2024年の世界経済は転換過渡期。
この世界経済に大きな影響を与えるのが「金利」です。金利は、金融市場における「炭鉱のカナリア」とも呼ばれますが、それは、早期警告のサインとなるからです。
そして、金利の変更が発表される場が、金融政策決定会合であり、中でも米国・日本・欧州の動きが大事です。
本記事では、日銀・米国FOMC・欧州ECBの金融政策の舵取りの現状と、金融政策決定会合のスケジュール日程をまとめて紹介します。
・日銀 10月の会合内容の簡潔なまとめを追加
目次
金利の重要性について
金利は経済全体に大きな影響を与えるため、非常に重要です。以下、経済や株式・為替などに与える影響を簡単にをまとめます。
金利が経済・株・為替に与える影響
消費と投資の影響
・金利が高いと借入コストが上がり、企業や個人が借金して投資や消費をする意欲が低下する
・金利が低いと借りやすくなり、消費や投資が増えるため、経済が活性化する
インフレのコントロール
・中央銀行は金利を操作することでインフレをコントロール
・金利が高ければ、需要が抑制され、物価上昇(インフレ)が抑制
・世界の中央銀行のインフレターゲットは2%
通貨の価値
・高金利は海外投資家を引き付け、通貨の需要が高〇
・高金利通貨は、通貨価値が上がる(通貨高に)
・金利が低いと通貨の価値が下がる(通貨安に。現在の円安)
資産価格に与える影響
・低金利環境では、資産(株や不動産など)の価格が上昇しやすい
・理由は、投資家が他の投資先を探すため、リスク資産への需要が高まるから
日本・米国・欧州の金融政策決定会合
日本・米国・欧州における金融政策決定は、以下の期間が行っています。それぞれ異なる課題や目的があります。
日本 (BOJ:日本銀行)
米国 (FOMC:米連邦準備制度理事会)
欧州 (ECB:欧州中央銀行)
それぞれ、現状とスケジュールを確認していきます。
日本日銀:現状との金融政策決定会合の日程スケジュール2024年
日本銀行は長期にわたり「超低金利政策」を維持してきました。しかし、2013年より続く「量的緩和」の弊害が極めて大きい状況です。日銀は「金利上昇」でこれまで発行してきた国債の利払いという大きな問題を抱えます。
日銀は金融正常化に向け舵を切りましたが、諸外国のように金利が段階的に金利上昇を図っていくことが極めて難しい状況にあります。
理由は、日銀がインフレ抑制のために金利を上げれば、これまで積み上がった「国債の利払い額」が跳ね上がり、日銀自体が存続不可能な事態を招くからです。国民もこのこれまでの金融緩和のツケを払わざるを得ない事態になる可能性もあります。
この点をふまえ、以下に日銀がかじ取りを行うかが注目されます。
※金融緩和の歴史と経済に与えた影響(後述)
開催月 | 開催日 | 経済・物価情勢の展望発表 |
---|---|---|
2024年 1月 | 22日(月)〜23日(火) | 23日(火) |
2024年 3月 | 18日(月)〜19日(火) | |
2024年 4月 | 25日(木)〜26日(金) | 26日(金) |
2024年 6月 | 13日(木)〜14日(金) | |
2024年 7月 | 30日(火)〜31日(水) | 31日(水) |
2024年 9月 | 19日(木)〜20日(金) | |
2024年10月 | 30日(水)〜31日(木) | 31日(木) |
2024年12月 | 18日(水)〜19日(木) |
発表内容を簡単にまとめ(2024年9月)
- 0.25%とする政策金利を据え置き(9人の政策委員の全会一致)
- 経済・物価は想定通りに推移するも、7月末の追加利上げ決定後に株価や円相場が乱高下したことを踏まえ、金融市場の動向や利上げの影響を見極める必要があると意見
- 物価の上振れリスクは相応に減少
- 経済・物価見通しが実現していけば政策金利を引き上げて緩和度合いを調整する考え
- 次の利上げについて決まったスケジュール感はない
発表内容を簡単にまとめ・主な発言(2024年10月)
- 0.25%とする政策金利を据え置き(9人の政策委員の全会一致)
- 経済・物価見通しが実現していくとすれば、政策金利を引き上げていく
- 利上げタイミングに予断は持っていない。毎回の会合で判断
- 「時間的余裕をもって見ていく」という表現は、今後使わない
- 米国など海外経済の下振れリスクは少し霧が晴れつつある
- 国内政治情勢は物価に直接関係ないが、大きな政策が打ち出されれば影響する可能性がある
米国FOMC:現状との金融政策決定会合の日程スケジュール2024年
米国の金融政策は、2022年から続くインフレ対策が焦点となっており、連邦準備制度理事会(FRB)は数回の利上げを実施してきました。これにより、政策金利は過去の水準と比べて大幅に引き上げられ、2024年は、いつから利下げが始まるかが、金融市場の最大の関心です。米国の利下げは世界経済にも大きく影響を与えるため、否が応でも注目が集まります。
また、2024年は大統領選挙の年です。誰が(どちらの党が)大統領になるかで、経済政策・金融政策にも影響が出ます。FOMCと合わせて注視が必要です。
開催年月 | 開催日 | 声明発表時刻※日本時間 |
---|---|---|
2024年 1月 | 30日(火)〜31日(水) | 02月01日(木) 4:00 |
2024年 3月 | 19日(火)〜20日(水) | 21日(木) 3:00 |
2024年 4月 | 30日(月)〜5月1日(火) | 05月02日(水) 3:00 |
2024年 6月 | 11日(火)〜12日(水) | 13日(木) 3:00 |
2024年 7月 | 30日(火)〜31日(水) | 08月01日(木) 3:00 |
2024年 9月 | 17日(火)〜18日(水) | 19日(木) 3:00 |
2024年11月 | 06日(水)〜07日(木) | 08日(金) 4:00 |
2024年12月 | 17日(火)〜18日(水) | 19日(木) 4:00 |
FOMC:Federal Open Market Committee announces tentative meeting schedule for 2024
発表内容を簡単にまとめ(2024年9月)
0.50%の大幅利下げを決定
詳細は、以下記事に記載
欧州ECB:現状との金融政策決定会合の日程スケジュール2024年
欧州中央銀行(ECB)は、2022年以降、歴史的に低かった金利を引き上げており、ユーロ圏全体でインフレを抑えるための対策を強化しました。結果、2023年10月には4%まで上昇。結果、2023年後半はリセッション(景気後退)に陥りました。
結果、2024年6月からは0.25ポイントづつの利下げが開始されました。2024年中に4回の利下げが見込まれており、9月、10月、12月の追加利下げで中銀預金金利は3%になると、エコノミストらは予想しています。
経済の冷え込みが進む中で、物価上昇を抑えつつ、景気の回復を促すバランスが求められています。
開催月 | 開催日 | 声明発表時刻※日本時間 |
---|---|---|
2024年 1月 | 25日(木) | 22時15分 |
2024年 3月 | 7日(木) | 22時15分 |
2024年 4月 | 11 日(木) | 22時15分 |
2024年 6月 | 6日(木) | 22時15分 |
2024年 7月 | 18日(木) | 22時15分 |
2024年 9月 | 12日(木) | 22時15分 |
2024年10月 | 17日(木) | 22時15分 |
2024年12月 | 12日(木) | 22時15分 |
発表内容を簡単にまとめ(2024年9月)
- 主要政策金利を3.75%⇒3.50%へ、0.25%ポイント引き下げ(全会一致、予想通り)
- 利下げは6月の会合以来
- 10月の連続利下げ観測は後退
- 【市場】12月の会合で0.25%の追加利下げを予想。0.25%か、0.5%どちらの利下げになるかに関心
【日本】円安・株高と日銀の異例の金融緩和を巡る歴史
日銀の決める金融政策が、国債の金利に大きく影響しています。
以下では、目下、経済状況の把握するうえでも大事な、日銀の金融政策の推移についても確認しておきます。
2001年 | ■「量的緩和政策」が開始 ・金融市場調節の主たる操作目標は、無担保コールレートから日本銀行当座預金残高に変更 |
2010年 | ■「包括的な金融緩和政策」が開始 |
2013年4月 | ■「量的・質的金融緩和」が開始 ・大規模な金融緩和政策が導入 ・金融市場調節の主たる操作目標は、 無担保コールレートからマネタリーベースに変更 ・以降、円安・株高の流れに |
2024年3月 | ■金融政策の枠組みを見直し ・短期金利、マイナス金利政策の解除 ・長期金利、これまでと同程度の金利で長期国債を借入 ・イールドカーブコントロール撤廃 ・ETJ/J-REIT、新規買い入れ終了 ・社債等、1年後をめどに買入れを終了 |
2016年1月 | ■「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入 ・日本銀行当座預金のうち「政策金利残高」に-0.1%のマイナス金利を適用 ・10年物国債金利が概ねゼロ%程度で推移するようにする「イールドカーブコントロール」などが追加 |
2024年7月 | ・短期金利、0.25%程度に引き上げ ・長期金利、長期国債の買入れ予定額を毎四半期4,000億円程度ずつ減額 2026年1~3月に3兆円程度とする計画を決定 |
2024年10月 | 日銀金融政策決定会合 開催日 10月30日~31日 |
2024年12月 | 日銀金融政策決定会合 開催日 12月18日~19日 |
2013年から始まった、日銀の量的・質的金融緩和により、 リーマンショックの最デフレ時 株安・円高から2024年には株高・円安へと様相が大きく変化しました。
日経平均:7,000円台⇒最高値4.2万円へ
ドル円 :70円台⇒最安値160円へ
目下、ヤバイ円安・インフレが同時進行し、国民生活を直撃しています。
日銀が、「金利のある世界」へ金融政策を変更したことで、目下、ドル円は最悪の円安から円高方向に動きつつありますが、この舵取りが遅かったため、大きく円安が進行してしまいました。
日銀の金融緩和政策は何をもたらしたか
基本、金利が上がれば円高になります。円安なのは、他国に対して低いからです。
なぜ、日銀はこれほどの円安に対して、抜本的な対策を行っていないのか?
それにも理由があります・
日本は、氷山が迫るタイタニック号。氷山がどこまで迫っているか、霧の中で見えませんが、確実に迫ってきています。
もし、難局を乗り切れたとすれば、それは、国民が痛い目を見るということです。
この事実は知っておいた方がいいです。以下の本を読んでおきましょう。
これ以外にも、我が国に迫る危機に警鐘を鳴らす本はいろいろあります。1冊でもいいので読んでおくことをおすすめします。
「ヤバい円安・インフレ」が同時進行
日本では「ヤバイ円安」と「インフレ」が進んでダブルパンチ状況にあります。
しかし、「インフレ」は世界的な動向です。今後も、世界的インフレは続きます。日本はさらに円安でダブルパンチです。
日本だけを見ていても、今後は見えてきません。日本と世界、両方の状況を抑えることが大事です。
異次元の金融緩和の反動は、今後も日本を襲います。上記本は、現状を知るためにも、読んでおくべき本です。今後の、資産運用にも大いに役立つはずです。
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