8月6日夜、7月の米国雇用統計が発表されました。
結果は、非農業部門雇用者数はほぼ1年ぶりの大幅増を記録。失業率も予想以上に大幅低下しました。
非農業部門の雇用者数:94.3万人増(予想87万人増) ※6月 93.8万人増(予想:70万人増)
失業率 :5.4%(予想5.7%) ※6月 5.9%(予想:5.7%)
平均賃金 :0.4%(予想0.3%) ※6月 3.7%(予想:3.6%)
この結果を受けて、米国株式市場は、ダウ、S&P500はは史上最高値を更新。一方で、ナスダックは金利上昇が上昇したこともあり、下落しました。
ワクチン接種が進み経済が大きく改善を見せた初期(4月ぐらいまで)は、強い雇用統計結果は純粋に株価にプラスと喜べましたが、景気の改善は金利上昇の時期が早まること=株式市場の(一時的な)下押し圧力となると考えられます。
今回は、雇用統計を受けた市場の反応を私なりに考察・整理。その上で、私の現在の株式投資に対するスタンスをまとめておきます。
目次
失業率と雇用数
上図は、非農業部門の雇用者数(青)と失業率(赤)の推移です。
これを見ると、景気の動きを反映しやすい非農業部門の就業者数は、2カ月連続で90万人以上増え、ワクチン接種が進んだことで大幅に雇用が伸びたことがわかります。
コロナは、働き方(在宅ワーク、雇われない生き方)を大きく変え、この流れは不可逆であり、雇用数がもとの水準まで戻らないだろうことを考えると、随分雇用が戻ったと言えるのではないでしょうか。
雇用統計の株価の動き:S&P500
上図はS&P500の日足チャートです。S&P500は雇用統計の結果を受けて終値ベースで上昇。強い景気の改善が株価にプラスとなって反応したことになります。
現在、史上最高値を更新し続けているS&P500ですが、7月末、米国株式の暴落の予兆サインと言われるヒンディングオーメンが点灯し、下落が危ぶまれる場面もありました。しかし、数日後にサインは消灯し、現在に至っています。
雇用統計で大きく反応した長期金利(米国10年利回り)
雇用統計を受けて大きく反応したのは、安全資産である米国債です。雇用統計で予想よりも景気が良いことが確認された結果、米国債は売られ、金利が上昇しました。
株式市場と債券市場には逆相関の関係があり、株式市場が上昇しているときはリスク先行で株式が買われる一方、安全資産とされる国債の人気は低下=金利が上昇します。
上図は米国債10年利回りですが、チャートポイントである200日移動平均線と一目均衡表の基準線が交わる1.3まで一気に上昇しています。
長期金利で下落したハイテク株 セオリー的な動き
米国債10年利回り上昇でマイナスの影響を受けたのは、IT。ハイテク株が多いナスダックで、14835.07(-60.05 -0.40%)で引けました。
ハイテク株に代表されるグロース株は、株価を一株当たり利益で割ったPER(株価収益率)が高く、その逆数である利回りは低くなります。そのため、。金利上昇局面では、PERが高い株は金利と比較した益回りの低さから、相対的な投資魅力が低下し、売られやすくなります。
ナスダックは上図の通り、MACDが逆行現象を起こしている点も気になります。
一方で、金利上昇に強い金融株(上記騰落率マップで左下の緑色が多いエリアが金融セクター)が上昇しています。結果、ダウは35208.61(+144.36 +0.41%)で最高値を更新しました。
長期金利で下落したドル株 セオリー的な動き
米国債10年利回り上昇でドル円も大きく反応しました。素直に金利上昇が好感されドル円は上昇しています。また、ドル円が上昇したことで、日経平均株価CFDも上昇しましたが、上昇幅はあまり大きくありませんでした。
今後の株式市場をどう読むか?
さて、大事なのは、今後、世界経済を引っ張る米国株式がどう動くかです。
今回の強い雇用統計の結果を受けて、FRBによる政策金利の引き上げはやや早まった可能性があると言えるのではないでしょうか。
現在、政策金利の引き上げは2022年末ごろを見込む意見が過半を占めていますが、強い景気回復を示す指標が続けば、これが、1ヵ月、2ヵ月と前倒しされることになります。
ただし、米国でもデルタ株が広がり始めています。このまま感染拡大が続くようなら注意が必要です。
私の投資スタンス
経済指標や要人発言の度、市場は「政策金利の値上げ時期はいつか?」を予測し、そのたびに株価は上下動を繰り返しています。現在株価は最高値圏にあるため、どうしても、利上げ後に発生する株価調整を意識しすぎる人ほど、必要以上に不安になりがちです。
しかし、政策金利の値上げ時期まではまだ1年以上あります。値下がりしたからと過度に心配して、安易に保有しているポジションを狼狽売りしてしまうと、みすみす利益を取り逃がすことにつながります。また、様子を見てから買い直せばいいという考えもありますが、多くの人は、上値を買い挑む勇気はなく、押し目を待っているうちにスルスルと株価が上昇してしまうものです。
私は長期積立投資が基本ですが、この積立原資を獲得&相場観を養うために、レバレッジ取引であるCFDで数週間~数ヵ月の短期売買を行っています。過度に慎重になりすぎないように注意したいと思います。
最後に
今回は、雇用統計後の株式市場の動きを確認し、今後の株式市場について、私の考えをまとめました。
投資は「トレンド」が大事です。そして「トレンドに乗り続けることが最もストレスなく投資を継続する秘訣」です。
少しずつ難易度が上がってきている米国株式市場ですが、慎重になりすぎることなく、投資を継続したいと思います。
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