7月高値からの株式暴落。オルカンなど主要ファンドは何%下落したか。株価調整局面では落ち着いた対応・リスクの見直しを

2024年7月17日の株価最高値以降、急激に進んだ株価下落。

ここ1週間の中では、最も大きく下落したのが2024年8月5日となりました。

新NISAが始まってからは、今回が本格的な調整局面となりそうな様相です。

いくつかの重要な投信での下落率を確認。金融市場の混乱の中で、何が起こっていたかを確認しておきます。

また、今、含み損に耐えられない方へのアドバイスも紹介します。

[スポンサーリンク]

12月11日 01:59まで

8月の大暴落。下落率は何%に達したか

8月の大暴落。下落率は何%に達したか

8月の急落(暴落)を確認するに当たって、主要な株式ファンド(オルカン、先進国、米国、日本)、及び、「金」「半導体」系のファンドを確認し、市場で何が起こっていたかを確認してみたいと思います。

確認に用いたファンド・期間

確認したのは以下のファンドです。

❶eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
❷eMAXIS Slim 先進国株式(先進国)
❸eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
❹eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
❺三菱UFJ純金ファンド(ファインゴールド)
❻<購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)

基準価格の比較日は、以下としました。
最高値日:2024年7月17日 ※基準価額の最大だったファンドが多い日
最安値日:2024年8月6日 ※基準価額の最安だったファンドが多い日

主要ファンド、下落幅・下落率

ファンド2024/7/172024/8/6下落幅下落率
❶eMAXIS Slim 全世界株式26,96122,688-4,273-15.85%
❷eMAXIS Slim 先進国株式32,70227,574-5,128-15.68%
❸eMAXIS Slim 米国株式32,36327,091-5,272-16.29%
❹eMAXIS Slim 国内株式22,19018,527-3,663-16.51%
❺三菱UFJ純金ファンド30,28527,107-3,178-10.49%
❻ニッセイSOX指数22,09415,752-6,342-28.70%

【追記】8月23日時点の、株価の戻り調査

ファンド2024/7/172024/8/23下落幅下落率
❶eMAXIS Slim 全世界株式26,96124,643-2,318-8.6%
❷eMAXIS Slim 先進国株式32,36329,378-2,985-9.22%
❸eMAXIS Slim 米国株式32,70229,904-2,798-8.56%
❹eMAXIS Slim 国内株式22,19020,436-1,754-7.9%
❺三菱UFJ純金ファンド30,28528,215-2,070-6.84%
❻ニッセイSOX指数22,09417,880-4,214-19.07%

米ダウ(ドル建て)などは、かなり値を戻しました。
しかし、ドル円が作用する上記投資信託の戻りは、半分弱にとどまっています。

金融市場で何が起こっていたか?結果考察

ゴールド自体は下落が軽微

上記で示したデータを見ると、❶~❹の株式ファンドの下落率は15%前後、それに対して、❺ゴールドファンドは下落率が約10%で最も下落率が小さかったことがわかります。

これをさらに詳しく見ると、ドル建てではゴールド価格はあまり変わっていません。原因は、「ドル安円高」により生じた為替差損です。

下のチャートは、ゴールドのドル建て週足チャートです。下落はしていますが、大きな下落ではありません。

【参考】ゴールド ドル建て:週足チャート

ドル円の変動状況

【参考】ドル円:週足チャート
為替2024/7/172024/8/6下落幅下落率
ドル円156.16144.55-11.61-7.43%
ドル円(7/17高値と8/5最安値)158.59141.7-16.89-10.65%

上表は、ドル円(終値)の下落状況です。終値ベースでは、7.43%の下落となっています。
ただし、為替は平日は24時間変動。最大瞬間風速的にはさらに下落は大きく7月17日最高値、8月5日最安値で計算すると、10.65%の下落となります。これは、ほぼゴールドの下落に一致します。

上記期間の20日間で、ドル円が10%%以上も円高に振れた影響は甚大です。

❺ゴールドファンドと同じことは、オルカンやS&P500にも当てはまります。こちらも為替分だけで約10%下落し、ファンドの売却進んだわけです。

ただ、今週、ドル円は147円台まで戻りましたが、オルカンやS&P500の価格はあまり戻っていません。ドル円のように、買戻し⇒株価上昇となっていない点には注意が必要です。

【参考】米国S&P500:週足チャート

SOX指数の変動は為替変動より甚大

❻ニッセイSOX指数インデックスファンド(SOX指数)の下落は28.7%と為替変動以上に大きな下落となっています。

ここから、今回の株価下落の原因は主に半導体中心であると考えられ、そこへ為替差損が加わったので、円高に弱い日本株やSOX指数を中心とした下落につながったと考えられます。

日本株ファンド固有の影響は?

【参考】TOPIX:週足チャート

さて、もう一つ、気になるのが、日本固有の影響です。
7月31日、日銀は利上げを発表。これが、円高に振れる大きな引き金となりました。

これにより、❹eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) には、日本個別の影響があるかも…と思って調べてみたのですが、下落率は❶~❸のその他eMAXIS Slimシリーズと大差はありません。為替がすべてを吸収した格好となっています。

新NISA、手痛い初年度スタート

オルカンの積立購入者には、今年から新NISAでインデックスファンドを購入し始めた方も多いと思います。

いきなり初年度の利益マイナス転換で、嘆いている方も多いことでしょう。

しかし、ここで「株はもうこりごり。もう投資はしない」とならないことを望みます。

非課税投資である新NISAやiDeCoを利用した資産運用(積立投資)は、過去の株式利回り統計的にも、正しい資産運用です。ただし、リスクは避けられません。大きな下落・暴落は必ずやってきます。これを乗り越えて、平均して、3~5%の成長が見込めるのが株式投資です。

長期投資で最も大事なこと

投資、特に、長期投資において大事なのは、「投資を続けること」です。

既にファンド保有してマイナスが出ていたとしても、売却をしなければ含み損は【机上の数字】です。

長期投資を前提とするなら、どれだけ時間がかかるかはわかりませんし、これ以上に下落する可能性もありますが、いずれは、世界成長と共にプラスに戻ります。NISAの場合は、売却して利益/損失確定さえしなければ、非課税で長期運用ができます。

今、新NISAを始めた人は、10年以上、数十年先とファンドを持ち続けることでしょう。そうなら、今、その時まで非課税で運用すれば良いのです。長期積立投資とはそういうものです。

今一度、新NISAの制度・仕組みを確認しておきましょう。

今、ファンドの含み損に耐えられない方

今回の投信基準価額の下落で損失に耐えられない方もいることでしょう。このような方は、「リスクの取り過ぎの可能性が高い」と思われます。

このリスクに対する考え方は人それぞれです。10%、20%下落しても、こんなこともあると思える人もいれば、1,000円の含み損でも耐えられない人もいます。しかし、このような方はそもそもろんとして株式投資に向いていません。売り買いや売却タイミングなどについて学ぶ以上に、「経済循環」など、経済について学ぶ必要があるでしょう。

いずれにせよ、「含み損・下落耐えられない方」は、株式の比率を下げ、債券や預貯金などのリスクの低いアセットクラスの比率を上げるなどの対応をした方がよいと思われます。

最近は日銀の利上げもあり、預貯金や個人向け国債でも金利が上昇しています。個人向け日本国債については、以下で紹介しているので、参考にしてください。

最後に

今回は、8月の金融市場混乱で、主要インデックスファンドがどのぐらい棄損したかを確認しました。

繰り返しになりますが、「投資で大事なことはリスク許容度の範囲内で投資を続けて、市場に居座り続けること」です。これは、株式に限った話ではありません。

メンタルが復帰できないほどのダメージを受けないようにして、市場にしぶとくい続けましょう。