全国各地の特産品がもらえて嬉しい「ふるさと納税」。
ふるさと納税は「住民税」の先払いという性質を持つため、ふるさと納税上限額(=寄付金控除してもらえる上限額)を考慮してふるさと納税を行なっていると思いますが、毎年、ふるさと納税 寄付金控除額の答え合わせをしていますか?
特産品をもらって満足してしまっていては、実質的な節税対策をしたつもりが、「ただ気前よく寄附しただけ」になっているかもしれません。
実際に寄付金控除されたか、或いは、実控除額に対して寄付額が多すぎ/少なすぎなかったかの確認がおろそかになると、思わぬ悲劇が起きているかもしれん。
そんな悲劇を生まないため、ふるさと納税の寄付金控除の仕組みをわかりやすくする説明したうえで、ふるさと納税(寄付控除額)の答え合わせと、万一、悲劇が起こっていた場合の対処方法について解説します。
目次
ふるさと納税の仕組:おさらい
ふるさと納税は住民税の先払いです。そのため、ふるさと納税と住民税の関係を理解せずして、適切な寄付はできません。
そこで、まずは、ふるさと納税と住民税の関係をおさらいから始めていきましょう。
ふるさと納税と住民税の関係
ふるさと納税の流れを住民税にフォーカスしてみてみると、以下のようになります。
❶ふるさと納税の参加代2000円を払う
❷自治体にふるさと納税(寄付)=住民税の先払い
❸自治体からお礼の品をもらう
❹居住自治体に、ふるさと納税の申告
❺居住自治体は、本来、払うべき住民税から、寄付金控除額が差し引かれる(通知額が減額)
❻結果は6月に寄付金控除額を「住民税通知書」にて連絡
えっ?私、ふるさと納税に関する控除のお知らせなんてもらったことないんですけど… と思われた方、ちょっとお待ちください。後程、説明します。
所得税と住民税
さて、上記説明で、ふるさと納税は「住民税の先払い」という意味が理解できましたか?
これは、所得税と住民税の課税方法の違い、そして、それに伴い、徴収時期が半年ずれることが影響しています。
ここで、所得税と住民税を比較表で整理してみましょう。
税の種類 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
対象となる稼ぎ | 1~12月 | |
国税/地方税 | 国税 | 地方税 |
支払先 (申告書送付元) | 国 (税務署) | 地方自治体 (市区町村) |
課税方法 | 申告納税 | 賦課課税 |
支払期間 (1年の区切り方) | 会社員:1~12月(年末に年末調整) 自営業:8~翌3月(予定納税+確定申告に基づき納税) | 翌年6月~翌々年5月 (スタートが半年遅れ) |
支払時期・回数 | 会社員:毎月 自営業:8月末、11月末、翌3月 | 会社員:毎月 自営業:原則4分割 |
税率 | 5~45% | 10% |
所得税と住民税で異なる課税方式
上記表で大事なのが、「課税方法」の違いです。まずは2つの課税方式のおさらいです。
所得税:申告納税
実績などから、おおよそ発生するであろう金額を先払いで徴収。年末調整や確定申告で確定した額を、不測の場合は追加納税、徴収しすぎの場合は還付する課税方式です。
会社員の場合は、会社が給与からの天引きで徴収。年末調整により金額を確定します。
住民税:賦課課税
国や地方公共団体が納めるべき金額を計算し、納税者に通知する課税方式です。
国税では、加算税や過怠税、地方税では固定資産税や不動産取得税、自動車税、個人住民税、個人事業税などが、これに該当します。会社員の場合は、所得税同様、会社が天引き徴収します。
ふるさと納税が、「先払い」となる理由
上述の通り、対象となる所得(稼ぎ)の期間は、所得税も住民税も同じですが、課税方式の違いにより、課税タイミングに差が生じます。結果、所得税を支払い終わったと思った頃に、前年の住民税の支払い請求が、「住民税通知書」と共に半年遅れの6月にやってきます。
ここで住民税の金額算定時に考慮されるのが、前年に支払い済みの「ふるさと納税の寄付金」。この分が差し引かれて「住民税の納付額」として通知されます。
これが、ふるさと納税が「先払い」となる理由です。
ふるさと納税の寄付金控除額の確認の仕方
ふるさと納税の寄付金控除額は、6月に会社や自治体から送られる「住民税通知書」に記載されています。
あまりに、細かい字、しかも、わかりにくい用語が並ぶ通知書なので、会社や自治体から通知をもらっても、しっかり見ないで閉じてしまう人が大半でしょう。
しかし、これ、しっかり見ないと、「寄付金控除されていない=気前よく寄付しただけ」となっていこともあり得るのです。
住民税通知書:寄付控除の確認の仕方
住民税通知書のフォーマットは自治体によって異なります。しかし、記載されている内容は、基本、同じです。控除パートにある「税額控除額」にきちんと数字が入力されているか確認する必要があります。
上図は、会社員に手渡される住民税通知書の典型的なフォーマットです。
「⑤税額控除額(市区町村税分+都道府県税分)」が該当項目で、この額には、寄付金税額控除(ふるさと納税)と住宅借入金など特別控除(住宅ローン控除)が合算した額が記載されています※。この例の場合は、親切に、用紙左下にその内訳が分かる備考が記載されています。
※字が小さいばかりか、複数の項目が合算されていることが、ふるさと納税の寄付控除額が確認しにくい理由です。
でも、コレ、行政から見れば税金取りやすいカモ🦆ですよ。
ふるさと納税、答え合わせの仕方
さて、寄付金控除額の確認方法が分かったところで、あなたの昨年12月31日までに行ったふるさと納税の額が適切だったか、確認しましょう。
ふるさと納税以外に税額控除額に該当するものがなかった人で、上手にふるさと納税ができた人は、以下の式が成り立ちます。
もし、ふるさと納税寄付金額の方が税額控除額より大きかった場合、差額分は、「気前よく自治体に寄付をした」ということになります。
また、反対に、ふるさと納税寄付金額の方が随分小さかった場合は、もっとたくさんのふるさと納税が追加の負担なしでできたことになります。
毎年、このようなふるさと納税寄付額と、実際の税額控除額が合致しているか、答え合わせをしておけば、上手にふるさと納税できるスキルは高まっていきます。
是非、今年分の住民税納付書を確認し、答え合わせをしておきましょう。
税額控除額が明らかにおかしい場合、考えられる原因
ふるさと納税の答え合わせをしてみたら、税額控除が少なすぎて明らかにおかしい!と思われた方、この場合、
①ふるさと納税申告者にミスがある場合
②住居自治体側にミスがある場合
の2つのパターンがあります。
自分ではミスなんてしてないとお考えになられる方は多いと思いますが、意外と自分側にミスが多いと思われます。
具体的な原因を把握するには、ふるさと納税の申告方法について理解する必要があるので確認してきましょう。
ふるさと納税の申告方法
ふるさと納税の申告方法には、「ワンストップ特例」と「確定申告」の2種類があります。
税の種類 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
---|---|---|
対象 | 寄付先が5箇所以内で 確定申告をしない会社員 ※一部例外あり | 確定申告が必要な人 |
手続き | 翌年1月10日自治体必着で 必要書類を提出 | 確定申告次期中に申告書提出 |
控除 | 全額住民税から減額 | 住民税の減額と 一部、所得税から還付 |
①ふるさと納税申告者側に届け出ミスがある場合
ふるさと納税申告者側にミスがある場合は、以下のようなことが考えられます。
❶そもそも申告してない(特産品もらって達成感のお気楽パターン)
❷ワンストップ特例の場合
・期日(翌年1月10日必着)までに書類提出が間に合っていない(駆け込み処理ミス)
・一部のふるさと納税で提出漏れ
❸確定申告の場合
・「寄付金控除欄」への記入漏れ
・「住民税に関する事項」の記入漏れ
❹ワンストップ特例書類を提出後、確定申告をした場合
・確定申告をするとワンストップ特例は無効
確定申告内で再度申告しなければならないのを知らず記入漏れ
気を付けたいのが❹です。ワンストップ特例の手続きを不備なく行って安心していてはいけません。
医療費控除その他、控除申請などの必要があり、確定申告を行った場合、再度、確定申告書にて寄付金控除の申請をしてなければ、寄付金控除が認められません(ワンストップ特例は無効になる)
②住居自治体側にミスがある場合
大量の税計算が必要なため、人的なミスが発生することはあります。
明らかなる誤りを発見したら連絡しよう
申告内容が間違っている場合、5年以内なら修正ができます。
まずは、明らかに税額控除額がおかしいと感じたら、住民税通知書に記載されている連絡先に連絡して、どのように対処したらいいかアドバイスを求めましょう。
最後に
ふるさと納税は、特産品をもらって満足してしまってはダメなことがご理解いただけたでしょうか。
6月に届く住民税通知書確認の上、ふるさと納税の寄付額がしっかり控除されているか、控除額と実際に自分が寄付した額に乖離がなかったか、確認をしましょう。
その他、住民税通知書の見方については以下の記事にてまとめています。合わせて確認しておくと、住民税の理解がふかまりますよ。
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