米国大統領選挙は、第47代米大統領が確実に。
4年ぶりに米国大統領に返り咲いたことが、11月6日の主要メディアで報じられています。
事前の報道では、
共和党:ドナルド・トランプ前大統領(再選を目指す)
民主党:カマラ・ハリス副大統領(女性初の大統領を目指を目指す)
の接戦が伝えられていましたが、結果はトランプ氏の圧勝となりました。
米国で大統領が退任後に返り咲いたのは大統領の返り咲きは19世紀のクリーブランド以来132年ぶりで、史上2人目なのだとか。トランプ氏は支持者を前に「米国を再び偉大な国にする」と勝利宣言しています。
日本のメディアは指示に関する報道が偏りがち。結果、日本国民も「なぜ、トランプ!?」と訝る人も多い。しかし、これが米国国民の民意です。
米国は米国内とどまらず、世界に与える影響が大きい。世界・経済の状況を見間違えないためにも、選挙結果、金融市場市場の反応、及び、今後の米国・世界経済・日本に与える影響を確認しておきます。
目次
【結果】米国大統領選挙 2024年
上図は、NHKの特集サイトに掲載されている米国大統領選挙 各州の開票結果(2024年11月7日 13時時点)です。
米国大統領選挙では、候補者は州ごとの勝敗に応じて各州に割り当てられた「選挙人」を獲得していく方式。合計538人の選挙人のうち、過半数の<270人を得た候補が当選となります。
まだ、未確定の表がありますが、それでもトランプ氏の圧勝となりました。
【結果】米国大統領選挙 2024:各州・激戦区の結果
青:民主党が勝利、赤:共和党が勝利、灰:未確定
下図は激戦州の結果。激戦だった様子が伺えます。
トランプ氏は激戦7州のうち東部ペンシルベニア、中西部ウィスコンシンなど4州を制しました。
私邸がある南部フロリダ州では、11月6日未明、支持者を前に演説。「国境を修復し、この国の全てを直す」と不法移民対策などに取り組むとアピールしたそうです。
ハリス氏とトランプ氏 支持率推移
ハリス氏、トランプ氏の支持率推移を確認しておくと、トランプ氏が銃弾を受けた際に盛り上がりも、その後、バイデン⇒ハリス氏に候補が変わったことでハリス氏が一気に支持率を集めましたが…
2人の討論会などで、悪口合戦などが報じられるとともに、徐々に支持率が低下していった様子が伺えます。
最終的には、トランプ氏が、バイデン政権下での物価高や不法移民流入に不満を募らせる有権者の間で支持を広げたことで、勝利を勝ち取っています。
大統領就任は1月20日
米国大統領選挙の結果は出ましたが、すぐに米国大統領に就任するわけではありません。
・来年2025年1月20日に第47代大統領として就任式に臨む
・任期は4年
・副大統領にはJ・D・バンス上院議員が就任
米国大統領選挙:世界経済・市場への影響
トランプ氏が再選となれば、政策方針は「米国第一」「保護主義」であり「強い米国」です。政策方針や、それに伴い日本・世界への影響を箇条書きでまとめています。
トランプ氏政策方針
・強い米国
・【減税】法人税率、所得税(の最高税率)の引下げなどの減税策期限を撤廃。恒久的な制度へ
・【関税】日本を含め外国からの輸入製品に原則10%から20%の関税をかける方針
・【エネルギー・環境政策】遅くとも1年半以内に、エネルギー・電力価格を少なくとも半分に
米国では、物価上昇が落ち着き、FRBは2024年9月に4年ぶりに利下げに踏み切りました。しかし、このFRB方針とトランプ氏の政策方針は相性が悪い。
「新大統領の経済政策で物価が再び上昇したり高止まりしたりした場合、FRBは今後利下げを進めにくくなり、外国為替市場では金利の高いドルが買われて円安ドル高が進むのではないか」という見方が出ているようです。
エネルギー・環境政策では、過去に一度離脱した「パリ協定」の行方も気になります。バイデン政権で進められてきた「電気自動車の優遇政策」の継続の行方も気になる点。状況により、日本の自動車業界も方針転換を迫られます。テスラのCEOのイーロン・マスク氏はトランプ氏への支持を表明するなど動きが見られますが、政策がどうなるか、確認をしていく必要があります。
金融市場への影響
こちらは既に影響が出ています。
・中国株:下落
・ビットコイン:大きく上昇
円安は日本の輸出企業の業績を上向かせますが、一方で、原材料の輸入価格が上昇し、物価を上昇させます。日本国民のお財布には打撃と考えざるを得ません。
ただ、トランプ氏が保護主義的な動きを強めて米国からの輸出に有利なドル安を志向した場合は、円高という可能性も。
今後のトランプ氏の今後の発言や政策の実現可能性などに、企業はもちろん、日本国民も注視が必要ですね。
日本への影響
・【物価高】輸入品の価格が上がることで物価が再び上昇する可能性
・【日銀】急激に円安・物価高が進めば、早期の利上げの判断を迫られる可能性も
・【関税】同盟軽視の姿勢、日本にも米軍駐留経費の負担増などを求める可能性
・【GDP】関税の結果、米国への輸出が減少し、GDPが低下との試算あり
金融市場はどう動いたか
金融市場は大統領選挙結果をどう受け取ったか?
チャートで確認しておきます。
米ダウ:大幅上昇
・11月6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続伸
・ダウ 43,729.83ドル、前日比+1,508.05ドル、3.57%高
・10月18日以来、2週間半ぶりに過去最高値を更新
・上げ幅は2020年4月以来の大きさ
次期政権が減税や規制緩和を進めるとの期待感から幅広い銘柄に買いが入って大幅続伸。引けにかけて上げ幅を広げ、この日の高値圏で終えています。
米国個別株:テスラ
イーロン・マスクCEOが全面的に支援してきたトランプ氏の大統領選勝利を材料視した買い。
一方で、関税引き上げが業績への悪影響になるとみられる以下の企業は下落
ナイキやホーム・デポ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)など
日経平均
・11日6日、トランプ前大統領の勝利を先取りして1005円高
・11月7日は、利益確定や戻り待ちの売りが優勢に
・心理的節目の4万円接近に伴う高値警戒感も強い
ドル円:円安進む
・円相場は円安へ
・11月7日14時時点では1ドル=154円18〜20銭
・市場では、米大統領選後で商い手控え。薄商いのなか値幅が出やすい状況
・以下の重要指標を控えることも手控え要因
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見
ビットコイン:史上最高値更新
ビットコイン推しのトランプ氏の当選を受け、大幅上昇
トランプ氏のビットコインに対する姿勢は、以下の記事にてまとめています。
最後に
今回は、トランプ氏、米国大統領に乖離座いたことを受け、各州の選挙結果、金融市場の反応は?政策転換で世界経済・日本へどんな影響があるかなど、まとめました。
投資をするなら、米国大統領選挙で変わる政策に目をおく方がベター。仕組みについてわからない方は、その概要も理解しておいた方がいいでしょう。
以下の記事も参考にしてください。