【書評/要約】一生稼げる脳の作り方(長谷川嘉哉 著)(★4) 人生100年時代、"お金"の心配なく生きる「脳のメンテナンス法」

人生100年時代。長生きすれば、ボケる確立も高くなる―。

こんな長生きの時代に、死ぬまで幸せ&豊かに生きるために必要なことは「脳のメンテナンス法」を知り、十分若いうちから実践しているか

長生きリスクと言えば、「お金」の心配が先立ちますが、そもそも「健康」を失えば、治療にお金がかかる。さらに、何事もやる気がなくなり、脳を使わなくなるので、脳も衰退しやすくなります。これでは、お金の心配は増え、ますます、幸せが遠のくばかりです。

今回は、長谷川嘉哉さんの一生稼げる脳の作り方』に、いつまでも現役で働ける脳を維持するため必要なことを学びます。

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人生100年時代、健康の二極化に備えよ!

現代社会では「貧富の二極化」が叫ばれますが、今後、より深刻になるのが「健康の二極化」です。健康を損なえば、貧富の二極化の弱者に回る可能性も高くなります。

老いても現役は、いつまでも若い

年老いても「現役」の方はイキイキしています。脳を常に使う必要がある「現役」でいれば、「脳の質の低下」は抑制されます。

長く生きれば生きるほど、「元気な高齢者」と、「病気の高齢者」の二極化は進行します。歳をとって若いと言われるためには、若いうちからの備えが必要です。

脳の機能低下の最大の鍵は「意欲」

脳が老化する人としない人、認知症を発症する人としない人を分けているのは、 「意欲」 です。

「意欲」とは、「○○をしてみたい」「○○をよく知りたい」と自ら進んで関心を持つことです。

意欲が低下すると、
・脳への刺激が加わらなくなり、認知症の誘発につながる
・行動量が減ると、脳の血流量も低下する
・血流量の低下は、認知機能の低下につながる
という負の連鎖で、認知症が加速しやすくなります。

「やる気がない」が慢性化している人は、危機意識を持つ必要があります。

セミリタイアも注意

現在、FIREを目指す若者が増えています。

FIREは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字からつくられた言葉で、目的を「FI:経済的自立」と「RE:早期リタイア」に分割できますが、もし、ただ単に「RE:早期リタイア」を目指すだけなら注意が必要です。

認知症研究の結果、認知症を発症している人は、定年前から早くリタイアしたいと考えていた人が多かったことが明らかになっています。

現在の仕事をしていてはやりたいことが実現できないので「RE:早期リタイア」なら問題はありません。しかし、単に、「仕事をしたくないから」という理由で、早々にセミリタイアした場合は注意が必要です。

認知症は、「勤労意欲」がに大きくかかわっています。

「FI:経済的自立」と「RE:早期リタイア」の両方を実現していたとしても、「何かに打ち込む意欲」 「お金を稼ぐことに対する意欲」 「お金を自分で管理しようとする意欲」 などを持ち続けましょう。

自らの意思で「一生稼ぐ」を前提に人生をプランしよう

人生100年時代においては、「自らの意思で「一生稼ぐ」ことを念頭に人生プラン」を立てるのがベターな生き方です。

年金で遊んで暮らすという考え方はやめ、金額は少なくとも「いつまでも働く」と、気持ちをシフトさせることが大事です。

今の時代、3年後、5年後、何が起こるかわからない時代です。突然、自然災害、感染症、パンデミックといったことが自分の身に襲い掛かる時代です。こんな不測の時代に置いても、「自分の頭で考える」ためにも、働く気持ちを持ち、脳の機能を落とさないようにすることが大事です。

老後資金の目減りが防げれば、金銭的な余裕もでき、それが、気持ちの余裕にもつながります。

脳の衰えを科学する

【書評/要約】一生稼げる脳の作り方(長谷川嘉哉 著)

ここからは脳科学的に「脳を衰えさせないための知識」を見ていきましょう。

大人になると脳細胞は「1日10万個」死滅する

20歳を過ぎると脳細胞は「1日10万個」死滅と言われています。一方で、脳とは年齢とともに単純に退化していくものではなく、死滅と誕生を繰り返し、常に変化していると考えられています。

そのため、高齢者の中には、
・脳が萎縮している、つまり、脳の神経細胞が減っているにもかかわらず、脳のパフォーマンスを最大化している人
・脳の萎縮がそれほど深刻ではないのに認知症が進んでいる人
の両方が存在します。

脳の神経ネットワークを維持するには

現在の研究で、「脳の神経細胞の減少」=「認知症」なのではなく、むしろ、「脳の神経細胞同士を結ぶネットワークが退化すること」によって、脳のパフォーマンスが低下することがわかっています。

脳の神経ネットワークを維持する(退化を防ぐ)最良の方法は、先にも触れたように、「仕事で脳を活性化させる」ことです。

「何も楽しみがない毎日」「変化のない退屈な毎日」を送っていると、脳は新しい記憶を保存することをやめてしまいます。

そうならないために、ストレスを感じない程度に「脳を使い続ける」=「脳に刺激を与える」ことが大事です。

定年退職前の 10年間の働き方が大事

著者曰く、脳の老化にとって、極めて大事な時期は「定年退職後の10年」。定年後の働き方を考えることです。

ここで大事なのは、「ポストや地位や名誉に固執しない」ことです。

再雇用などで働くことを考える人は、多くの場合、今まで持っていた実権を失うことに強いストレスを感じます。

これでは、ストレスが脳にダメージを与えることになり、意味がありません。ここでも「変化を受け入れて、新しい環境を楽しむ『意欲』を持つ」よう、考え方をシフトさせる必要があります。

持ち運びできるスキルを鍛える

今の時代、一つの会社にしがみつこうとする考えは危険です。

若いうちから、再就職・再雇用を見据え、「専門性」と「ポータブルスキル」を磨いていくことが大事です。そうすれば、定年などを迎えても、個人事業主として「業務委託契約」を視野に入れて仕事を継続することも可能になります。

その他、脳を衰えさせないために大事なこと

【書評/要約】一生稼げる脳の作り方(長谷川嘉哉 著):脳を衰えさせないために大事なこと

いつまでも健康を維持し、意欲を持ち続けるためには、コツコツとした習慣が非常に大事です。

・「何を着るか」で脳を刺激する
・体を動かす
・「糖質」の摂りすぎに注意し、肉(タンパク質)を取る
・歯をしっかりとケアする

健康が失われれば、確実に「意欲は低下」します。小さな習慣の積み上げは、後で大きく効いてきます。

中でも最も脳に効果があるのは「運動」です。以下の本では、これでもか!と言うぐらい、運動が脳に効く理由が解説されています。読んでおいて、損なしです。