バラマキ経済対策の裏で「静かに始まっている増税」。新NISA拡充の裏で増える金融所得課税

新型コロナ、物価高、少子化への対策など、日本ではこれまで様々なばらまき経済対策が行われてきました。

しかし、現岸田首相の「新経済対策」は対処療法。これまでも、「選挙を意識したバラマキ」だと野党も揶揄されていました。

物価高に苦しむ人々や、経営が傾く産業を救うのは政治の重要な役割です。バラマキによって国民を救済しても「カネが尽きたら、またカネがいる」の繰り返し。ただでさえ日本政府は多額の借金を抱えており、財政赤字が加速加速するだけ。

財政赤字を少しでも減らすには、税収を上げなければなりません。一方で、2024年からは新NISAの拡充で、多くの人が非課税投資を利用すれば、金融課税所得は減ります。これでは税収は減る一方。日銀は金利上昇という国の財政正常化の金融政策に舵を切ることもできず、円安が進んでいます。

そんな状況下では、何が起こるのか?

金融所得課税の直近の変化や今後について考えてみます。

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静かに始まっている増税

静かに始まっている増税

2024年の確定申告では“静かなる増税” が始まっています。

配当課税、仕組み変更で節税封じ

2023年までは配当控除を受けるために確定申告(還付申告)する際、所得税と住民税で別の課税方式を申告可能でした。

これにより、概ね年収1,000万円以下の人は、住民税部分で有利な課税方式を選択することができました。

しかし、令和4年度税制改正で、上場株式等の配当所得等について、所得税と住民税の課税方式を一致させる改正が行われました。

これにより、令和5年分の所得税の確定申告(令和6年度の住民税)からは、所得税と住民税で別の課税方式を選択できなくなりました。

税制改正で狭まる節税

上場株式の配当金や投資信託の分配金を受け取った場合、支払いの際に源泉徴収されることで納税が完結します。そのため、別途確定申告をする必要はありません。これを「申告不要制度」です。

従来の制度では、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができました。つまり、所得税で総合課税や分離課税で申告した場合でも、住民税では申告しない選択ができました。これにより、税額や健康保険料を抑えられました。

しかし、令和5年分以降、
所得税で総合課税を選択した場合は、住民税でも総合課税
所得税で申告不要制度を選択した場合は、住民税にも申告不要制度
が適用されます。

異なる課税方式の選択廃止による影響

令和5年分からは、所得税・住民税の両方の負担を踏まえて、課税方式を選択しなくてはならなくなりました。

・配当控除率は、所得税が10%、住民税が2.8%
・住民税単体では総合課税を選択すると不利となる
・課税所得金額が一定以下なら総合課税が有利となる

申告不要制度や申告分離課税を選択した場合、住民税の税率は5%です。
一方、総合課税を選択したときの住民税の税率は10%であり、配当控除2.8%を考慮しても、10-2.8%=7.2%が徴収されることになります。

所得税で総合課税を選択して確定申告すると、住民税でも申告することになり、当該所得が合計所得金額に算入され、これは、所得控除の適用や税金・保険料の算定などに影響を及ぼします。

配当課税、仕組み変更で節税封じ

上図の通り、2024年度からは、使い分けが廃止され所得税、住民税とも総合課税となると、実質税率は上昇することになります。

こうした使い分けは「配当収入のある高齢者の間で広がってい<た/span>」ようですが、いずれにせよ、静かなる増税により、中低所得者の負担増につながります。

新NISA拡充の裏で増える金融所得課税

新NISA拡充の裏で増える金融所得課税

2024年からは、新NISA拡充で非課税投資枠が増えました。

これには、国の
・社会保険制度がどうなるかわからないから「自分で老後の資金を蓄えよ!」という思惑
・日本の株価を上げたいという思惑
がありますが、足元では、株式投資による税収が落ちることになります。

ということは、国の税制優遇投資制度(新NISA、iDeCo)を利用しない金融所得については、課税が強化される方向に進むとみるのが自然です。

せっかくスタートした新NISA、そして、未だにあまり利用が進んでいないiDeCo。まずは、これら2つの税制優遇投を使い倒して、その分の恩恵を受けておくことが大事です。
 

新NISA

iDeCo

iDeCoなら非課税でスイッチング可能。株価下落を予想するなら、元本保証商品に積み立てて、株価の底を見て、低コストインデックスファンドに投資することも可能です。

タイミングの悪い国日本。己で資産を守る努力を

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アベノミクスをスタートに大きく上昇した株式の大相場で株価が高値にある中、そして、世界の大きな景気循環のサイクルが変わろうとしています。そんな、タイミングで新NISAが始まるとは、コロナ禍のオリンピック然り、なんとも、日本と言う国はタイミングの悪く、経済飛躍できない国だと思う次第です。

マネーリテラシーを高めて、自己で資産を守ることが益々大事だと思う今日この頃です。