先日、SBIは、国内初となる個人投資家向け暗号資産ファンドの取り扱いを始めると発表しました。
SBIホールディングス リリース記事
暗号資産(仮想通貨)の一般投資家としては、ちょっと気になる金融商品です。現在発表されている内容をもとに、利用メリットがありそうか、確認してみました。
目次
SBI「暗号資産ファンド」の商品内容
国内初となる一般向け仮想通貨ファンドは、ビットコイン、XRP、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、チェーンリンク、ポルカドットに投資を行うファンドです。暗号資産あたりの組み入れ上限比率20%とし、時価総額比率に応じたポートフォリオを組みます。
運用方針
運用方針は特徴的です。運用期間は1年。投資/売却タイミングのリスクを軽減するために、ファンド設定時および償還時に時間分散(3か月ずつ)を図るとしています。
募集内容
募集内容は以下のようになっています(ポイントとなるのみ抜粋)
・ファンドは匿名組合形式で設定
・購入価額1口当たり100万円で、購入単位は5口以上1口単位⇒最低500万円以上
・最大保有者数:499名
・購入時手数料:3.3%(税込)
・運用管理費用:営業者 年0.33%、募集取扱受託会社 年0.33% ⇒合計 年0.66%(税込)
・契約期間:2022年2月1日(火)~2023年1月31日(火)までの1年間
・途中解約不可
富裕層を相手にした商品にガッカリ
上記商品内容からわかるように、最低500万円で募集定員も極めて少ない。つまり、完全富裕層向け商品ということです…
リリースを見て、いわゆる投資信託のような商品、具体的には以下のような商品を期待していました。
❶いつでも自由に売買可能
❷1口が小口で、誰でも自由に利用できる
❸株式・投資信託動揺、税制分離課税20.315%が適用
❹(暗号資産なので、手数料は高くなるのはしょうがないでしょうか)
低コスト化の努力がある
しかし、発表された商品は、全く、期待にそぐわない内容でした。
❶~❸については、完全のNG、❹の低コスト化には努力をされていますが、それは、顧客を大口に限っているからです。
匿名組合形式の設定ということは、ソーシャルレンディングやクラウドファンディングへの出資などと同じ契約形態です。税制も「雑所得」で、仮想通貨取引所で仮想通貨を買うのと変わりません。
運用期間が固定で途中解約もできないとなれば、国内仮想通貨取引所の取引所の高い手数料(スプレッドが広い)を受け入れても、仮想通貨取引所で売買する方がよいといえるのではないでしょか。
現在の日本の金融制度では、暗号資産を組み入れた投資信託は法律で禁じられていて作れないため、こうならざるをえなかったというところでしょうか…
申告分離課税で取引できる暗号資産商品はないのか
では、申告分離課税で取引できる暗号資産商品はないのか?
実は、FXと同様、申告分離課税が適用されるカバーワラント「ビットコインレバレッジトラッカー」とい商品があります。
ビットコインレバレッジトラッカーとは
私は、2021年、この商品がSBI証券で発売された当初、カバーワラント「ビットコインレバレッジトラッカー」を売買したことがあります。
これは、シカゴCMEに上場しているビットコイン先物を原資産とするカバードワラントと呼ばれる商品です。このカバーワラントは金商法上有価証券に当たるため、原資産が暗号資産であっても、株式のカバーワラント同様に税制分離課税(20.315%)で取引することができます。
利用に関する「私の結論」
私は、この商品の商品特性を知ることを目的に、数度、少額投資を行いました。そして、幸運ながら少額ながらプラスで取引を終えることができました。
ただ、短期売買派ではない私が本商品で利益で終えられた理由は、ビットコインが大きな上昇トレンド期にあったからです。
確かに税率は魅力的です。しかし、❶期日付❷手数料も非常に高い商品なので、上でも下でもいいので一定方向に強いトレンドがあるときでないと本商品で期待した利益を出すのは難しいというのが、私のこの商品に対する結論です。
このような結論を出した理由に至った詳細は以下の記事にまとめているので興味のある方はご参考に。
現在はカイカ証券で取引可能
なお、SBI証券でのビットコインレバレッジトラッカーを含むeワラントの商品の提供は終了しております。
現在、eワラントは、カイカ証券(2021年11月1日、eワラント証券より社名変更)にて取扱いがされております。
最後に
今回は、SBIの個人投資家向け 暗号資産ファンドに利用メリットはあるか?を考えてみました。
利用メリットよりも先に、私には売ってもくれないでしょうが、誰でも買える間口の広い商品だったとしても、私は利用しないというのが結論です。
暗号資産についてもFXと同じような道をたどって税瀬分離課税20.315%となってほしいところですが、現岸田政権は、「金融所得課税は選択肢の一つだ」とも発言しており、税率を下げる方向には向かいにくいという空気を感じます。本当に金融所得課税を引き上げると、投資意欲がそがれ株価が下落するので、簡単に実現できることではないと思いますが、動向には注意が必要ですね。
いやはや、投資も楽ではありません…