かつて高金利通貨として人気の高かったトルコリラ円

そんな投資家の思いを裏切り底なし沼のように長期下落を続けていたトルコリラが、2021年12月20日急反発。トルコリラ・ドルは一時25%にもなる急騰を見せました。

急騰の理由は、低金利政策の継続を確約する一方、通貨安による国民の負担軽減につながるとする一連の措置を発表したことが理由。

今、投資家はトルコリラ投資に懐疑的です。今回の戻しは一時的なものかもしれません。しかし、超長らく続いた下落トレンドの大転換と見るなら、投資チャンスとも言えます。

ここがトルコリラの転換点となる可能性もあるので、この機会にトルコ・トルコリラの状況を確認しておきたいと思います。また、トルコリラ投資戦略も再考してみます。

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現在のトルコリラの政治・経済現状

現在のトルコリラの政治・経済現状

上述の通り、トルコリラはエルドアン大統領が20日、低金利政策の継続を確約する一方、預金保証など通貨安による国民の負担軽減につながるとする一連の措置を発表。具体的な仕組みや詳細は不明ながら、リラ預金をしている人が銀行から金利を受け取っても為替安のためにドルなどの外貨ベースで損失を被る場合、その分を政府が補償すると発表したことにより、トルコリラは大きく急反発しました。

今後、この政策がどのように実施されるか、また、トルコリラドル、トルコリラ円がどのように推移するかは予測が困難な状況にあり、投資家はトルコリラ投資に懐疑的。年末、および、激しいすぎるボラティリティであることもあり、投機的な投資家以外は取引を手控えています。

しかし、トルコリラ円のロングポジションは増加、それ以上にショートポジションが減っている状況も見受けられます。もしかしたら、ここが長らく続いたトルコリラ安の大転換となる可能性もあります。

そこで、まずは、直近の経済状況・金利政策状況を把握してみます。

インフレ率は依然高い

トルコ インフレ率の推移(10年間)
トルコ インフレ率の推移(10年間)
トルコリラのインフレ率は依然高いままです。徐々に高くなっており、国の金融政策の常識で考えるなら、金融引き締めが必要な状況です。しかし、エルドリアン大統領はそれを許していません。

政策金利

トルコ政策金利の推移

トルコ 政策金利の推移(10年間)

インフレ高騰を鑑みて、政策金利も上げて引き締めを行うのが常識です。トルコ中銀も金利値上げを試みてきましたが、エルドリアン大統領はそれを許さず、「インフレが加速している中でも低金利を目指す闘いをやめないと表明」。19%をピークに値下げに踏み切りました。

この結果が、結果、トルコリラが売りに売られるという状況に陥りました。(トルコリラ円チャートは後述)2021年12月時点で、政策金利は14%まで低下してきています。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2021年17.0017.0019.0019.0019.0019.0019.0019.0018.0016.0015.0014.00
2020年11.2510.759.758.758.258.258.258.2510.2510.2515.0017.00
2019年24.024.024.024.024.024.019.7519.7516.5014.0014.0012.00
2018年8.008.008.008.0016.5017.7517.7524.024.024.024.024.0
2017年8.008.008.008.008.008.008.008.008.008.008.008.00
2016年7.507.507.507.507.507.507.507.507.507.508.008.00
2015年7.757.507.507.507.507.507.507.507.507.507.507.50
2014年10.0010.0010.0010.009.508.758.258.258.258.258.258.25
2013年5.505.505.505.004.504.504.504.504.504.504.504.50
2012年5.755.755.755.755.755.755.755.755.755.755.755.50
2011年6.256.256.256.256.256.256.255.755.755.755.755.75
2010年6.506.506.506.507.007.007.007.007.007.007.006.50
2009年13.0011.5010.509.759.258.758.257.757.256.756.506.50
2008年15.5015.2515.2515.7515.7516.2516.7516.7516.7516.7516.2515.00

トルコの経済・失業率

外務省のトルコ共和国基礎データによるとトルコの産業割合は、以下の通り。

サービス業(56.5%)
工業(21.8%)
農業(6.4%)

1番のサービス業に占める割合が多いのが、「観光」です。

トルコは世界的な観光大国です。世界の観光ランキング(Wikipedia)によると、2019年の国際観光客到着数は世界6位(5119.2万人)。1位:フランス、2位:スペイン、3位:アメリカ、4位:中国、5位イタリアに次ぐ6位ですから、その産業の大きさが十分理解できると思います。

しかし、コロナにより大打撃を受けた観光者は、ワクチン接種の普及を背景に、コロナ前には届かずとも戻りつつあります。トルコリラ安が続いているので、旅行者にとって旅行がしやすいことも理由にあるかもしれません。

ただし、失業率は依然上昇が続いています。

トルコ 失業率

トルコリラ円の現状

トルコリラ円日足チャート

上図はトルコリラ円の日足チャートです。12月25日の発表を受け、最安値6.2円を付けた後、一時10.2円まで4円の上昇を見せました。今は上昇幅の半値下落しが8円台を推移しています。

正直、一方的な下落が醜すぎて、日足ではこれまでのトルコリラの状況が分かりません。そこで月足を見てみましょう。

トルコリラ円週足チャート

これを見ると、現在の下落は2013年5月の56円から始まっていることが分かります。56円台から6円台までの下落ですから、いかに下落が酷かったかが分かります。
高金利通貨はゆくゆくは下落するものですが、誰が、6円台までの下落を予測していたでしょうか… 地獄の通貨、恐ろしすぎます。

トルコリラ投資戦略を考える

さて、トルコリラ円投資において大事なのはここからです。

現時点で、投資家はトルコリラに懐疑的です。今後どうなるかが見えないのにプラスして、年末であることで投資を手控えている人も多いでしょう。
また、純粋に高金利スワップ投資をしたいと考えていた人たちは、おそらく、これまでの一方的な地獄の下落で、撤退を余儀なくされたはずです。今現在は、腰の入った長期投資は限定的で、短期投資家が多くなっていることでしょう。

しかし、6円台が大転換となって上昇する可能性もあります。だからこそ、今ここで、トルコリラ投資について再考してきたい。

トルコリラの政策金利が19⇒14%下落したことにより、高金利通貨で大事なFXのスワップ金利も低下をしています。そこで、ここからは、FXでトルコリラ投資をするに当たって、押さえておくべきことを確認していきます。

高金利スワップ投資のポイント

❶高金利スワップのFX業者を利用する ※スプレッドよりも重要
❷急落でも破綻しない強制ロスカットしない資金管理

❶高金利スワップFX業者を見極める

FXナビさん集計によると、1月のトルコリラ円スワップポイントランキングは以下の通り。高金利スワップ投資を実施するなら、高いスワップポイントを提示している業者を利用するのが鉄則です。上位のFX業者は、2021年年間を通じても高い金利を提示してきているので、十分利用に値します。

トルコリラ円は6.2円が大底となった可能可能性もありますが、まだまだ予断を許しません。ここが底と判断して今からトルコリラ円投資を始めるなら、万が一を考慮し、トルコリラ円1通貨だけを高金利スワップ業者を利用して運用するのが、最も安全な投資戦略だと考えます。

トルコリラ円スワップポイントランキング

トルコリラ円 おすすめ口座ランキング(2021年11月スワップ実績)

1万通貨のトルコリラ円を1ヵ月保有した場合の合計スワップポイントのランキング。
1~3位は安定して高いスワップ金利を提示

トライオートFX
インヴァスト証券「トライオートFX」
スワップ合計
1,148円
IG証券

月間スワップ合計
1,128円
アイネット証券
アイネット証券[アイネットFX]
月間スワップ合計
1,126円
くりっく365

月間スワップ合計
1,087円

 

❷急落でも破綻しない強制ロスカットしない資金管理

投資をするうえで最も大切なのは、投資が継続できない状況に陥らないこと=口座破綻の回避です。口座が破綻してしまうと、どんなにスワップがたくさんもらえようが、全く意味がありません。

では、口座破綻回避のためには、いくら資金を確保したうえで投資に臨めばいいのか?、そして、その上で、いくらまでトルコリラ円が上昇すると、いくらぐらいリターンが見込めそうか(利益率はどのぐらいになるか)をざっくりと認識することが大事です。

まずは、直近安値+αの6円をロスカット水準として、いくら資金を用意すればいいか考えればいいのではないかと考えます。
なお、強制ロスカットを回避する必要資金シミュレーション、利回りシミュレーションは以下の記事で詳細解説しているので、ご確認ください。

最後に

今回は、現在のトルコ政治・経済(政策金利、インフレ等)を確認したうえで、チャートにてトルコリラ円の状況を確認しました。また、大底圏、大転換を見変えているかもしれないトルコリラ円による高金利トルコリラスワップ投資をするために大事なことを再考しました。

私は、一度設定したらほったらかしで運用できる投資を重視しています。理由は、人生を楽しみ、ストレス少なく投資で成功するためには、下落時にも心理負担の小さい投資を行うことが極めて重要だと考えるからです。

今後もトルコリラ円は今後も油断を許さず、波乱もあるでしょう。しかし、資金を少額に限定しても、大底になるかもしれないポジション(値幅も金利も取れるポジション)は仕込んでおきたいと考えています。

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ブログ管理人:Chami(チャミ)
chami(チャミ)好奇心旺盛に楽しく生きるをモットーとする、長期投資家
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