景気の先行指標とされる株価。

金融市場は、今後の景気の上昇も悪化も、すべてを織り込んで価格が形成されると言いますが、最近、改めて、株価の動きは賢いなぁと感じさせられます。

私たちは、リアルタイムに正確な経済の先行きを予測することはできません。しばらくたってから、経済指標などの発表により、数週間から数ヶ月遅れて「あの時が、景気のピークやボトムだった」と気がつきますが、株価はそれらを全て織り込んで動いています。

先日紹介した高橋ダンさんの著書「僕がウォール街で学んだ勝利の投資術」には、ニュースを見るより先に株価をチェックせよとアドバイスがされていますが、特定のニュースや後付解釈で相場を見誤らないようにするためにも、まず先に株価を見ることが大切だと実感しています。

さて、そんな中気になるのが、先進国株価で独歩安を見せる日経平均の弱さが気になります。これが意味することは何なのか、米国株式と比較しながら考えてみたいと思います。

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弱さが目立つ日本株式

米国株価が最高値を更新、オーストラリア準備銀行(RBA)が債券買い入れプログラムの縮小を決定(7月6日)するなど、世界が景気回復に向かう中、冴えない値動きの日経平均。本日7月8日も、米国株式が3指数とも上昇で終える中、日経平均はマイナスで帰ってきました。

以下は、夜間の指数も反映したCFDにおけるS&P500(上図)、日経平均の日足チャート(下図)です。

明らかに日経平均(日本株)のパフォーマンスが悪い状況です。

一言アドバイス

相場は夜間に動きます。日中の値動きを見ているだけでは世界の動きはわかりません。
米ダウ・S&P500・ナスダックの動き、日経平均の動きを見るためにも、夜間の値動きが見れる環境を整えてくことをお勧めします。

日米相対指数は4月以降著しく低下

日米株式の相対的な強さを見る指標の一つ「日米相対指数(=TOPIX / S&P500)」を見てみると、4月以降、日本株の弱さが一段と鮮明です。現在、コロナショック以降、最安値を更新してしています。

4月以降の日米の景気状況

4月が日本株の相対的な弱さを示すトレンドのスタート地点となっていますが、この時期、日米はどのような状況にあったか見てきましょう。

順調に景気回復を見せる米国

米国の4月と言えば、❶ワクチン接種の順調な拡大、❷コロナ給付金の影響などにより、米国株の景気上昇が鮮明となった時期です。

詳細は、以下の記事にてまとめていますが、アメリカ個人消費、アメリカの小売売上高とも4月まで強く上昇。4月で一旦の景気のピークをつけたように思われますが、長期金利が低下と共に、米国株は上昇しています。

オリンピックで景気回復で遅れ鮮明な日本

一方、日本🗾はと言えば、コロナワクチン接種は他の先進国に対して出遅れ。さらに、政府はオリンピック開催を決めています。
いくら、今現在、コロナワクチン接種のスピードは速まったとは言え、オリンピック開催→コロナ感染者再拡大→外出規制長期化でますます景気回復が遅れるという流れは免れません。

また、オリンピック開催により感染者増の責任を問われ、解散総選挙で政治グダグダ…という状況も免れないでしょう。


参照:朝日新聞

東京は、4度目となる緊急事態宣言へ

政府は、東京都を対象に4回目となる緊急事態宣言を出すことを決定しました。期限は東京五輪期間を含めた8月22日まで。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で開催される競技全てを無観客で行うことも合意されています。

1ヵ月前までは、オリンピック後に感染者拡大で4度目の緊急事態宣言となるかなと思っていたのですが、そんなに自体は甘くありませんでした。

コロナワクチン接種の遅れに追加し、オリンピック開催を決めたことで、政府の見通しが甘過ぎた結果、経済損失は拡大、失われる人命も増えてしまうという、悲しい結果となるでしょう。国民は、これらの代償は、結果的に国民が払うことになることは忘れてはいけません。

ちなみに、900億円のチケット収入の行方ですが、チケット収入900億円の赤字補填の穴埋めは政府+東京都で支払わなければなりません。つまり、日本国民の税金で支払うことになります。過去、日本は東京五輪開催決定時に大いに沸きましたが、果たして、いったい何を得たのでしょうか…

「株価はすべてを織り込む」から学ぶべきこと

上記では、一日本国民としての「経済損失、失われる人命」について語りましたが、一投資家として重視すべき点は「株価は正しい。株価はすべてを見通して動く」ということです。

私たちは、株価の動きをリアルタイムでは正しく理解できません。景気の底、景気の山が分かるのは、いつもしばらくたってからのことです。

だからこそ、一般投資家は、
・人の行く裏に道あり花の山
・強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く
という相場格言を知っていても、リアルタイムではこれを実行できません。

しかし、様々な投資家の判断の集合体である株価は、結果的には正しく、かなり早い段階から明確なサインを送っています。

だから、株価に逆らってはいけない。
安易に、米国の株価が上がっているからと、割安になった日本株を押し目買いと判断して安易に買ってはいけない。(買ってもいいけど、購入時の思惑通りの動きを見せないなら、自分の判断が間違っていたと考えて、薄利でも売る、損切りでも売るという判断をしなければならないということです。

株価は正しい

肝に銘じたいと思います。

最後に

今回は、強い米国株に対して独歩安を見せる日本株について考えることで、「株価はすべてお織り込み、正しく動いている」ことを再認識しました。

損切りは心理的なダメージがありますが、必要経費と考え、相場に逆らわない投資に努めたいと思います。

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