ジム・クレイマーはゴールドマン・サックスやヘッジファンドなど長年ウォール街でファンドマネジャーとして活躍後、アメリカのCNBCのトークショーで「カリスマ投資指南役」として活躍した経歴を持つ投資家。
その自分のトレーダー人生を通じて学んだノウハウを個人投資家向けの投資戦略としてまとめたのが著書「ジム・クレイマーの株式投資大作戦」。400ページ以上ある分厚い本ですが、軽快なトーク口調で読みやすい指南書となっています。
著書の最大の魅力は、株式投資で大きく成功するためのポイントとして、短期投資=投機と長期投資の目的・意義を明らかにした上で、長期投資の運用の大事性も説きつつ、「合理的な投機」を勧めている点です。
一般的な良書と言われる投資本では「投機はダメ」と教えられることが多いですが、「合理的な投機」をするに当たっての心構えもしっかり描かれており、ルールを守れば決して否定すべきではないものと教えられます。
今回は、第6章銘柄選定のための「黄金のルール」で紹介される「短期投資=投機=トレーディングのための10のルール」を紹介します。
目次
ジム・クレーマーの投機&長期のトレーディングルール
ジムのいうところの「トレーディング」とは「短期売買=投機」のこと。「短期売買」と「長期投資」のルールの違いを、それぞれ分けて明らかにし、
・トレーディングのための10のルール
・長期投資のための25のルール
としてまとめています。
今回は、「投機=トレーディングのための10のルール」を紹介。個人投資家の悪癖を端的に示す納得のルールが並びます。
①トレーディングを長期投資と混同するべからず
②最初の損失は最後の損失
③すでに発生した損失は実現すべし
④欲張って持ちすぎて損失に終わらせるべからず
④「耳寄りな話」には耳を貸すな
⑥売って初めて儲けが実現する
⑦損失の出ている銘柄に全力を注げ
⑧すべてのチャンスを取ろうとするな
⑨メディアのヘッドラインで売買するべからず
⑩相場に乗るトレーディングに走るな
※本書に紹介されている「長期投資のための25のルール」は、以下にてご確認ください。
トレーディングのための10のルール:詳細
以下で、①~⑩まで重要点を補足してみます。
①トレーディングを長期投資と混同するべからず
トレーディングのつもりで始めた投資を長期保有してはいけない。
多くの人はどちらなのか明確にせず投資する。もしある銘柄を長期投資として買う場合は、最初は少しだけ買ってひたすら値下がりするのを待つ。理由は安値で買い増したいから。
しかし、トレーディング狙いなら、最初に有り金を叩いてもできるだけ多く買うべき。 トレーディング目的なら、購入時に前提として考えていた条件が起こらないと分かった時は、直ちに処分して手仕舞いすべきである。
②最初の損失は最後の損失
ほとんどの人がプライドにこだわって強欲なばかりに、最初にうまくいかないと分かったタイミングで非難せず、ずるずると泥沼にはまり込む。そして大きく下がるまで付き合った挙句、パニックになって逃げ出すことになる。
③すでに発生した損失は実現すべし
個人投資家が陥りがちな最も信じがたい錯覚は、含み損を精算するまで、まだ損していないかのように考えてしまうことだ。今すぐ損切りすべきだ。
④「耳寄りな話」には耳を貸すな
⑥売って初めて儲けが実現する
欲張って持ちすぎたために損失に終わらせてはいけない。利益確定してはじめて利益になる。
⑦損失の出ている銘柄に全力を注げ
1つか2つの失敗でポートフォリオ全体が大きく傷んでしまう。うまくいっている銘柄より、値下がりしている銘柄に対して、何倍もの時間をかけて注意深く対処せよ。「株価が戻るまで売れない」と考えてはいけない。それは負け組の発想だ。
⑧すべてのチャンスを取ろうとするな
相場が強気の時は、自分を置き去りにして上昇し続けそうで、何としてでも自分もゲームに参加しなければならないという気持ちに駆り立てられる。しかしこのような投資はほぼ失敗に終わる。
買い出動する最適なタイミングは、相場が最悪の状態にある時だということを心に刻め。それは決して上昇相場がようやく始まりそうだと思える時ではない。そう思える時には、ほとんど常に相場は始まっている。
⑨メディアのヘッドラインで売買するべからず
メディアの一報だけでは正しい売買判断できない。 多くの投資家があまりにヘッドラインに踊らされて早とちりをして売買してしまう。 まず、全貌を理解すること。 納得してから出動しても決して遅くない。
⑩相場に乗るトレーディングに走るな
機関投資家がその銘柄を買ったというニュースで買っても、トレーニングは絶対に成功しない。他人まかせの売買するのは簡単だが、儲かるよりも損する事の方が何倍も多い。
まとめ
今回は、ジム・クレイマーの「短期投資=投機=トレーディングのための10のルール」について紹介しました。
10のルールを読んで「そんなことは分かっている」という声も聞こえてきそうですが、それは「頭」「理屈」としてわかっているだけで、実際はルールのように「行動」できていない人が大半ではないでしょうか。このルールは実践できてこそ意味があります。
私も耳が痛い項目が複数…トレーディングで勝つことは「メンタル強化」「自己の欲望との戦い」であることを思い知らされます。生涯、個人投資家として生き残れるよう、精進したいと思います。