値動きの激しい仮想通貨市場。
特にここのところ、ビットコインは驚くほどの速さで上昇。この背景は、資産運用会社プロシェアーズのビットコインの先物をベースとした上場投資信託「ビットコイン・ストラテジーETF(BITO)」が、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のARCAで10月18日に取引が開始されるとの見通しです(管理費は0.95%)。
bloomberg記事によると、土壇場で米証券取引委員会(SEC)が方向転換しない限り、ETF業界の10年近くにわたる取り組みが実を結ぶことになると報じられています。
このような前向きなニュースはありますが、状況下、これからビットコインを保有したいと思っても、怖くて購入ができないのが現状ではないでしょうか。
仮想通貨に限ったことではありませんが、株価/価格が高騰し、イケイケ・ドンドンで相場が盛り上がっている時に、相場の行き過ぎを冷静に判断できたら、購入に踏み切れたり、大暴落に飲み込まれることを避けられます。
そんな判断の一つの指標として役に立つのが対数チャート(ログスケールチャート)です。
今回は対数チャートの使い方について解説。現在のビットコインを対数チャートで確認。そのうえで、直近、および年末にかけて今後の仮想通貨投資に関して、私の考えもまとめます(前向き、後ろ向き両方あり)。
目次
チャート分析に潜む「錯覚」という罠
①ミュラー・リヤー錯視
②フィック錯視
人は視覚の錯覚に極めて弱い。
単純な「線」でも、右上の①ミュラー・リヤー錯視では、2本の等しい長さの線の両端に羽根を付けると、外向きの羽根がついた水平線の方が長く見えてしまうし、②フック錯覚では、どの縦線・横線も同じ長さなのに、縦線の方が長く見えてしまう。
このような、錯視は日常生活でも頻繁に起こっていて、これは投資で大事なチャート分析でも起こっています。このような錯覚は、株やFXよりも価格変動が大きい仮想通貨で起こりがちです。
チャートで起こりがちな錯覚
通常、投資対象の価格推移の表示に使われるチャートは「いくら上下したか」を見るチャートです。
見慣れたチャートで状況を理解しやすいのですが、価格が一方的に上昇・下落した場合、直近の値幅変動が大きくなり、必要以上に相場が動いているような錯覚に陥ってしまうという欠点があります。
例えば、❶1万円から1万円上昇して2万円になったときと、❷10万円から10万円上昇上昇して20万円になったときを見てみましょう。
この時、上昇率はどちらも100%。しかし、値幅のインパクトは大きく、「1万円儲けた」と「10万円儲けた」では、随分と私たちが受ける印象は異なります。
上昇率で価格推移を見る「対数チャート(ログチャート)」
さて、上述のような「値幅(上昇幅、下落幅)」の錯覚を回避する手段として有効なのが、「何円上下したか」ではなく「何%上下したか」を基準に目盛りとしてグラフ表示する「対数チャート」です。
対数チャートは、縦の目盛に対数目盛(log scale)を用いたチャートで、ログチャートとも呼ばれます。※方対数グラフとも言います。
ログチャートは、特に、価格が右肩上がりに上昇していくような長期株式チャートで有効です。対数チャートを使うと、価格(Y軸)のパーセンテージ変動を値幅インパクトに騙されずに分析することができるので、、相場の行き過ぎを冷静に確認することができます。
百聞は一見にしかず。以下では、ビットコインチャートで確認してみましょう。
ビットコインチャート、通常チャートVS対数チャート比較
ビットコインの週足チャートで、通常チャートと対数チャートを比較してみます。
なお、チャートには以下も一緒に表示をしています。
・200日線
・一目均衡表
・MACD
これらを使ったチャート分析法を今一度学びたい方は以下の記事もご参考に
ビットコイン(BTCUSD):通常チャート
ビットコイン(BTCUSD):対数チャート
2つのチャート比較
通常チャートと対数チャート、随分、見た目の印象が異なります。
通常チャートの場合、直近の値上がりが急すぎて、ここから新規投資、追加投資をするのはかなり勇気がいります。普通の人なら、ここからの投資は無理…と考えてしまうのではないでしょうか。チャート半ばほどにある山は「2017年仮想通貨バブル」ですが、今の相場を見ると、過去のバブルがかすんで見えますね。
一方対数チャートを見ると、2021年4月の直近高値をまさにブレークしようとしているところで、相場に過熱感は感じられません。直近高値を抜ければもう一段の上昇が間違いなさそうに見えます。また、「2017年仮想通貨バブル」と比較しても、当時と同じような急騰は起こっていないことが分かります。
確かに、最高値にワンタッチした後は、一旦、利益確定組に押される可能性はありますが、私はまだ買えると思っています(説明後述)。
価格帯が大きく変わるような投資対象の場合は、対数チャートで相場の行き過ぎ・過熱感を確かめることは極めて大事です。
「値幅」以外に、「価格水準」にも騙される
「値幅」だけではなく、「価格の水準」にも私たちは騙されます。例えば、ビットコイン投資の場合、1BTC=200万円の時と、1BTC=600万円の時、どちらも上昇相場で同じ金額を投資しようとする場合、心理的に後者の方が投資に慎重になりそうな感じがしませんか?
こうした心理が邪魔をして、投資しようかどうしようか迷っているうちに、価格は上昇。そして、最高値圏1BTC=700万円に到達して、もう投資できない…と諦めモードに入ってしまいます。
これでは、いつまでたっても、ビットコインの大きな上昇に乗ることができません。こういう人たちに限って、バブルの最後の最後にどうしても買いたくなって買ってしまいバブルの餌食になってしまいます。ビットコインは一度下落が始まると下落幅が大きいので、資金がない・心理的ショックが大きいのダブルパンチで市場に戻ってこれなくなります。
そうならないためにも、対数チャート表示で、値幅のインパクトに騙されずにチャートを見るようにしましょう。
今後のビットコイン予測 直近では警戒
私は、ビットコインは、年末にかけてまだまだ上がると考えています。今後の価格予測や投資戦略については以下にまとめているのでご参考に。
但し、直近では最高値更新で一旦の利確売りによる下落警戒、そして、冒頭でも述べた通り、米国初ビットコイン先物ETFの取引開始で、いわゆる、「セル・ザ・ファクト((Buy the rumor, sell the fact)」、「噂で買って事実で売る」が発生しないかが危惧されます。
セル・ザ・ファクトについては、2017年の仮想通貨バブル時のビットコインの最高値が「CMEのビットコイン先物が上場した日」であったことからも要警戒です。
今現在は、<実際に承認された場合、ビットコイン投資に慎重だった個人投資家が投資しやすくなるとみて買われていると思われますが、実際にビットコインETFが取引開始となり、機関投資家など新しい市場参加者が参入してきた場合、どのような相場となるか(売り浴びせが起きないか)には注意したい。
ただし、このタイミングで一旦下落となるならば、その下落の底値は、まだビットコインを仕込み終えていない人にとって、「押し目買いのチャンス」になると考えます。
本当の意味での高値更新はドルベースのビットコイン
つづき
今後の #ビットコイン については 10/18ごろのSell the fact(事実売り)よりも、ドルベースでの最高値突破の方が大事だと思っている#BTC は円ベースでは一時最高値を突破したけど、取引量が多いドルベースはまだ
はたして結果はいかに
左 #BTCJPY
右 #BTCUSD pic.twitter.com/33uUKaWQom— chami (@poststand) October 17, 2021
そもそも #ビットコイン (円ベース)が最多値を突破してるのは #円安 が一気に進行しているから#ドル円 は 114円台に突入
ただし、2018年10月の最高値にタッチし、一旦下落中
年初から 「12円」円安が進行更に円安になるパワーがあるのか?
※今は、悪い円安っぽいので、突破でもあまり喜べず pic.twitter.com/nUx8DYwpGp— chami (@poststand) October 17, 2021
上記2つのツイートの要点を、もう一度まとめると次のようになります。
円ベースのビットコインは史上最高値を更新しましたが、ドルベースのビットコインはまだ史上最高値を更新していません。
円ベースのビットコインが一足先に最高値を更新した理由は、「114円以上まで進んだ円安」のためです。
取引量を考えるなら、真の意味での「ビットコイン史上最高値更新」はドルベースのビットコインが最高値を更新した時点。この時が本当に最高値を喜べるタイミングだと思います。
下図に、ドルベースのビットコインチャート(BTCUSD)を掲載してきます。
最後に
今回は、価格変動が激しいビットコインなど、仮想通貨の値動きを判断するときに重要な「対数チャート」によるチャート分析法を紹介しました。
暴騰・暴落を繰り返すビットコインをはじめとする仮想通貨は、冷静になって相場状況を確認するために、ときどき対数チャートで相場の行き過ぎを確認してみることをお勧めします。
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