自分らしい生き方、或いは、老後の資金確保の方法として、副業や起業が推奨されて久しい。しかし、具体的にどうしたらいいのか?という人は圧倒的大多数であるのは今現在でも変わりません。
さて、今回紹介する「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」が提案するのは、副業・企業に代わる方法として小さな会社のM&Aを推奨する珍しい一冊。
副業さえどうしたらいいかわからないのに、サラリーマンが会社買収&経営に乗り出すことなどできるの?できるとすれば、どんな手法?って思いますよね。
しかし、読んでみると読めばなるほどと思える点、多数。本書の考えをもって、仕事に臨めば、40,50代には「企業買収」も夢ではなくなるかもしれません。日本のサラリーマンの生き方の可能性が広がります。
今回は、堀江貴文さんも推薦する1冊、人生100年時代を個人が生き抜くための個人M&A入門「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の要点を紹介します。
目次
著者は三戸さんってどんな人?中小企業の事業継承・再生のプロ
著者の三戸さんは、中小企業の事業継承や事業再生を引き受ける、投資ファンド会社のCEO。
経営のプロでないサラリーマンにも企業買収のチャンスが十分あると説く背景は、中小企業が直面している「大廃業問題」。この大廃業時代に中小企業100万社が廃業すると言われ、黒字倒産を余儀なくされている会社が多数存在しています。
これらの企業の中には、単に、今どきのマネジメント手法を導入するだけでも利益率が大きく伸びる企業もたくさんあります。それらが、継承されずに消えてくのは、日本にとって良いことではありません。
「小さな会社をM&A」を提案する理由
三戸さんが、「小さな会社をM&A」を提案する理由は大きく以下の2つ。
①現在は大廃業時代。多くの企業が黒字のまま倒産している
②人生100年時代。これまで以上に退職後の働き方、老後資金の確保が重要となる
上記2つを解消する方法として、業務効率の悪い小さな会社をM&Aすることにより、サラリーマンがオーナーとなって一般的な業務管理手法で会社を改善、企業価値を上げることを提案しています。
ゼロイチ起業はリスクが高い
第二の人生に、自ら起業をする人もいます。しかし、多くの企業再生を支援してきた著者は、ゼロから事業を立ち上げる「ゼロイチ起業」は薦めません。
理由は、「ゼロイチ起業」で成功するのは非常に難しいことだから。
そもそも、サラリーマンはビジネスのゼロを知りません。事業が軌道に乗り安定するまでにはいくつもの高い山があり、起業すれば設立の瞬間から出血は始まります。生き残るのは並大抵のことではありません。
孫正義さんでさえ、起業は得意でありません。だから、企業買収を行っているのです。
脱サラで、パン屋さん、ラーメン屋さん、カフェ経営などを目指す人は多いですが、これらは非常にリスクの高い起業です。始まった次の日から大きな資金が流出する厳しい現実があります。千三つという言葉通り、1000あったら3つぐらいしか生き残れないという現実を直視する必要があるのです。
起業より、企業買収M&Aの方が成功確率は高い
企業というものは創業から5年を過ぎると各年の生存率が90%を超えます。10年継続していたということは、数々の問題を乗り越えながらリスク耐性を培い、企業に潜むありとあらゆる恐ろしいリスクをほとんどクリアし、安定志向の状態に達したと考えることができます。
当然、このような会社を買うほうが、ゼロから起業に比べて圧倒的に楽なのです。
経営経験のないサラリーマンが会社経営をできるのか?
サラリーマンが行うM&Aのポイントは、小さな会社を買うことです。
小さな企業の多くは、最新の経営の仕方を知りません。そのため、小さな企業のマネジメントには、以下のような、さまざまな非効率が存在しています。
・製品ごとにに営業利益率がわからない
・在庫の洗い出しができていない
・不良在庫が放置されたまま
・不採算部門を放置したまま
・帳簿がシステム化されていない
・自らの産業の動向には詳しいが、クロスセルできるような他の産業の動向には疎い
・部下に仕事を教えない 等
もし、システム管理された大企業で働き、効率化されたマネジメントをOJTで学んでいるなら、利用経験のある管理システムを導入するだけで業務効率化が図れ、たちまち収益向上が図れる可能性が十分あるのです。
本書のまとめ
本書を今一度まとめると、商いが数年~数十年にわたり続いている企業のM&Aなら、ゼロから会社を作るような大きなリスクをとることなく、会社オーナーとなり第二の人生も歩めるということです。
会社の効率化を図り企業の資産価値を上げることができれば、再び、他の人に事業を譲るという資産家へのチャンスもでてきます。
こんな視点を持って、自分の今後の働き方・生き方を考えることは非常に価値があると言えるのではないでしょうか?