「君、いつも話が長いけど、結局、何が言いたいの?」
こんな言葉を投げかけられてショックを受けた経験はありませんか?
面と向かって指摘されたことはなくとも、ビジネスの現場(会議、メール等)で、要領を得ない話に、イライラした経験は誰しもあることでしょう。
長く説明すればするほど、「物事の本質は伝わりにくくなる」というのは本書の著者の川上さん。
本書のタイトル「一言力」とは、短く本質をえぐる言葉で表現する能力のこと。
魅力的な一言を作り出すことは、センスのある人しかできない感覚的なことと考えがちですが、魅力的な一言にはきちんとしたロジックがあり、身につけば、「一生の武器」になります。
では、この「一言力」を如何に身につけるか?
本書では、一言力を7つの能力に分解し、どう身につけるか、非常に説得力あるわかりやすく表現で解説がされています。きっと、あなたに役立つアドバイスが見つかるはずです。読んで損のない良書です。
今回は本書の要点・ポイントを紹介します。
「一言力」を構成する7つの能力
一言力を身につけるために、必要なのは以下の「7つの力」です。
1.要約力:情報、言いたいことを短く要約する技
2.断言力:リスクを負って言い切る技
3.発問力:相手が思わず答えを探す問いかけをする技
4.短応力:相手の質問に短く的確にコメントする技
5.命名力:興味をひくネーミングやタイトルをつける技
6.比喩力:相手が腹落ちする比喩を瞬時に言う技
7.旗印力:多くの人を引っ張る旗印やスローガンをつくる技
以下で、7つの力を見ていきましょう。
要約力
一言力に必要な能力の第一番目は「要約力」です。重要な部分を簡潔にまとめられなければ、一言でまとめられるはずがありません。これが欠けていると、会議中に「結論は何だ?結論は?」と言われてしまうことになります。
この要約力を強化するのに参考になるのが、ヤフートピックス。Yahooトップページに表示されるトピックの文字数にして約13文字のタイトルです。この文字数で表現するには、伝えるべき要素を圧縮する必要がありますが、その圧縮の過程で余計な情報がそぎ落とされて何か重要かが明確になります。
断言力
「~だと思います」では、人の心に刺さりません。断言は、話者の意思を明確化する行為です。言い切ることで、言葉に力が生まれます。
優れた政治家・宗教家・経営は多くの人を惹きつけますが、それはリスクを負って断言するからです。逆に、官僚が書く文章が何度読んでも意味が頭に入らないのは、保身ばかりを考え、言い訳表現が多く長文なことに原因があります。
話に興味関心を持ってもらうには、発言の冒頭、文章は1行目が肝心です。
・圧縮して言い切る
・予言して言い切る
・脅して言い切る
・常識の逆を言い切る
などの手法でまずつかむことが大事です。
しかし、逃げ場を残こすことが必要な場合もあります。そのようなときは、以下の例のようなテクニックを使うことで、信頼を得ながら、断定を避けられす。
例)
×:ヒットするかもしれません。
〇:ヒットする確率はかなり高いです。理由は3つあります。
発問力
「発問力」とは、誰かに何かを「問いかける」「語りかける」「質問する」という能力です。
ここで注意すべきは「質問」と「発問」の違いです。わからないことを聞くのが「質問」であるのに対し、語りかける側が問いをつくるのが「発問」です。
では、なぜ「問いかけ」は、人の心を刺すのでしょう。それは、人は問いかけられると「答え」を探す習性があるからです。
短応力
「文春が払うと思います」
うまい!これは視点を変えた秀逸なコメントの例です。壇蜜さんの頭の良さが光ります。
命名力
命名力とは「興味をひく名前をつける力」 のことです。的確な名前をつけられれば、長々と説明することなく、言葉だけで人に伝えたいことが伝わります。
この例が、小林製薬の商品名。「熱さましシート」「のどぬーる」、聞いただけでどんな商品かが想像できます。
比喩力
別の何かにたとえて表現すると、難しい事象も簡単に理解頂けることはよくあります。比喩が上手になると一目置かれます。
旗印力
旗印力とは、別の言葉に置き換えると、「標語」「指針」「合言葉」のこと。
言葉の力はすごいもので、これがあると、人は目標を明確化し、団結することができます。
刺さるスローガンを作るポイントは、「短く、やさしく、覚えやすい言葉で、何かしらの発見や哲学があり、羅針盤になる1行」であることです。
最後に
今回は、川上徹也の「一言力」を紹介しました。
ダラダラとした言葉で人生が変わることはありませんが、人生を決める「一言」は存在します。
しかし、このスキルは日ごろの訓練なくして身につきません。
日常生活の中で、上記で説明した「7つの能力」を意識することで、発言力を高めていきましょう。
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