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アイデアはロジックで導き出せる!
「競合に打ち勝つアイデアは、論理的思考から生まれる」と語る著者。
通常、「発想」は論理的思考力ではなく、アイデア、ひらめきが必要と思われていますが、著者である津田氏は<論理思考力こそが発想力の源泉であり、論理思考力とは言葉の力だった>と強調します。
では、アイデアは論理的思考から生まれるとはどのようなことでしょうか?
著者は、我々は「よく考えた気になっている」と言います。著者曰く、公式やフレームワークに当てはめても「考えた」と言えません。枠組みに当てはめるために必要なのは「学び」です。つまり、以下が成り立つのです。
・学ぶ =既存のフレームワークに当てはめて答えを導く
・考える=自分でつくったフレームワークから答えを導く
さて、ここで、多くの人は、いきなりアイデアを思いつくことはできません。「天才」は直感によって素晴らしいアイデアを発想しますが凡人には難しいのが現実です。
こんな時に役立つのが、「筋道=ロジック」です。筋道を立てて、○○だから△△なるから、◇◇がいいのでは?と論理的に考えるのです。
まとめると、以下のような発想法になります。
・普通の人⇒筋道:A→B→C→Dというように段階を経る線的な発想
・天才 ⇒直感:Dというようにいきなり飛躍する点的な発想
このロジックで考える作業が「論理の筋道×直感の飛躍」を生み出します。
イチローが「言葉×筋道」なら、長嶋は「イメージ×直感」
イチローは自身を天才ではないといいます。目の前のイメージを言葉に置き換えながら、極めて論理的に野球というスポーツをやっているプレーヤーです。
一方、対照的なのは長嶋茂雄さん。感覚&イメージで考える人で「ボールがビューンときたら、バーンと打てばいい」と語ったエピソードはよく知られています。
フレームワーク思考の本質は「意識的に狭く考えること」
発想の妨げになるのが「バカの壁」です。この壁を取り壊すには、自身で「バカの壁を意識化」することが必要です。ではどうすればいいのでしょうか?
答えは、「自分がいま、何について考えているか」を明確にしていくことです。
発想に「バカの壁」が入っているということは、「自分が考えている範囲がすべてだ」と思い込んでいる状態に他なりません。「自分が考えている範囲をはっきりさせる」ということは、その「外」に別の範囲が存在することを認めることです。「これがすべてだとは思っていないが、今はさしあたってこの部分にフォーカスしている」と自覚しましょう。
3つの要素で発想の質は決まる
発想の質≒発想の広さ=(1)情報量×(2)加工率×(3)発想率
(1)アイデアの素材がどれくらい頭の中にあるか
(2)素材をどれくらい潜在的アイデアに加工できているか
(3)潜在的なアイデアをどれくらい顕在化できているか
という3つの変数が絡み合って決まります。
発想を広げたいとき、最も手っ取り早いのは、(3)を高めることです。一般的な意味の「思い出す」は、頭の中の情報(知識)です。一方、「発想する」とは、頭の中に潜在的に眠っているアイデアを顕在化させることに他なりません。
競合にアイデアで負ける場合は、「まいった」と「しまった」という2つの負けがありますが、90%は「しまった」による負け。この「発想のうっかり忘れ」を減らすためにも、フレームワーク、特に「MECE」が役に立ちます。
「書いている」ときだけ「考えていた」といえる
「頭の中にアイデアがある」ということと、「そのアイデアを引き出す」ということは、全くの別物なです。アイデアを引き出すとは、アイデアを書き出すことに他なりません。
しかし、我々は他人のアイデアを見た瞬間に、あたかも自分が以前から同じことを発想していたように勘違いしてしまいます。
ファーストクラスに乗るような一流のビジネスマンは、ことごとくメモ魔と言われますが、とにかく優れた思考力がある人は膨大に書いています。「書き出す」という行為をおろそかにしてはいけません。
発想の材料を増やす
発想の質≒発想の広さ=(1)情報量×(2)加工率×(3)発想率
において、(3)が最も手っ取り早いという話をしましたが、(1)の知識を増やすことも大事です。
ここで、知識は「総量」よりも「多様性」が肝心です。以下の2点を気をつけましょう。
1.頭の中の情報は「絶対量」を増やすよりも、「幅(多様性)」を広げるべき
2.頭の中の情報を「知識」で終わらせず、「知恵」へと広げるべき
本書内には、どのようにMECEを論理的に使っていくか、もっと具体的に書かれています。ロジカルに発想力を高めたいし人は、読む価値ありです。