
・遺品整理業という新業種
などはその一例です。
そして、増えているのが「ペット葬儀」。
実は業界では、これほどブラックな葬儀はないといわれるほど困った分野となっているそうで、利用する場合は十分注意が必要です。
増加する葬儀なしの火葬・おひとり様の葬式
昨今は、葬式をやらずに火葬だけして終わりにするケース、今後さらに数が増えるのがおひとり様の葬式です。
葬儀なしの火葬
増えているのが、葬式をやらずに火葬だけして終わりにするケースも増えています。
だからと言って、コストがかからないわけではありません。葬儀なしでお骨にするだけでも20万円以上かかります。
おひとり様の葬儀
孤独死が社会問題になっていますが、人は自分の死の後始末はできません。孤独死により発見が遅れ腐敗が進んだ段階で発見されるという事態を避けるためにも、おひとり様は事前の対策が必要です。例え、家族がいたとしても離れて暮らしている場合は、お骨の引取りを拒否されるケースもあり、人に迷惑をかけないようにしておくことが望まれます。
おひとり様は終末に迷惑をかけないために、次のことを終活として実行しておきましょう。
1.孤独死しないための普段からの人のネットワークづくり
2.不要なものの処分
使わないものを捨てる、譲、売るなどして常に身軽にしておく
3.財産処分の仕方を決める
親からの財産、自分の財産の行方を明らかにしておく
4.自分の葬儀をどうするかを決める
葬儀を契約しておく
5.自分の遺骨の処分方法を決める
合祀、永代供養することを決めておく(契約しておく)
なお、天涯孤独の孤独死の場合は、公費で火葬してお骨が合祀され合同供養に回すしかなく、所持金や資産は相続人を見つけられない場合には国庫へ入れられます。
最後に
今回は、尾出 安久さんの「ブラック葬儀屋」の要点を紹介しました。
私はおひとり様。今はまだ必要ないと思いつつ、おひとりさまの終活準備は今から考えておいた方が、いろんな意味でプラスがありそうです。
少なくとも不要なものは持たない(もともとミニマリスト志向)、財産目録的なものを自分なりにまとめてくなどは、取り組んでおきたいです。