電通から外資系戦略コンサルティング、さらに講師・教員・作家として華麗な活躍をされることで知られる著者の山口さん。MBAを武器にお仕事をされてきたと思いきや、経営学については全く独学=読書で学ばれたという。
ではどのように読書を仕事につなげていらしたのか?
その方法を紹介するのが、本書「読書を仕事につなげる技術」。読むべき本を「ビジネス書」と「教養書(リベラルアーツ)」とに大別。「読書は、その量ではなく、何を、どう読むか」、「どうアウトプットするか」としたうえで、効率的、かつ、戦略的に読書を仕事につなげる技術を教えてくれます。
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本当に読むべきビジネス書71冊を体系的に分類した「ビジネス書マンダラ」と、他の人と差別化になる教養を身につけるための「教養書」の読み方など、ビジネスマンには大変有益な読書法が学べる本書は、ビジネスマン必読の一冊です。
今回は、著書「読書を仕事につなげる技術」からの学びを紹介します。
目次
仕事につなげる読書「6つの大原則」
山口さんは、読書を仕事につなげるには以下の6つの大原則があるといいます。
①成果を出すには「2種類の読書が必要」
②本は「2割だけ」読めばいい
③読書は「株式投資」と考える
④「忘れる」ことを前提に読む
⑤5冊読むより「1冊を5回」読む
⑥読書の「アイドルタイム」を最小化せよ
以下で上記を解説します。
①成果を出すには「2種類の読書が必要」
ビジネスパーソンが継続的に高い知的生産を上げるために必要なのは、「ビジネス書」と「リベラルアーツ(教養書)」。
①ビジネス書名著をしっかり読む、ビジネスパーソンとしての基礎体力をつくるための読書
②リベラルアーツ=教養に関連する本を読む=ビジネスパーソンとしての個性を形成するための読書
①はレベルの高い集団になればなるほど、「知っていて当たり前」。つまり、差別化の源泉にはなりません。それ故、②も学び、差別化を図ることが非常に大事になります。
②本は「2割だけ」読めばいい&③読書は「株式投資」と考える
軽く、薄く全体を斜め読みする。段落の最初で「おっ」と思わなければ読み飛ばす読書を心がけることが大事です。
読書というのは本来的に消費行為ではなく投資行為。「せっかくだから全部読もう」はコストのムダ。読書というのは、自分の時間を投資して、それによって何らかの利益を回収するという投資行為に他なりません。読書という行為は、自分の時間といくばくかのお金を投資することで人生における豊かさを回収するという投資行為と考え、投入する時間と得られる豊かさのバランスを考えましょう。
④「忘れる」ことを前提に読む
インプットされた情報をいかに効率的に「ストック」し、自由自在に活用するには、「記憶に頼らない」ことが大事。特に教養書はすぐにその情報に出番があるとは限らないため、デジタル化し、保管することが大事です。
⑤5冊読むより「1冊を5回」読む
知的生産性の基礎体力を高める読書においては、深みのある本を何度も反芻しながら読むことで初めて可能になります。このようは本は、忘れないために「1冊を5回」読むことが大事です。山口さんはこのような読書を「T字型読書」と呼んでいます。
では、このような「読みがいのある本」を見つけるためにはどうすればいいのか? 答えはシンプルで「たくさんの本に浅く接する」の必要があります。
⑥読書の「アイドルタイム」を最小化せよ
本は 10 冊以上を同時進行で読みましょう。「今の気分」に合う本を絶え間なく読む。読書は途絶えると効率が悪くなります。
「ビジネス書」の読み方
山口さんは、本当に読むべき 71 冊を「ビジネス書マンダラ」としてまとめ、紹介しています。これらの本のほとんどは「古典」であり、原書を読むことを勧めます。
古典を原書で読め
簡易版の解説書をいくら読んでも経営のリテラシーは高まりません。 古典・原典で著者が展開している思考のプロセスを追体験することで「経営の考え方」「ビジネスを考えるツボ」を皮膚感覚で学び取っていくことにこそ意味があります。
人生戦略は20年後を見る
ビジネス書マンダラの中心部の基本書に当たるところから読み、外側に拡張し本を読む。20代の内に基本書を読めば、「自分の人生の戦略」を考えるにあたってとても有益な情報が得られます。
経営戦略論の基本やファイナンスを学べば、どういった産業が中長期的に衰退するのか、あるいは成長するのかについて、ある程度の嗅覚を持つことができるようになります。
ちなみに山口さんは電通をおやめになられ外資系コンサルに転職をされましたが、それも、疑問経営戦略論を学んだことで電通の収益性が今後大きく悪化するだろうと思ったことにあると本書で述べられています。
新刊ビジネス書は9割は無駄
古典原書を読むことを勧める一方、新刊ビジネス書は9割は読む必要はないと切り捨てます。山口さんはビジネス書のベストセラーは下記の通り、費用対効果が薄いと指摘します。
短期的視点から:読んでいる人がたくさんいるため、差別化の要因にならず、効用は小さい
長期的視点から:ほとんどの内容が数年で陳腐化するため、やはり効用は小さい
「教養書」の読み方
ビジネス書だけを読んでいても、知識に広がりはありません。様々な考察を得るためにも「教養書」は非常に大事です。「究極の合理性を突き詰めている人たち」である、外資系コンサルも実に多くの教養書を読みます。
年齢に応じて読む量を変える
「ビジネス書」と「教養書」の読書量は年齢に応じて積極的に変えるべきです。20 代の後半から 30 代の前半にかけてはビジネス書の比率がかなり高くなり、その後、教養書の比率が高まっていくというのが、年齢に応じたビジネス書と教養書の読書量の比率です。
仕事の「難問」には、教養書が効く
「仕事環境の変化」が突きつける難問に対して、ビジネス書で得られる「知識」はほとんど役に立たちません。難問は、むしろ教養書の読書を通じて得られる「人間の性」や「組織や社会の特質」についての示唆が大きなヒントになります。
何を読むか?教養書7つのカテゴリー
現代のビジネスパーソンがリベラルアーツを身に着けるために読むべきカテゴリーを、山口さんは以下の7つに分類します。
①哲学(近・現代思想)
②歴史(世界史・日本史)
③心理学(認知・社会・教育)
④医学・生理学・脳科学
⑤工学(含コンピューターサイエンス)
⑥生物学
⑦文化人類学
「自分をプロデュースする」つもりでテーマを決める
リベラルアーツに関連する書籍からどのような学びを抽出していくのかというテーマを決めるにあたって意識してみたいのが、「自分をプロデュースする」という視点です。他人と違うインプットが差別化につながります。
最後に
今回は、山口周さんの「読書を仕事につなげる技術」を紹介しました。今回まとめた内容は本書の前半部分にしかすぎません。本書後半でも、本とどう付き合うか、広い知見が得られます。もっと若いうちに出会いたかった!と思える良書です。
読書は人生をかけてするものなので、その時間を有意義なものにするためにも、できるだけ若いうちに読むことをおススメします。
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