先日、米電気自動車(EV)メーカーのテスラが総額15億ドル(約1580億円)のビットコインへの投資を公表。同時にEV代金の支払い手段としても受け入れる意向も発表しました。その結果、ビットコインは2021年1月につけた最高値を突破。その後さらに上昇し、500万円まで上昇する上昇を見せました。
ビットコインを米国上場企業が保有する動きは昨年から見られる動きであり、ビットコインを大量保有する企業として知られているのが米マイクロストラテジー社ですが、テスラ社の発表をきっかけに、ビットコイン投資や決済の導入に関する以下のようなニュースも飛び出し始めています。
記事 米ツイッター、ビットコイン投資を検討 実施はまだ=CFO
記事 マスターカードも仮想通貨決済へ本格参入 年内にも対応開始へ
テスラ社のイーロン・マスク氏は電気自動車の覇者候補として注目の企業のCEOですが、仮想通貨界隈でも何かと話題になる人物でもあり、米国企業の中にも追随する動きがみられます。
私個人はビットコイン保有者であり、価格上昇はWelcomですが、米国企業を中心にビットコインへの企業投資が追随することで米国株式市場へのマイナスの影響を懸念しています。
今回は、米国企業のビットコイン投資・保有・決済導入の加速が米国株式に与える影響と、取っておくべき売買戦略について考察してみます。
目次
現在のビットコイン
2021年2月11日現在、ビットコインの価格は史上最高値500万円を頂点に売りに押さえる展開となっています。直近、大きく上昇しましたが、私がビットコイン投資戦略(いつ買い、いつ利益確定するか)の指標としている「Bitcoin Stock to Flow Model (S2Fモデル)」を確認すると、現在の価格はやや上振れぎみですが、全く行き過ぎレベルではありません。着実に次のターゲット価格(ビットコインピーク値)に向けて推移していると言えます。
直近では、テスラ社のイーロンマスク氏の発表がきっかけで上昇となりましたが、個人的には、イーロンマスク氏の発言があろうがなかろうが、上昇タイミングの差こそあれ、ビットコインは価格上昇したと考えています。
世の中は、5G化、クラウド化、IOT化、AI化、VR/AR化、CASE化、シェア化などの流れが止められないように、ビットコインのベースになる「ブロックチェーン化」の流れも止まりません。その際の決済・契約手段としてビットコイン、イーサリアムが注視されるのもこの流れに則っています。
しかし、ここで注意すべきは、金融市場は特にクラッシュするという脆さを持っていることです。
ビットコイン下落が米国株式市場に与える影響は大きくなる
私は、上記で紹介した「Bitcoin Stock to Flow Model (S2Fモデル)」に基づき、2021年後半から2021年末ぐらいまでにビットコインはピークアウト。2018年の仮想通貨バブル崩壊のような大きな価格調整に見舞われると考えています。
それ故、マイクロストラテジー社、テスラ社に続いて、ビットコイン保有をインフレ対策、或いは、投資を目的として財務戦略として取り入れる米国上場ビットコインのボラティリティが大きく不安定な企業が増えてくると、高ボラティリティのビットコインの価格推移が米国株式市場に悪影響を及ぼす可能性が高くなるだろうと考えます。
これまでは、米国株式の大幅下落がビットコインの価格に影響を与える(同時に売られる)ことはあっても、ビットコインの価格下落が米国株式市場に影響を与えることはあまりありませんでした。しかし、ビットコインの大幅下落が米国株式市場に与える影響も徐々に大きくなっていくと考えます。
特に、テスラのような時価総額の大きい企業がビットコイン保有割合を増やす流れが強くなる場合は注意が必要と考えます。
これから🚀のBTC 今初めても遅くない!私が最も真っ当だと考えるビットコイン投資法
コロナからの景気回復で米国株式は上昇傾向だがヘッジ手段は用意したい
2021年1月以降、コロナからの回復の兆候が鮮明になりつつある米国株式。バイデン政権下での1.9兆ドルの新型コロナウイルス追加経済対策、ワクチン接種の広がりなどから、米国株式は実際の景気に先行して、景気回復を織り込みに行っています。そのため、米ダウ、S&P500、ナスダックはいずれも史上最高値圏にあります。
私は、この傾向は変わらず、米国の上昇はしばらく続くと考えて米国株に投資をしていますが、この投資を継続する上で重要となる米FRBの利上げはかなり先になるとみられます。
というのも、イエレン財務長官はかねてよりパンデミックの状況では雇用回復のためには大型対策が必要であると述べ、富裕層と労働層の格差是正のためにも雇用の回復を大事とみているため、利上げは少なくとも2022年以降と考えるからです。
となれば、ビットコインの周期性大型バブル崩壊の方がが、コロナバブル崩壊よりも先に来ると考えられ、ビットコイン保有上場企業の増加の如何によって、米国株式も下落を受けると考えておく必要があると考えます。
大きな相場の波「コロナバブル」を勝ち取りながらも、その間に起こる下落を乗り切る「ヘッジ手段」を持つことが非常に大切です。
ビットコインのボラティリティ
2021年2月11日現在、ビットコインの時価総額は84兆円程(1BT=470万円)です。このビットコインの30日間のボラティリティ(変動率。商品のリスクの大きさの目安)の推移を示したのが上記Bitcoin Volatility Indexです。
確かに、ビットコインの時価総額が大きくなるにつれて、ボラティリティは低下していくことが考えられます。理由は、時価総額が大きければ5%、10%上昇/下落させるのにも大きな資金が必要となり、簡単に市場を動かすことが難しくなるからです。
しかし、2021年の段階では、1日5%の上下動はざらにあります。イーロンマスク砲などにより10%、20%上下動することも珍しくありません。これは株式市場のボラティリティからみれば異常値です。
将来的にはビットコインのボラティリティはリアルゴールドである「金」と同クラスまでボラティリティは低下すると言われていますが、まだ時間がかかると考えます。
現在のテスラ社のビットコイン保有率
さて、話が冒頭のテスラ社の話題に戻りますが、テスラ社は15億ドル分(約1600億円)のビットコインを購入。
2020年に実施した公募増資などにより現金・および現金相当を今現在も保有しているとみられるため、「テスラ社がさらにビットコインの保有を増やすのではないか」「テスラ以外の大手企業もビットコインをインフレヘッジ、或いは、投資を目的に購入を始めるのではないか」との憶測を呼んでいます。
テスラ社のビットコイン保有率は高くないが影響力は大きい
テスラ社の2020年12月の決算書を見ると、テスラ社全体の資産に占めるビットコイン割合は7.7%となっています。
これはマイクロストラテジー社に続き、上場企業2番目のビットコイン保有量です。ただし、ビットコイン市場全体に占める金額は軽微なものです。
記事 テスラのビットコイン購入、保有量はマイクロストラテジーに続く規模に
ただ、テスラはバランスシートにビットコインを加えただけでなく、支払い手段としても受け入れる計画です。さらに支払われたビットコインはバランスシートに追加されることになるため、注目も必然的に大きくなります。さらに、上場米国企業が少しずつでもビットコイン保有率を増やすと、SNSなどでささやかれるように「株式を持つことがビットコインを持つことだ」といった発言は否定できなくなります。
このように、今後、他企業に与える影響を考えると、テスラ社の公表は、購入額以上に大きいと言えそうです。
テスラ社&イーロンマスク氏が金融市場に与える影響力は大きい
自動車産業界の革命とも言われている技術革命「CASE(ケース)」。
「CASE」は、クルマをIoT(あらゆるモノがインターネットにつながる仕組み)端末と位置づけてデジタル化・電動化を推進し、自動車産業を製造業からモビリティ(移動)産業へ変革させる動きの総称です。
「C=Connected(コネクティッド=ネットワークへ常時接続したつながるクルマ)」「A=Autonomous(自動運転)」「S=Shared&Service(シェアリング&サービス)」「E=Electric(電動化)」という4つの重大トレンドの頭文字をもとにした造語です。
CASAが実現すれば、確実に街の風景は変わります。ここ20年ぐらいで私たちの生活を最も変えたものはスマホ(3G⇒4G⇒5G)でしたが、スマホには街の景色を一変させる力はありませんでした。しかし、CASAの未来がやってくれば、幼いころ、鉄腕アトムで見た近未来の風景が実現し、街の風景が変わります。
この変化の中核となる企業の一つが電気自動車のテスラです。また、CEOのテスラ氏は、さらに先を見た航空宇宙メーカー「スペースX」も展開しています。そのため、マーケットにおける影響は絶大で、彼の1ツイートで市場が影響を受けるが続いています。
CASAで鉄腕アトムで見た近未来の世界がやってくる
ステラ社の株価と今後
今後の自動車産業の変化を見越し、テスラ社は2020年コロナショック以降、恐ろしい速さで株価が上昇しています。
コロナショック後の最安値が約70ドル、直近最高値が900ドルで、1年も経ずに12倍に株価が上昇しました。現在は高値圏で停滞をしています。
この価格上昇の背景には、イーロンマスク氏のあの手この手があります。今後も、テスラ社株価、ビットコイン・ドージコインの価格が大きな影響を受けるのは間違いありません。
テスラ株は日本でも人気~CFD口座を投資に活かそう
なお、私は、米国個別株は短期機売買(数週間から数ヵ月投資)で投資リターンをアップさせる戦略口座「GMOクリック証券【CFD】」で不足する資金量をレバレッジで補いつつ、米国株式指数投資・米国個別投資を行っています。
CFD口座でもテスラ社は個別株ランキングで常に上位。ランキング1位であることも珍しくありません。いかに人々がテスラ社に注力をしているかということを改めて実感させられます。
私は、全くテスラ社の勢いに乗り切れていませんが、今後、テスラ社株価が調整を見せるようなら買ってみたいと常に考え、株価ウォッチを続けています。
ちなみに私の現在のCFD口座での保有銘柄は以下にて紹介しています。売買に合わせてちょこちょこ更新すると同時に、購入理由なども解説しています。
最後に
話がやや脱線しましたが、ビットコインに話を戻して、最後に本記事をまとめます。
私は、過去のビットコインの4年サイクル(半減期サイクル)に基づき、2021年ビットコインのバブルは大幅な価格調整を見せると考えています。ただしバブル崩壊はまだ先の話であり、それまでにビットコインは1000万円を超える上昇を見せると考えています。
これから🚀のBTC 今初めても遅くない!私が最も真っ当だと考えるビットコイン投資法
また、その間、テスラ社のような影響力のある米国上場企業が少しずつビットコインの保有・投資・決済を財務戦略・販売戦略の手段として取り入れていく傾向が出てくる場合は、少しずつ米国株式市場に対するビットコインの価格変動が米国株式株価に与える影響に警戒を強める必要があると考えます。
であるとするなら、2021年1月に鮮明になった「コロナ回復バブル」という大きな相場の波に乗りつつも、2021年末ぐらいまでに訪れる可能性のあるビットコインの大幅価格調整を見越して、株式投資のヘッジ手段を準備して万一に備えておくことが重要だと考えます。
上記でも紹介した、CFD口座は、単に株式の上昇を期待した「購入」に使えるだけでなく、株価下落時の現物株ヘッジにも使えるので大変便利です。
ヘッジ口座を準備すると同時に、今から、少額でいいので、取引の訓練を始めるのが、非常に大事だと思います。なぜなら、「いざヘッジに利用」と思っても、普段から使っていない口座での取引は「万一」なときほど怖くて使えないからです。
CFDなら、投資家の恐怖心理を端的に表すと言われる恐怖指数VIXを利用した投資など、株価下落時の売買戦略も広がります。
CFDなら数千円の超少額で取引を始めることも可能です。