間もなく、今年2021年の上半期の終わりが近づいています。
世界経済の先行きを決めると言っても過言でない米国経済は、3月以降、ワクチン接種の拡大と共に順調に景気回復。一方で、金利が上昇。インフレが懸念される中、今月6月は、FOMCにて、金利政策が当初予定より早く縮小される可能性が示され、一時的に株価が下落するといった様相を見せています。
3月に始まった景気回復序盤から、5,6月には景気拡大中盤へとステージが進んだことで、物色される銘柄も変化。回復期に強い金融・不動産・エネルギー・交通・ホテルといった業種から、別のセクターへと物色銘柄も変化しています。
目下、投資家の最大の関心事は「金利」「インフレ(政策金利)」にありますが、私はもう少し細かな相場の上下動を見るに当たって、VIX指数(恐怖指数)にも注目しています。
その、VIX指数が、コロナ感染発生以降の最安値に到達。これまで、レジスタンス水準に位置しています。この水準から、VIX指数が再び反転上昇(恐怖指数増加=株価下落)してしまうのか、コロナ発生後の下値水準を切り下げていくかは、今後のアメリカ経済を見て行く中でも非常に重要だと考えます。
今後は、S&P500とVIX指数のチャートを確認します。また、現在の米国経済指標をもとに、今投資妙味があると考えるVIX投資を紹介します。
目次
コロナショック後&現在のVIX指数について
S&P500とVIX指数を見ることで、株価と投資家心理(恐怖)の状況について確認しておきましょう。
上図は、現在最高値を更新中のS&P500指数の日足チャートです。コロナショック以降、何度か下落する局面もありましたが、基本的にきれいな右肩上がりで株価が上昇してきています。
直近6月もFOMCの結果を受け、株価は下落しましたが、現在は、下落などなかったかのように再び上昇しています。ちなみに、25日週のS&P500は週間ベースで2月以来の大幅高となっています。
一方、上図はVIX指数の日足チャート。S&P500が最高値更新中であることもあり、コロナ発生以降の最安値まで下落し、節目の「15」を一時割り込みました。今はわずかに反発して、15を回復しています。
VIX指数は、2020年3月のコロナショック前までは、平時は10~15、不安が高まると15を突破し20へ向かう値動きをしてました。
しかし、それが、コロナショックをきっかけに水準が大きく変化。現在は、リスクオフの「楽観水準=20」の時代を経て、2021年になってからは「楽観水準=15」に切り下がってきています。
そして今、再び、「楽観水準=15」に到達。
ここでVIX反発(株価下落圧力となる)となるのか、さらに「楽観水準をを15以下に切り下げていくか」は、米国経済を見て行くうえで非常に重要であると考えています。
参考まで、より長期のVIXの値動きを確認するために、「週足チャート」も掲載してきます。
私はこのような局面で、リスクオフへのヘッジとして、CFDの買いポジションは減らすor売却すると併用して、CFDでVIX指数を売ることで、現物積立投資のヘッジを行ってきました。
さて、ここからはどうするかです。
米国経済:リスクオン継続か?リスクオフか?
これまで、米国経済の景気回復に支えられ、株価最高値を更新してきた米国株式。
しかし、私は、今後の株価下落のリスクヘッジのために、この辺で、株価下落にかけるVIX指数を少し買っておいてもいいかなと考えています。
理由は、四半期ベースで米国経済を見た場合、2四半期(4~6月)がピークになる可能性があると考えるからです。
アメリカ個人消費は4月がピーク
上記は、アメリカ個人消費の推移です。アメリカ個人消費は4月でピークアウトしてます。
米国の株式市場が活況になったのは3月~。理由は以下の2つでした。
❶ワクチン接種の順調な拡大
❷コロナ給付金の影響
❶厳しい外出規制からの反動で4月は売り上げが伸びたのは間違いありません。しかし❶については、既にアメリカは景気回復を回復しています。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が6月16日、金利引き上げの時期とペースの見通しを前倒したことを発表していることからも、4回目のコロナ給付金はないでしょう。
これらを総合的に見ると、2021年4月がピークとなる可能性は大きいのではないかと考えます。
第1回目:2020年4月(コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法)
第2回目:2020年12月(緊急経済対策を含む包括歳出法案)
第3回目:2020年3月(米国救済計画)
1回目、2回目、3回目の給付金を受け取った世帯の割合は推定で85%。給付金の対象は低所得世帯と中所得世帯です。
1回目の給付金については、どの年収レベルでも、消費に充てた傾向が強かったですが、所得が高めの人は貯蓄・投資に回しがちで、その傾向は2回目と3回目で特に強くなったことが調査結果より明らかになっています。
アメリカの小売売上高も4月がピーク
上記はアメリカの小売売上高です。こちらも、アメリカ個人消費の結果を反映し、4月がピークになっています。
消費が弱いのに、株価は好調
消費が弱いのに、株価は好調。これは、今のところ「米金融当局が、インフレ抑制などの金融政策の綱渡りに成功」しているから、とも言えます。
綱渡りは一時的に成功するでしょうが、長く続けは続くほど、その歪みが解き放たれたときの反動は大きくなります。
今すぐ、株式を手放す必要はないと思いますが、少しずつ、ボリュームを落とすとともに、個別株投資の場合は、景気回復中盤に強い銘柄に切り替えると同時に、さらに先を見越して、景気回復終盤に強い株へと入替を行っていくことが大事です。
いずれにせよ、今年3,4月よりも投資難易度は上がっていることを念頭に置いた株式投資が必要です。
現時点での投資戦略
上記でも記したように、今のところ「米金融当局が、インフレ抑制などの金融政策の綱渡りに成功」しており、過度に株式投資に不安になりすぎるとチャンスを失うと考えています。
一方で、今後、株式相場は何度も高値警戒感で不安が再燃すると考えます。故、VIX指数の楽観度が高まった段階で「買う」という戦略はワークするのではないか、さらに、VIX指数がコロナ後最安値圏にある今は、よい投資タイミングではないかと考えています。
がっつり儲ける投資というよりは、株価下落へのヘッジ的な投資ですが、投資タイミングを間違えず、また、上昇時にあまり欲張らずに利確すれば、「VIX指数投資はかなり手堅い投資」となり得ます。
今後、テイパリングの憶測で、S&P500は最高値圏で大きな下落にも見舞わエることでしょう。その時のヘッジの準備として、投資環境を作っておくとよいと思います。
私のVIX指数投資環境
私は、CFD投資シェア国内No.1のGMOクリック証券CFDでVIX指数(米国VI)を取引しています。
以下の記事では、VIX指数の取扱のある書受け会社を紹介しています。
また、私の株式指数投資の基本は、インデックス投資の積立投資(非課税制度を利用)ですが、CFDで株式指数+一部個別銘柄を買う投資を併用することで、上乗せリターンを狙っています。CFDはレバレッジ取引なので、リスク管理(ポジション量、損切り)は必須ですが、少ない資金で大きなチャンスが狙えます。
以下で、私がCFD投資を進める理由についても紹介しているので、合わせてご確認ください。
ツイッターでもつぶやきましたが、私は、FOMC前に一旦8割方のポジションを解消。その後、増やした現金で、只今、以下の銘柄(すべて「買いポジ」)を保有しています。
・米ダウ指数
・日経平均指数
・金
・テスラ
・アリババ
・AT&T
なお、ポジションの多くは指数投資。その他は少額投資です。なお、25日週は、ナスダックやS&P500に出遅れのダウも週後半に大きく上昇してくれたので、いい感じで含み益となっています。
来週は、ここに、少量ですが、VIXの買いポジを加えようかなと考えています。
最後に
今回は、S&P500とVIX指数のチャートを確認しました。また、現在の米国経済指標をもとに、今後米経済は減速の可能性があることを示したうえで、今始めたいVIX投資について紹介しました。
投資は自己責任ですが、本記事から、何らかの気づきを得られてもらえたら、嬉しいです。