コロナで変わった世界。コロナの脅威は私たちの価値観や行動を大きく変えました。
しかし、何もかもが一度に変わったわけではありません。それまで水面下で始まっていた変化が顕在化した面も大きい。また、わくわくするような変化、私たちを楽しませ、幸福度を上げるような兆しも生まれています。
リモートワーク然り、ニッチな趣味でも上手にマネタイズすれば、いわゆるサラリーマンや起業などせずとも「趣味で食っていける」環境が整ったのも大きいでしょう。また、人付き合いも様変わり。気乗りしない飲み会には参加しなくても済むようになりました。
ただ、著者の成毛さんの日本に対する見方は厳しい。理由は、日本はコロナ以上に「大きなリスク」を抱えているからです。そのリスクは、他の国にもあるけど、日本のリスクが突出しています。
今回は、本書「アフターコロナの生存戦略」の中から、日本が抱えるリスクに限定し、要点をまとめます。
目次
日本にとってコロナよりも大きな「天災リスク」
私たちは、今、日本を襲う危機で「コロナ以上に怖いものはない」と思っています。しかし、今、日本にとって、コロナよりもリスクが高いのは「天災リスク」。
数十年以内なのか、100年以内かは別として、今、30代であれば、生きているうちにかなりの確率で、大規模な地震、火山噴火に遭遇することになります。
日本は、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートと4つのプレート上に位置しているため、地震・火山噴火から逃れることはできません。
地震
日本に大打撃を与えると言われているのが、未曽有の巨大地震である「南海トラフ巨大地震」、首都圏を直撃する「首都直下型地震」があり、共に、今後30年以内の発生確率が70~80%と言われています。
首都直下型地震が起こると、1都3県、3000万の人たちを激しい揺れが襲うことになります。そのうち死者数は2万人強と予測されてます。つまり、地震でなくなる確率は1/1000以下であり、重大な交通事故に遭う確率よりも低いです。住んでいる場所、働いている場所を選択できれば、さらにリスクを減らすことも可能です。
しかし、首都直下型地震の場合は、人的な被害のあとに、経済的なダメージが襲いかかります。
火山の噴火
地震よりも大きな被害をもたらす可能性があるのが、火山の噴火。日本には活火山が100以上あります。関東圏でも、箱根山、浅間山、そして300年間噴火していないとはいえ富士山も忘れてはいけません。
富士山が厄介なのは、南海トラフ地震と連動する可能性があるからです。先にも示した通り、南海トラフ地震は 30 年以内に7,8割の確率で発生するともいわれているため、富士山も同じタイミングで噴火するかもしれません。京大教授で火山学者の鎌田浩毅氏は「江戸時代中期、1707年に発生した宝永大噴火のときと比べて1.5倍のマグマを溜め込んでいると考えられ、大惨事につながりかねない」と警告しています。
東京が止まれば世界も止まる
富士山の場合は、噴火前にごろごろし始めるといいます。そのため、予知する間もなく突然すべてが終わるような噴火が起きるわけではないので、逃げようと思えば逃げられます。しかし、それで被害はすみません。
ただ、富士山が噴火し、3カ月くらい噴火しつづけて、都内で5~10cmの火山灰が積もったらどうなるか?
雨が降ろうものなら、火山灰はセメントのように固まり、東京は化石化。スコップや重機を使わないと撤去できなくなります。流された火山灰は下水道で固まって、下水も止まる。通信障害・交通網の乱れ… 東京は機能しなくなり、日本経済は終わります。
東京が止まれば、金融も止まれば、サプライチェーンも止まる。世界も一時的に一時的に壊滅状態に陥る、と成毛さんはリスクを述べています。
参照:ウェザーニュース
比較的安心な場所はどこか
日本全体、各所に火山があるため、海外に移住でもしない限りすべてのリスクを回避することはできません。
富士山の噴火、南海トラフ地震、首都直下型地震の3つに注意した場合、比較的、安心なのはどこか?比較的安心な場所として以下が挙げられています。
・東北(特に内陸側、日本海側) ※1000年に一度の地震が去ったあとのため
・福井、福岡、札幌、宮城
万一の備えについては、以下の記事もご参照を。
日本のリスクは地震だけじゃない「超高齢化リスク」
地震・火山に注意をしていれば、安心かと言えば、そんなことはありません。少子高齢社会で長生きをする「超高齢化リスク」が我々を襲います。
介護格差
老後2000万円問題で青ざめている場合ではないくらいの厳しい未来が待っている、と成毛さんは指摘。
超高齢社会では介護職の確保が難しくなる→介護職の人件費が高騰→介護費用上昇。つまり、お金を持っていないと介護は受けられません。人件費は上昇し続け、医療・介護制度は破綻しないまでも逼迫。介護格差はとんでもないレベルにまで開くことになります。
「万一」が起こったときに、自分を助けてくれるのは、結局のところ「お金」。
すべてとは言えませんが、お金で解決できることは非常に多い。そして、何より、不安なときにお金ほど「心の安定」をもたらしてくれるものはないでしょう。
以下では老後2000万円+αをためる資産形成についてまとめています。
1億総下流社会
かつて、日本には「総中流社会」と言われる時代がありました。しかし、今や中間層の没落が激しく、持つもの持たざる者の二極化がすすんでいますが、今後、ますます、「生活保護を受ける高齢者」は増えていきます。しかも、人口減は続いてきます。
大量の海外からの移住者を認めない限り、日本に明るい未来は見えてきません。
日本は手遅れ寸前まで動けない
上記では、「地震・火山リスク」、「超高齢化リスク」のみについて取り上げましたが、日本が抱えるリスクはこれだけではありません。日本が主体的に起こさずとも、近隣国をはじめとする「戦争リスク」も抱えています。
実にさまざまなリスクがある日本ですが、日本はそれら問題に向けて動けるか。おそらく日本は、過去を見る限り、手遅れ寸前まで動けないことでしょう。
だからこそ、自己防衛が大事です。
変化を楽しむ姿勢を持て
これまで日本が持つ厳しい現実ばかり見てきました。しかし、私たちはリスクがある中でも、幸せを求めて生きていかなければなりません。この時大切になるのが、「変化」のとらえ方です。
変化というのは常に不可逆です。「あの頃はよかった」と嘆いても仕方がありません。
中には、変化を否定したり、(気づいているのに)気づかないふりをするのではなく、積極的に感じ、楽しんだ者だけが、これからの時代を 謳歌 することができます。
これは、人生を賢く生きるために、非常に大切な考え方です。
冒頭でも書いた通り、今は、ニッチな趣味でも上手にマネタイズすれば、いわゆるサラリーマンや起業などせずとも「趣味で食っていける」環境は揃っています。やりたいことをやって生きていくことは、10年前に比べて確実に容易になっています。後は自分が、どう行動するかです。
最後に
今回は、「アフターコロナの生存戦略」の中から、日本が抱えるリスクに限定し、要点をまとめました。
今回まとめたのは、本書の一部。本書には、世界情勢、マネーの動き、ビジネストレンドや人々の価値観の変化、延びる寿命と生き方など、まさに「生存戦略」に必要な成毛さん流の考え方がいろいろと述べられています。
内容は、是非、本書を手に取ってお確かめを。