最強の節税・投資法「iDeCo(イデコ)」、お得度をモデルケースでシミュレーション
以下の記事で、今注目が高まる最強の投資法iDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)について説明しました。
今回は、普通に投資する場合に比べて、iDeCoがどのぐらいお得なのか見てみましょう。
目次
そもそも所得税+住民税はどのぐらい支払っている?
iDeCoが最強の運用法であることを理解するには、そもそも収入に対し、どのぐらいの税金を支払っているのか理解する必要があります。
通常、収入ががある場合、(1)所得税+(2)住民税を納めなければなりません。
(1)所得税
所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、年収(正しくは、課税所得)により5%から45%の7段階あり、所得税の金額は速算表に基づき計算できます。
【参考】所得税の速算表(平成27年分以降)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば「課税される所得金額」が700万円の場合、税額は次のようになります。
700万円×0.23-63万6千円=97万4千円
(2)住民税
住民税は原則一律10%となっています。
結果的に税金は・・・
税金は年収や控除額によって異なりますが、一般的にサラリーマンなどは、所得税と住民税を合わせて年間15%以上の税金を支払っているのです。
シミュレーション前におさらい:iDeCoのメリット3つ
さて、ご自身の所得税がどのぐらいかわかりましたか?
ここでiDeCoがどのぐらいお得かをシミュレーションする前に、iDeCoに投資するメリットを押さえておきましょう。
iDeCoの3つのメリット。
(1)運用益が非課税(運用中のスイッチングも非課税)
(2)掛け金が所得控除(所得税や住民税が軽減)される
(3)受取時も税の優遇(ほぼ非課税)
モデルケースでiDeCoのお得度を計算してみよう
では、課税税率10%のサラリーマンがiDeCoで投資するとどのぐらいお得か把握するために、3パターンでシミュレーションを行ってみましょう。
モデルケースとして、30才から60才まで毎月2万円を以下の方法で積み立てることにします。
A.現金 :普通貯金を利用し、利回り0.02%で積み立てるケース
B.投資信託:投資信託(株式)を利用して、利回り3%で積み立てるケース
C.iDeCo :iDeCoを利用して、利回り3%で積み立てるケース
投資元本
この場合、投資元本は、2万円×12ヶ月か×30年=720万円 です。
資産形成シミュレーション
では、3つの方法で資産はいくらになるでしょうか?
A.現金 :約722万円=(1)税金ゼロ時の受取額-(2)税金 ※課税20.315%
B.投資信託 :約1051万円=(1)税金ゼロ時の受取額1165万円-(2)税金 ※課税20.315%
C.iDeCo :約1309万円=(1)税金ゼロ時の受取額1165万円+(2)144万円 ※非課税
A普通貯金の場合、30年預けても2万円しか増えません!
BとCを比べた場合、258万円もCの方がお得になります。なぜ、これほど、お得になるか、詳しく見てみましょう。
「運用益が非課税」で114万円の得!
iDeCoのメリット(1)により、運用益に対する課税分144万円分特になります。
Bの場合は、20.315%(=所得税+住民税+復興特別税)がかかります。
「掛け金が所得控除」で144万円の得!
iDeCoのメリット(2)により、確定拠出年金の場合、掛金額年間24万円の全額が給与所得から控除されます。
その結果、税率10%の人なら、普通は所得税が2.4万円と住民税(一律10%)2.4万円を合計した4.8万円が節税できるのです。
つまり、毎年24万円貯めることができつつ、さらに4.8万円の税金を払わなくてもよいのです。これは、年間20%の利益が確実に実現できたことに相当します。この積立を30年続ければ、4.8万円×30年=144万円になります。
合計して258万円が得に!
これが、iDeCoが最強の節税・投資法だという所以です。
Bと比較して、同じ利回り3%でも、圧倒的に利益が増えること、ご理解頂けたでしょうか?
なお、以下のページで自分のケースを想定したシミュレーションができます。
個人型確定拠出年金 積立シミュレーション
3%のリターンは現実的なのか?
さて、上記シミュレーションでは、iDeCoの利回り(リターン)を3%と設定しました。しかし、そもそもこれが間違っていたら話になりません。これは果たして現実的な利回りといえるのでしょうか?
そこで、国民の年金を管理するGPIFの考える想定利回りを見てみましょう。
資本市場の前提:期待リターンとリスク
国内株式:4.8% / 22.48%
国外株式:5.0% / 22.48%
国内債券:3.0% / 6.5%
国外債券:3.2% / 12.90% (GPIF試算より)
一般的に株式に対し利回りが落ちる債券でも3%程度のリターンは可能との試算です。株式市場は常に上下しますが、長期で見れば、基本的に右肩上がりで成長し、一時的な下落もカバーし上昇します。
故、国内・国外株式を利用すれば、利率3~5%が可能と言えるでしょう。売却時期が良ければ、5%以上のリターンを得ることも不可能ではありません。
「利回り/リターン」だけ追及してもダメ!資産運用には「税金」が大事
さて、iDeCoの圧倒的な運用メリットを理解いただけたでしょうか?
このシミュレーションから学べることは、利回り/リターンばかり追求してもダメだということです。最終の出口に待ち構える「税金」をないがしろにしては、効率的に資産は増やせないということです。
株式などリスク資産に投資をする場合、リターンは市場次第で自分ではコントロールできません。しかし、税金は(制度が変わらない限り)最初からわかっているコストです
これだけのメリットがあるiDeCoですから、投資資金があるなら、やらなければ損なのです。普通に株式投資した場合はしっかり税金がかかりますし、同じ年金でも保険などを利用した私的年金では、若干の税控除はあっても、これほどの控除はありません。
税金がかかる投資をする前に、税金がかからず投資できる非課税額枠を十分に利用して投資を行いましょう。
私が利用している個人型確定拠出年金