つみたてNISA(積立NISA)は、年間40万円までの投資元本から得られた運用益が非課税となる優遇税制積立制度。非課税となる期間が20年間、しかも100円からの少額投資が可能なため、初心者でも投資デビューしやすく設計されています。
20年以内に得た運用益に税金がかからないのは非常に大きなメリットですが、デメリットもあります。
つみたてNISA(積立NISA)デビューをする前にリスクを押さえましょう。
目次
【まとめ】つみたてNISAのデメリット
まず最初に結論です。つみたてNISAには以下のデメリットがあります。
①以外は、一般NISAにも当てはまるデメリットです。
①投資できる金融商品が限定されている
②元本割れしても損益通算できない
③非課税期間がある
④使わなかった非課税額は持ち越しできない
⑤買い替え不可・分配金は新規買付扱い
⑥つみたてNISA口座の資産移し替えはできない
以下で、一つづつ、確認していきましょう。
①投資できる金融商品が限定されている
つみたてNISAでは、運用できる金融商品が金融庁が厳選した投資信託やETFからしか選べません。
現在販売中の投資信託は約6000本ありますが、つみたてNISAで投資できるのは、以下の160本(2019年5月7日時点)に限定されています。
・インデックス投資信託 :142本
・アクティブ運用投資信託:18本
※金融庁:つみたてNISA対象商品一覧
でも、考えてみてください。6000本も商品があっても、投資すべき1本を選ぶことは困難ですよね?
また、つみたてNISA用に選ばれた商品は、金融庁が国民の長期資産形成を促すために厳しい基準をクリアした金融商品であるということ。コストも安く、投資メリットが大きいもののみがセレクトされているので、むしろメリットと言えます。
②元本割れしても損益通算できない
通常、複数の証券口座で投資をする場合、その年の1~12月の利益と損失を合算して、税負担を軽減する「損益通算」ができます。
例えば、A社一般口座で年間利益30万円、B社一般口座で年間損失20万円だった場合、年間利益=30ー20=10万円に対して税金がかかります。
しかし、つみたてNISAは損益通算の対象になりません。
一般口座で年間利益30万円、つみたてNISA口座で年間損失20万円だった場合、30万円がそのまま年間利益となり、それに対して税金がかかってしまいます。非課税期間が長いので利益が出ている期間にうまく売却すれば問題になりませんが、損失がでるとデメリットが生じます。
③非課税期間がある
つみたてNISAの非課税期間は20年です。
非課税期間20年の終了をもって売却する際に損失が出ている場合、損失が確定。非課税という制度のメリットを享受することはできません。
売却する以外の方法として、非課税期間が終了する際に売却をせずに、つみたてNISAから一般課税口座に移管することはできますが、その場合、課税口座が非課税終了時の価格で移管されます。
つまり、つみたてNISA購入時の価格が30万円、移管時の価格が20万円だった場合、一般課税口座の取得価格は20万円となってしまうのです。
仮に、移管後、30万円で売却したら、実際の購入額は30万円利益なしにも関わらず、売却額30万円ー移管価格20万円=利益10万円に対する税金2万315円を払わなければなりません。
この点は、非課税期間が5年と短い一般NISAに比べ、非課税期間が20年あるつみたてNISAの方が、このリスクは軽減できます。ただし、大きな景気のサイクルを意識して売却時期を判断することが望まれます。
関連記事非課税期間を迎えるNISA投資家はどうすべきか?本気で考えるNISA出口戦略
④使わなかった非課税額は繰り越しできない
つみたてNISAには年間40万円の非課税枠がありますが、枠いっぱい使いきれなくても翌年に繰り越すことはできません。
⑤買い替え不可・分配金は新規買付扱い
毎年の非課税枠は一度限りの使い切り。利益が出たので売却すると、その後、非課税枠は復活しません。これを「スイッチング不可」と言います。
※iDeCoはスイッチングが可能
また、金融商品によって分配金がありますが、その年の新規購入額と分配金額の合計額が40万円までとなります。よって、年間の投資額を33,333円/月×12ヵ月=399,996円と考えていた場合、4円以上の配当金がある場合は、12月の投資額は40万円を超えた分だけ減らす必要があります。
⑥つみたてNISA口座の資産移し替えはできない
つみたてNISAの口座は他の金融機関はもちろんのこと、つみたてNISA-一般NISA間でも移し替えはできません。
但し、過去のつみたてNISA積立額は従来の金融機関に残しつつ、新規口座で新規買付を行うことはできます。途中で移管をしなくてもよいように、つみたてNISA開設時に金融機関を十分吟味して口座開設をすることが大事です。
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